衆議院-北朝鮮による拉致問題等に関する特別委員会
2018年(平成30年)04月02日
 (国会会議録検索システムより抜粋) ※この質疑の動画はこちら




○本多委員 立憲民主党の本多平直でございます。  私、五年間、議席を失って浪人をしておりまして、その間も、この問題、本当に関心を持って、御家族の皆さんが高齢化をされていく中、どうも膠着状態が続いている、そういう中で、しっかりとこの問題についてぜひ国会でももう一度発言をする機会を得たい、そんな思いで国会に戻ってまいりました。  そうしたさなかでありますけれども、今回、大きな朝鮮半島をめぐる外交の動きが起こってまいりました。本来であれば、私は、過去の膠着状態を、残念ながら、それぞれの立場で御努力はされてきたんだけれども、政治は結果ですから、この過去の本当に長い膠着状態を招いてしまったこと、いろいろな観点が必要なんだということをお話ししたかったんですが、まずは今、北朝鮮をめぐる大きな動きが起こっていますから、前向きなお話を、しっかりと取り組んでいただくためにも、お聞きをしていきたいと思っています。  まず、予想されている南北の首脳会談でございます。  韓国が今の状況で日本の、韓国にももちろん拉致被害者はいるわけですけれども、今の状況で日本の拉致問題について積極的に取り上げていただくのはなかなか厳しい、残念ながらそういう状況ではないかと思いますけれども、河野外務大臣、韓国側にこの問題をしっかりと南北首脳会談でも取り上げてもらえるようにどのような働きかけをしていただいているのか、そして、それへの韓国側の反応を、言える範囲で構いませんけれども、どうした感触を得ていらっしゃるのかについてお聞かせをいただければと思います。

○河野国務大臣 韓国に対しては、来る南北首脳会談においてこの拉致問題を取り上げるよう、先般の日韓首脳の電話会談、そして私の訪米の折に韓国の康京和外交部長官とお目にかかって、この拉致問題の解決に向けて問題提起をさせていただきました。  今、日韓の間でこの拉致問題の解決に向けて引き続き緊密に連携をしていこう、そこは一致をしておりまして、三月三十日に韓国の康京和外交部長官と電話会談を行いましたが、その際に、南北の首脳会談に向けてさまざま高官級の協議等をやっている、その様子などをブリーフしていただいた折にも、この拉致問題について再び取り上げてもらうよう提起をいたしました。  引き続き、日韓で緊密にこの拉致問題の解決に向けて連携していこうという両国の方針がございますので、それに沿ってしっかりとやってまいりたいと思います。

○本多委員 今しっかりと働きかけをしていただいているその方向でお願いをしたいと思いますが。  報道によると、やはり韓国側はこの問題については日本がバイなどでやるべき話ではないかといったような報道も見ているんですが、連携をとるというところまでは答えをいただいていると思うんですけれども、議題にしていく方向なのかどうか、韓国側の反応をもう少しお教えいただけたらと思います。

○河野国務大臣 今、南北首脳会談あるいは米朝首脳会談に向けて、日米韓でさまざまやりとりをしてございます。  何をどう議題にするのか、どう取り上げていくのかというのは、これは北朝鮮との交渉事の手のうちでございますので、お答えは差し控えたいと思います。

○本多委員 ぜひ、しかし、私の感覚では、なかなか、韓国の立場としても、さまざまなテーマ、国益をかけた北との話合いになります。そして、韓国は民主主義国家ですから、おかしな合意をしたりおかしな妥協をすれば世論の厳しい批判を浴びる。本当に国益と自分の政治家としての立場もかけて首脳はこの南北会談に臨むわけですから、どうしても、日本の課題であるこの問題を南北の首脳会談で正面から取り上げていただく、なかなか厳しいかもしれないと思いますが、ぜひ引き続きよろしくお願いをしたいと思います。  もうちょっと可能性があるのは米朝の会談で、昨年は、これは安倍政権にも御努力をいただいて、家族の皆さんと直接お会いして、トランプ大統領にもこの問題は刻まれたと思います。こちらの方はもう少し可能性があると思うんですけれども、働きかけの状況と米側の反応についてお聞かせをいただければと思います。

○河野国務大臣 トランプ大統領が来日された折には、拉致被害者の御家族の方にもお目にかかっていただきました。また、国連の演説その他でもトランプ大統領にいろいろ提起をしていただいておりまして、日米間でもこの拉致に関する協議というのを行っております。アメリカ側からは、アメリカ人の中で少なくとも三人がいまだ北朝鮮内で拘束をされているという話もございましたので、この拉致あるいは拘束というのは日本だけの問題ではないという認識をアメリカと日ごろから共有しているところでございます。  先日ワシントンに参りましたときにも、それぞれこの問題を提起させていただいて、緊密に連携をしていこうということで、これも問題に対する認識は一致をしております。三月三十日に今国務長官の代行をしているサリバン副長官と電話会談を行いましたが、その折にも確認をしております。また、四月に諸般の事情が許せば総理も訪米をされることになろうかと思いますが、その際にも、トランプ大統領との会談の中でこの拉致の問題について直接働きかけをする考えでございます。  日本が重視をするのは拉致の被害者の皆様の帰国を実現することであって、そのためには、各国への働きかけにとどまらず、あらゆる努力をやってまいりたいと思っております。三月三十日に拉致被害者の御家族と安倍総理が面会をした折に決議文をいただきましたので、その内容をしっかりと受けとめつつ、拉致問題の早期解決に向けて政府として全力を尽くしてまいりたいと思います。

○本多委員 アメリカと、北朝鮮を非核化する、そしてミサイルをしっかりと削減をさせていくということは一致をしていると思いますけれども、ミサイルの距離の問題、アメリカは長距離の方に関心がある、我々は中距離や短距離も残っては困るという重大な違いがあります。ここのところをしっかりとやっていただくことと、もちろん、今大臣おっしゃったとおり、アメリカ側にも三名の方、拘束者がいらっしゃいますけれども、実は、アメリカはバイで時折拘束された方を解放するという行動をされています。私はこれは見習うべき行動だと思っているんですけれども、そういった面もありますので、日本の拉致問題、これは長時間かかっている問題ですから、これをしっかりと解決をするということをトランプ大統領に安倍総理からも伝えていただくように再度お願いをしたいと思います。  それで、ちょっと確認なんですけれども、これまで河野外務大臣の答弁を聞いていますと、米朝会談は、まだ北朝鮮から正式なコミットメントがないので、あるかないかわからないじゃないかという、ずっと、この米朝会談についての議論を今月のいろいろな委員会でされているときに、まずはあるかないかわからないというところから答弁を始められていたんですが、きょう、どうやらそういうことを言われなくなったので、そこはかなりニュアンスが変わったのかなと思うんですけれども、いかがですか。

○河野国務大臣 南北の首脳会談については、四月二十七日という日付が決められて、今さまざまその準備会合が行われているところでございます。  米朝の首脳会合については、金正恩委員長もトランプ大統領もやるという意思表示をされておりますから、それなりの動きはあるんだろうというふうに思っております。ただ、いまだ場所、日付というのは確定をしていないというのが現実でございますので、まあ、両首脳が意思表示をされておりますから、そういう方向でこれからいろいろ準備をしていくことになろうかと思いますし、また日米韓でもさまざま協議をしているところでございます。  余り予断を持ったことを申し上げるよりは、まず南北の準備状況を見ながら、米朝の準備状況も、日米間あるいは日米韓の三カ国で確認をしながらいきたいというふうに思っております。  現時点で、特に断定的にこうだと申し上げるようなことは米朝についてはまだないというのが現実でございます。

○本多委員 少しほかの委員会の言い方から変わっていただいて、私はよかったと思っています。  もちろん、どんな、よくわかりませんけれども、ドイツとフランスの首脳会談だろうが、ドタキャンされることはいろいろな事情であるわけです。しかし、私は、これは、せっかくですから、北朝鮮の非核化に向けて歓迎すべき動きで、ぜひやるべきだ、そこで、まずは米朝の首脳会談でしっかりと日本の利益も反映していくべきだ、こういう言い方をここで前向きにおっしゃった方がそろそろいいのではないかと私は思うんですが、いかがでしょうか。

○河野国務大臣 申し上げましたとおり、両首脳は前向きに発言をされておりますので、これからいろいろと準備が進んでいくんだろうというふうに思っております。その準備状況などをしっかり踏まえながら、しかるべきときにしかるべき発言をしてまいりたいと思います。

○本多委員 この一連の平昌オリンピックから始まった動きの中で、我々野党などからすれば、委員会では蚊帳の外じゃないか、評論家の方も蚊帳の外じゃないかなどということがあって、河野外務大臣は、当然、委員会の場では反論をされて、蚊帳の外なんてことはないんだ、そして歴史でちゃんと証明するんだというようなことを力強くおっしゃっているわけです。  ですから、米朝会談がほぼ決まりかけているわけなのに、それについて、何か最後まで、まだ決まっていないんだとか言うよりも、私は、しっかりと、もうこれはあるものと捉えて、逆に前向きに捉えて、この場で日本の国益を反映させるように、特にアメリカ側にしっかりと働きかけをしていただきたいということをお願いしておきたいと思います。  もう一つ、余り頼りにしていいのかどうかわかりませんが、中国への働きかけについてお尋ねをしたいと思います。  大臣の先日のこの委員会での所信の表明で、韓国とアメリカにはしっかりやっておるんだという答えをいただいたんですが、ふと気になったので、言葉尻で申しわけないんですが、中国にはこれから働きかけを行ってまいりますと、ちょっと語尾が違っていたんです。私は、拉致問題についての働きかけというのは中国にもずっと長い間やってこられたのではないかなと思っているんですけれども、前回の所信のこととそれから最近の動きについて、中国への働きかけはどうなっているかをお教えいただければと思います。

○河野国務大臣 語尾で誤解を生じたとしたら、それは私の問題でございまして、おわびを申し上げたいと思います。  おっしゃるように、中国も、北朝鮮への影響力ということを考えれば、この拉致問題の働きかけをする先として大変重要な先だというふうに思っておりまして、我が国として、これまで累次に中国ともさまざま働きかけをし、意見交換、情報収集といったことをやってきております。  昨年の十一月の日中首脳会談の中で、総理から習近平主席あるいは李克強総理に対して、この拉致問題の一日も早い解決に向けて中国側の協力、支持というものを求めたということもございます。  中国に対して、これからまた中朝間というやりとりが行われる可能性もあると思いますので、そういう中でもこの拉致問題を取り上げてもらえるように引き続き働きかけをしていくつもりでございますので、中国もこの拉致問題の中で大事なプレーヤーであるという認識で今後もやってまいりたいと思います。

○本多委員 常識的に考えると、電撃的に行われました中朝の首脳会談でこの問題がテーマになったとは余り考えにくいんですが、何か情報はございますか。

○河野国務大臣 この中朝の会談の内容につきましては中国側からブリーフィングを受けておりますが、これは外交上の話でございますので、このブリーフィングの中身について公にするのは、今の時点で、申しわけございませんが、差し控えたいと思います。

○本多委員 ぜひ、全ての外交の場面でこの拉致問題を主要国である韓国やアメリカ、中国以外にもしっかりと伝えていただく、その中で解決法を探っていただきたいというふうに思っています。  それで、日朝首脳会談について伺いたいと思います。  私は、ぜひやっていただきたいと思っているんです。先ほどからの局長の御答弁なども、何がベストなのか考えるということで、全否定をされておりません。  この拉致問題がもしないのであれば、核の問題、飛距離の問題はあります、長距離だけをとめるということで変な合意をされたら日本の国益には大変ですけれども、そこはしっかりと、今後の議論ということもあります。この拉致問題はやはり別な問題、一つ別な問題でありますから、これはバイで話さなければ、これを、それぞれ国益をかけて北朝鮮と議論をする文在寅大統領やトランプ大統領に全てをこの状況で任せる、こういう状況ではない。私は、まさに今こそ安倍総理がしっかりと首脳会談に臨むべきだ、今こそ早目に提起をしていくべきじゃないかと思いますけれども、いかがですか。

○河野国務大臣 日米の間で、核、ミサイルと並んでこの拉致問題、拘束者の問題を包括的に解決すべきだという認識を共有しているところでございます。  これから南北あるいは米朝の首脳会談が行われますので、その内容をしっかりと吟味しながら、日米間あるいは日米韓の間で連携をし、何がこの拉致問題の解決にとって最適なのか、しっかり考えてまいりたいというふうに思っております。

○本多委員 今、北朝鮮からも大変日本を挑発するような発言があって、皆さんもセンシティブになられているところはあると思うんですね。日本が慌てふためいている。永遠に平壌に来る切符がなくなるとか、そのような言い方、大変失礼な言い方だと私は思いますけれども、そういう言い方をしたり、評論家は蚊帳の外だと言われたりして、センシティブになられているのはわかるんですが、ちょっとこれはこんな後ろ向きでいいのかなと。  大臣、高知に行かれたんですかね、それで講演の中で、日朝は焦る必要はないという発言があったり、他の委員会では、与党議員、自民党の議員などからは、今こちらから求めると足元を見られる、こういった何か消極的な発言をしているんですが、そんな場合なのかと私は思うんです。  この拉致問題がこれだけ膠着をしてきて、そして、河野大臣の言い方で言えば、日本の、国際社会と協調した圧力のおかげだと。まあ、それもあるでしょう。しかし、私は、文在寅大統領であるとかトランプ大統領であるとか、いろいろなプレーヤーの努力によって今回の、あくまで局面打開のきっかけですよね、これがどちらの、いい方向に行くかどうかはまだわかりませんけれども、こういう状況が生まれた。私は、この状況下で何がリスクだと思っているのか、よくわからないです。  もちろん、相手はこれまでも日本に対して約束を守らなかった過去がある国ですけれども、これだけ膠着してきた問題を抱えて、我々だけだとなかなか打開点を見出すことができないこの何年間が続いてきて、日本も加わってかけてきた圧力の成果が出てと河野大臣は必ずおっしゃるわけですけれども、私は、さまざまな政治家の勇気ある決断だと思います。  こういう首脳会談などをやれば、成功すれば褒められるけれども、失敗したら民主主義国家では袋だたきに遭う、その危険を、文在寅大統領やトランプ大統領は決断をしているわけです。  我々は、残念ながら、非道なのは圧倒的に北朝鮮でありますけれども、足元を見られてもしようがない状態なんですよ。日本人を拉致されて、そして御家族は高齢化している。この何年間も議論が膠着をしてきた。この局面で、足元を見られたくないとか、メンツで政治をやられたら私は困ると思っています。  ぜひ今こそ、これは準備を進められているんでしたらいいですけれども、ぜひ首脳会談を積極的にやるべきだと重ねてお願いしたいんですけれども、いかがでしょうか。

○河野国務大臣 来るべき南北首脳会談、米朝首脳会談の内容をしっかり吟味しながら、日米あるいは日米韓で緊密に連携をし、何が最適かしっかり考えてまいりたいと思います。

○本多委員 時期の問題なんですけれども、南北より前ということはもう難しいと思いますけれども、米朝の結果を見てからで本当にいいんですかね。米朝の結果で、大きくいい方に進展した後の方が難しくなることもあり得るんじゃないですかね。今からしっかりと絡んでいくということも一つの外交チョイスだと私は思いますけれども、いかがですか。

○河野国務大臣 南北首脳会談、米朝首脳会談の内容を見ながら、しっかり最適なことを考えてやっていきたいと思います。

○本多委員 内容を見てからもいいんですけれども、今からいろいろな準備をされているというふうに先ほどの局長の答弁がありましたから、ぜひ、その会談があった後だと逆に交渉しにくくなる局面もないとは言えないわけですから、先にさまざまな交渉を進めるということも含みで答弁をいただければありがたいんですけれども、含みの答弁をいただけないですか。

○河野国務大臣 何が最適か、しっかり考えてまいりたいと思います。

○本多委員 全ての選択肢を入れていただいたということで、本当にぜひ、この大きく動いている局面ですから、私はほかの問題では安倍政権としっかり対決をしていますし、安倍総理とも対決をしていきますけれども、この問題は残念ながら野党の政治家ではどうすることもできないし、与党であっても国会議員の皆さん、なかなかやれることは限られている。まさに、外務大臣、安倍総理にかかっているわけです。  そして、こんな大きなある意味のチャンスはないと私は思っていますので、ぜひこのチャンスを、足元を見られるだのメンツだのそんなことをかなぐり捨てて、被害者の方や家族のために、ここは安倍さんと河野さんに仕事をしていただきたいと私は心から強く強く願っています。  残念ながら、この問題が膠着をしてきた理由、これだけ長い間かかっている、我々政治家の側に本当に大きな責任があると私は思って、反省を政治家のみんなでしていかなきゃいけない課題だと思っています。  そのときに、先ほどからこれから先の前向きの話をさせていただきましたけれども、若干、ずっと感じていたこの問題に関することについて外務大臣の御意見を聞かせていただければと思います。  質問が決まってから、改めて蓮池さんの書かれた本も、タイトルが非常に刺激的なので自民党の先生方は読まれたかどうかわかりませんけれども、蓮池さんの本を読んでみて、自分も最初は強硬論だった、しかし、途中から、強硬論だけではなかなかこうした問題は解決しないんだ、周りにもあおられて強硬的な論を言っていたということを述べられて、自分の反省も含めて立場が変わられたということを御家族の立場で表明をされているところを私は大変関心を持って読みましたし、私の問題意識と近いところがあります。  与野党ともにこの問題に真剣に取り組んでこられた多くの政治家がいることを私は存じ上げていますが、どうしても強硬論を厳しく言う方が多くて、融和策、こういうものを言うとネットには北朝鮮の回し者と書かれたり、なかなか言いにくい。こういう空気がつくられて、北朝鮮の回し者である理由はどこにもないわけでありまして、ひとえに拉致問題などを解決するには、強硬策も要るでしょうけれども、時には政治家が責任を背負って、なかなか国民に説明のつきにくい融和論をやるというのは、私は一つのあり方だと。結果責任をとっていく、こういう政治家というのはいないのかな、私は、そういう意見をこの委員会で言いたい、そう思ってあの浪人時代を過ごしておりました。  特に、蓮池さんの著書の中には、河野外務大臣のお父様の、外務大臣だったころの米支援の話、外務省の前まで行って反対の論陣を張った、北朝鮮に塩を送るなどというのは何事だと。しかし、そのとき、河野外務大臣が、当時のお父様の方の外務大臣が言われた、こういうふうに対話のきっかけをつくっていくんだということが、今は正しかったことがわかると。  私は、常に融和策というようなものはなめられて結果を出せない、これは当然だと思うんですけれども、両面必要だ。その中で、大変残念ながら、この十年以上にわたる膠着状態、若干強硬策に寄ってしまって膠着を招いた部分があるんじゃないかと私は思っているんですけれども、大臣はどうお考えでしょうか。

○河野国務大臣 政府としては、当該国の主権を尊重しつつ、邦人保護の立場から、人質あるいは拉致、誘拐といった事案が起きたときには、安全に救出されるように最大限の努力を行うわけでございます。  しかし、日本政府に対して要求があった場合には、不法な手段を用いて不法な要求を行う犯人に対して譲歩すべきではなく、また、さらなる犯罪の助長を防ぎ、日本人、日本権益が将来にわたって標的となることを防ぐ観点からも、政府としては、国際的に確立したノーコンセッション、譲歩はしないの原則に基づいて対処することとしております。  犯人側の要求に屈しないことと人命を最優先させること、両立させることは容易ではありませんが、政府としては、この二つの原則を確保するべく、あらゆる手段を尽くしてまいりたいと思います。

○本多委員 ちょっと河野外務大臣らしくないなと思ったんですが、それは私が次にする質問の回答でございまして、一般的な海外における拉致事案、誘拐事件などについていろいろな方法があるんじゃないかという質問を次にしたときにそういうお答えをいただくんだなというのを今理解したんですが。  私が先ほど聞きましたのは、この北朝鮮の拉致問題に関する包括的な御意見を述べていただければと思って伺いました。

○河野国務大臣 日米韓あるいは中ロの協力を得て、国連の安保理で北朝鮮に対してこれまでにないレベルの経済制裁を含む安保理決議を累次採択をしてまいりました。今、こうした国際社会の一致した圧力のもと、南北あるいは米朝の対話が始まろうとしているときでございますので、日本としては、この一致した国際社会の中で、北朝鮮に対して最大限の圧力をかけ、核、ミサイル、拉致問題を包括的に解決するというのが今の政府の方針でございます。

○本多委員 なかなかストレートにお答えをいただけない。  大きなテーマでしたので、この十年、十五年、なぜここまで拉致問題の解決が遅くなってしまったのか、もちろん日本政府のせいだけではありません、そもそもは非道なのは北朝鮮の政府でありますし、アメリカの国内の政権がかわった事情があったり、いろいろ交渉を進めているときに北朝鮮国内の代がわりがあったり、いろいろ我々の努力だけではどうしようもないこともあった、これも一方ではあるんですけれども、私は、こうした問題のときに、強硬策だけが前に出てしまってということが少し気になる問題点としてずっと思っておりますので、ぜひ今後とも議論させていただきたい。  先ほど河野外務大臣が少し前に先走ってお答えをいただいたことは、実は、これは、私、一般的な他の海外での拘束事案や誘拐事案などについての日本政府の姿勢についても言えることなのではないかということで、一般論としてお答えをいただきたいと思って質問しようと思っていたことであります。  もちろん、事案によってケース・バイ・ケースであります。昨年の毎日新聞で、この四十年間の主な海外での邦人誘拐、拘束事件というのが載っております。計三十件、この四十年間である。一概に言うと、この解放率というのが低い率のときと高い率の時期があるわけです。もちろん個別の事案でそれぞれにケースがあるわけですけれども、最近、安倍政権になってから、大変、残念ながら、この解放率というのが低い経緯をたどっています。  もちろん、今、先ほど大臣がお答えになったように、こんなところで日本政府はいろいろ非道な犯人との交渉に応じる、そんなばかげたことをこんな国会の答弁で言ってもらうつもりは全くありません。しかし、硬軟織りまぜた、ヨーロッパの諸国などでは、いかにもそういうことをやっているなという国が時々あるわけです。同じ拘束事件なのに、ヨーロッパのある国の拘束者だけはなぜか生還をしていく。非常にそれなりのいろいろな動きが背後にあったのではないかなという推察をしたりしています。  こういうときに、私は、日本の政府が、常に、原則はもちろん曲げないでいただきたい、しかし、我が日本政府というのは、例えば一九七〇年代のハイジャック事件の際には、福田赳夫元総理は、大変多くの人を殺害した犯人、テロリスト、過激派を釈放する。これは、きょう小此木大臣もお越しですけれども、警察官の方が本当に必死な思いで捕まえた犯人をやむを得ず、ハイジャックでとらわれた人たちの命を救うために、もちろん当時でも賛否両論ありましたし、今でも賛否両論のある話だと思います。単純にこれがよかったと言えるとも限らないのはよくわかりますけれども、皆さんの大先輩の、自由民主党の総理大臣である福田赳夫さんはこういう判断をされた時期もありました。  私は、ぜひ幅広い視点を持って、政府は、拉致問題もそうなんです、こういう、人質がとられたとき、これには、もちろん正義も大事ですけれども、そのとらわれになっている人の人命、こうしたことを両立して、そして最後、政治責任をとっていく、そういう政府で日本政府があってほしいと思いますが、御所見があれば、河野外務大臣の御所見をお聞かせいただきたいと思います。

○河野国務大臣 政府としては、日本人、日本権益が将来にわたって標的となることを防ぐ観点からも、国際的に確立したノーコンセッションの原則に基づいて対処することとしております。

○本多委員 私の要求として、ぜひ心に。  最近こういう事件が、一つ、新しくは発生していないんですが、残念ながら、安田純平さん、ジャーナリスト、シリアで拘束をされて、大変長い間の拘束になっています。もちろん詳細は言えないことがあると思うんですけれども、最新の情報がもしあれば、河野外務大臣、交渉の状況、日本政府の取組の状況、お答えをいただければと思います。

○河野国務大臣 邦人の安全確保は政府の重要な責務と認識をしておりますが、事柄の性質上、詳細を申し上げるのは差し控えます。

○本多委員 時間の経過でなかなか報道もなくなり、御心配をされている家族や関係の方も多いと思います。他の委員会でも質問が出たようですが、ぜひこの機会に、どうなっているんだということをもう一度外務省の中で担当の方と外務大臣には議論をしていただければ幸いですが、いかがでしょうか。

○河野国務大臣 詳細について申し上げるのは差し控えます。

○本多委員 あと、拉致担当大臣にも一つお聞かせをいただければと思います。  前回、参考人の方に来ていただきました。被害者の方、家族の方、被害者の方と家族の方、支援団体の方に来ていただきました。  その際、私が大変驚いたのは、家族の方に、あれは江田憲司先生の質問の中だったでしょうか、情報提供が非常にないと。不確かなものであっても、小さな情報でも欲しいというのが私は家族の方の気持ちだと思うんですが、全くその情報提供がないというお声を聞きました。  そこのところはどうなっているんでしょうか。ぜひ、家族の方は民間人で守秘義務をかけられないわけですから、しかし、人道上、これだけ長い拘束の中で、小さな情報でも内々に伝えられるようなことができないものかと私は素朴に思ったんですけれども、大臣、いかがでしょうか。

○加藤国務大臣 拉致被害者の御家族、また特に、長い時間、拉致されてから期間がたつ中で、それぞれ、拉致をされた方も、また家族の方も御高齢化する中で、北朝鮮にとらわれている拉致被害者の方の状況がどうなっているのか、またそれに対する政府の取組がどうなのか、この一つ一つに対して大変な高い関心を持たれ、その情報を強く求められているということ、これは、私も御家族の方にいろいろな機会にお会いをさせていただき、また話をする中でも痛いほど痛感をさせていただいているところでございます。  政府としては、できる限り、何か、例えば日朝関係の動きがあれば、その節目節目で、私が主宰して外務省等関係省庁にも来ていただいて説明会をしたり、また事務局職員が個別に面会をしたり、あるいはメールでお伝えをするなど、できる限りやれることはやらせていただいているところでもございますけれども、まだまだそういった思いが御家族の方にあるということはしっかりと認識をしておきたいというふうに思います。

○本多委員 時間が来たので終わりますけれども、大きなチャンスを迎えていると思います。ぜひ、政府におかれましては、この機会を逃さずに、拉致問題の解決に向けて、ことしこそ本当に成果を出せるように御努力いただくことを心からお願いをして、私からの質問を終わります。