衆議院-安全保障委員会 2004年(平成16年)10月26日




「国の安全保障に関する件」に対する質疑

○本多委員

 民主党の本多平直でございます。

  私からも、今回の一連の水害でありますとか台風で被害に遭われた方に心からお見舞いを申し上げますとともに、現場で御活躍をされています自衛官の方々に、安全保障委員としても心から敬意を表したいと思います。

  さて、まず私からは、きょう閣議決定でテロ特措法基本計画がまた延長されたようでございますけれども、このテロ特措法に基づいてインド洋を中心に派遣をされておりますこの艦隊、日本の三隻、四隻の船でございますが、これ、そろそろ撤収もめどに入れるべきではないかという趣旨で御質問をさせていただきたいと思います。

  あの九・一一のテロの直後、アメリカの行動というのには私も一定の、国際法上とかいろいろあるんでしょうけれども、それはまた日本の国内法上の問題もいろいろあるんですが、ああいう行動に出るということは、あの九・一一のテロの大きさから考えても心情的に理解をして、その直後のああいう法律での派遣ということになったと理解をしておりますけれども、それから三年がたちました。

  日本の自衛隊の本体業務というのは、もちろん日本の防衛でございます。日本の補給艦でありますとか護衛艦の数のうち、例えば補給艦に関して言いますと、三隻、四隻のうちの一隻をインド洋にずっと、ああいう緊急事態であります、短い期間でありますと理解はできたのでございますが、三年にもわたって日本からあけている。このことが日本の防衛に本当に支障を来していないのか、そのことをお答えいただきます。

○大野国務大臣

 確かに、おっしゃるとおり、三年間にわたって補給艦をインド洋に派遣している、一体この問題が日本の防衛についてどういう影響があるんだろうか、御懸念の表明でございます。

  一定の練度を保った艦艇一隻を国内に確保しつつインド洋にもう一隻派遣しているという状態でございますけれども、最新の補給艦、これは「ましゅう」というそうでございますが、昨年度末に就役して、派遣可能となりました。このように、補給艦の派遣ローテーションが緩和されるということになろうかと思います。

  しかしながら、お説の点、いつまで続けるんだ、これはもう私、再々答弁しておりますから繰り返しませんが、補給艦についてのみ申し上げれば以上でございます。

○本多委員

 今の御答弁でございますけれども、やはりこういうことを想定しないで計画を立てて、船がこれだけ要るということで財務省ともせめぎ合って予算をとって、我々の税金を使って船をつくっているわけです。それがこういう長期にわたって海外に出て、それで支障がないと言われてしまいますと、本当に今後の防衛計画、いろいろ立てていくときも、議論に影響が出てくると思いますので、まずはこの観点しっかりとこの議論の前提に置いていただきたいと思っています。

  さて、私、このテロ特措法のやっている行動そのものというよりも、この行動についての、余りに我々に情報を明らかにしないことが、我々民主党は、例えば海外に自衛隊を出すことを一〇〇%だめというような方針をとっておりませんので、今後どういう派遣がいいのか悪いのかを判断するときに、これだけ情報を出さない、どこにいるのか、どこにいるのかというか、どこの国に寄港をしているのかすら明らかにしない派遣の仕方が本当に正しいのかという観点で質問させていただきたいんです。

  私は、もちろん、こういうものですから、軍事行動の一種ですから、どこの港に何時何分に入るとか、もっと言いますと、一歩譲りますと、どこの港、どこの町まで言わなくてもいいんです。しかし、どこの国、国家に寄港をして油を受けているのかとか、隊員の方は休んでいるのかとか、そういうことまで明らかにできないのはいかがな理由によるものでしょうか。

○大野国務大臣

 説明責任の問題でございます。

  この問題、我々としましては、説明できる限度ぎりぎりは説明させていただきたい、このように思っております。 お尋ねの具体的な案件、どこの国に寄港して、どういうふうな活動しているんだ、これが全然説明できていないじゃないか、こういう問題でございますけれども、防衛庁のホームページには、ある程度のことは載せております。しかしながら、問題として、寄港地とか補給を実施した場所等、活動の細部を明らかにしてしまいますと、やはり部隊の安全という問題が出てまいります。また、我が国と協力している国に対してその関係を尊重していかなきゃいけない、こういう問題も出ております。

  したがいまして、委員せっかくのお尋ねでございますけれども、従来からお答えを差し控えさせていただいているわけでございます。やはり安全に、そしてまた協力し合っている国々との関係を尊重しながら、本当にこういう貢献をしていくということが大事である、このような認識でございます。

○本多委員

 今、二点お答えになったと思います。寄港している国との関係と安全という観点だと思いますが、ちょっとためにするような質問をするかもしれないですけれども、この船というのは港に入っているわけですよね。見えないんですか、その国の方からは。

○大野国務大臣

 見えないか見えるかということになりますと、きちっと見えます。

○本多委員 まず、その国の多くの市民の方には見えているわけですよね。もし日本をねらおうという不届きなテロリストがいたとしたら、その方たちも当然、我々はどこの国に入っているかも知らされていませんが、どこの町に行っているかぐらいの情報は知っているわけですよね。どうですか。

○大野国務大臣

 問題の本質は、多くの国々に情報が伝達されるのか、それとも、ある寄港している港の一部の市民が明確に見るのか、これはやはり区別して考えなければいけないんじゃないか。 そういう意味で、多くの国々、広範な地域の人々にその情報が伝達された場合は、やはり何らかの問題が起きる可能性はある。これは何かというと、安全の問題でございます。これが一つ。もう一つは、先ほど申し上げました国との約束事でございます。寄港している港を持っている国との約束事でございます。

○本多委員

 今の答弁は全く納得がいきません。その町の方が知るということは、一般の市民ですから、どこにどう、今このインターネットの時代、伝えることもできるわけです。 それでは、もう一つ質問させていただきます。これは、イラクの方は同じように大変な危険の中でやっていただいているわけです。私たちには、どこの病院でありますとか、どこの道路でありますとか、どこの学校を直しているとか、細かく教えていただいているんです。そのこととの関連はどのように御説明になられますか。

○今津副長官

 六月に、先ほど岩屋議員の方からも話がありましたけれども、実は私も現地へ行ってきているんですよ。イラクの場合とインド洋の場合とは、全く作業が違うと思うんですよね。インド洋の場合は、テロリストだとか武装集団だとか、そういう人たちのいわば資金源を断つとか、テロ行為をできないようにするようなことが目的であって、どこに船がいるかとか、どういうふうに待っているかとかという作戦そのものが知られることで、行動そのものが狂ってしまう、こういうおそれがあるわけです。

  議員、実は私もあなたと同じように、もうそろそろインド洋も三年たって、目的を達したのではないかなというふうなことを考えたときもあったんです。それで、現実に、では自分で見てみようと思って行ってみましたら、まことに、先ほど大臣の方からも御報告がありましたけれども、実は、そういうテロリストの行動だとか、あるいは麻薬などの資金源を稼ぐためのそういう不穏な動きだとかというのは、一向に減っていないんですよ。むしろふえている状況の中で、もし日本の船が撤退をしたときに、いわゆる作戦そのものが壊れてしまう、そういう状況も考えられるわけで、今のところ、これはやはりきちっとやっていくということが、日本が国際社会の中においてテロリストに対する明快な姿勢を示すということにつながっていくというふうに思いますから、ぜひ御理解をしていただきたいと思います。

○本多委員

 撤退云々の話は皆さんが御判断になることですので、私、今そこのところは残念ながら質問をしておりません。軍事行動ですから、秘密が多くて結構なんです。どこの町に、いつ、どの船が入るなどということは、私聞いてはおりません。しかし、どこの国家に我が自衛隊が行っているのかということも隠したまま、インド洋もペルシャ湾もどこにいるかはそれも言えません、そういう行動に――では、一歩譲りましょう。

  短期間ならそういうこともありますが、三年間にわたって我が国の自衛隊を置いているということは私は全く納得がいかないので、ねちねちと質問をさせていただきたいんですが、いろんな議員の方がこれは行かれているんですよ。皆さんの前の幹事長の山崎先生、大臣も親しいのかと思いますが、何か戻ってきてから自民党の総務会で、私は国の名前も教えていただいていませんが、ある国の港、町の名前を堂々とおっしゃられたそうですが、これは事実関係はいかがでしょうか。

○大野国務大臣

 まず、先ほど二つ理由を申し上げました。一つは、寄港地の町の人はみんなわかるじゃないか、こういう問題であります。もう一つは、国同士の約束事で言わない、こういうことでございます。 現実からいいますと、第一点の町の人はわかるじゃないかということもありますけれども、それより大事なのは国際的な国同士の約束、こういうことであります。 それで、今お尋ねの問題は、山崎前幹事長の話でございますけれども、報道はたしかされていたと思いますが、報道の内容については承知いたしておりますけれども、私は、直接は聞いたことはありませんが、報道されているということは知っております。

○本多委員

 防衛庁として、国会に国の名前も説明できないのに、特例ですよね、現地を見ていただこうということで、与党の幹事長ということで、特別に船に、ほかの野党の議員も行っていますけれども、見せた。当然、どこに行ったかということは言わないでくださいと言われているそうです、ほかの野党の議員なんかによると。それを軽々に、自民党の総務会というのはかなりオープンな場ですし、壁の外には記者さんもいるところで町の名前も言ったということが、日本経済新聞の記事に載っているわけです、町の名前も。 これに関して、防衛庁としては、正式に抗議は与党の幹部ですからしにくいでしょうが、ちょっと今後は言わないでくださいというようなことを言いに行ったんでしょうか。

○大野国務大臣

 何党の議員がこういう発言をしたということについて、我々防衛庁の方からどうこうということは言えないとは思いますけれども、私は、原則に従って、行かれる議員の皆様にぜひともお願いしたい。こういう問題があれば、先ほどから申し上げておりますように、国会議員がそういう機会を得て訪問をした場合には、どうか寄港地あるいは補給を実施している場所等については、部隊の安全を害する、もう一つは国際的な約束事、これに反するわけでございますから公表しないこととしていることについて、ぜひとも国会議員の皆さん初め訪問される皆様に、言わないように、公表しないようにということで御理解をちょうだいしたい、このことはこれからも注意していきたいと思います。

○本多委員

 もし、まだ山崎先生に言っていないんでしたら、今度また政府の役職につかれていますので、しっかりと言って、いや、私、本当にふざけて言っているんじゃないんですよ。国会に教えてもらっていないことを、それだけ国会にも言えないような隊員の安全ですとか相手国との関係があることを平気で言っていて、そのまま新聞にも載って、何にもおとがめなしなのかというのは、全く国会としては許せない話です。

  それから、事実としてですが、この総務会で結構もめたそうなんですね、そんなところまで行っているのかということで、言われた先生が、自民党にも賢明な先生がいらっしゃいまして、ではどういう理由なんだという議論になって、この新聞によりますと野呂田先生らしいですが、野呂田先生は納得せず、党執行部が再調査することになったと。つまり、何でそんなところまで行っているんだと具体的に地名の議論になって、再調査することになったということは、当然、防衛庁にその依頼が来ているんでしょうか。その経緯はどうなっていますか。

○大野国務大臣

 寡聞にして、私、御指摘の報道の内容は承知しておりますけれども、お尋ねのあった、自民党から、この活動範囲、海上自衛隊の艦艇の活動範囲に関する再調査について具体的な依頼があったということは伺っておりません。

○本多委員

 何か総務会長がなあなあでおさめたということなんでしょうけれども、それだったらそれでいいです。

  先ほど副長官がわざわざ御答弁をいただいた点でちょっと話がずれてしまったんですが、イラクも危険なのは一緒だと思うんですよ。だったらサマワを言わないわけにはいかないと思いますが、あえて病院ですとかかなり細かいポイントを複数回言っているわけですよ。一回言っているわけじゃなくて、病院であるとか学校の名前まで、我々としてはありがたいですよ、情報をできるだけ出してくださいと言っている立場からすると 。

  そうすると、どちらかというと、この整合性は明らかにないということをまず認めていただけますか。ちょっと整合性はないでしょう。イラクの方が今、事実上大変危険な状態にある国で、それとペルシャ湾岸の国のどこかということで、どちらももちろん言わない方が隊員の安全性は高いと思います。ですから、私たちも本当に危険が及ぶんだったらしようがないなと納得いたしますが、今、普通の人が普通に暮らしている湾岸の国々の名前の方も隊員の安全にかかわって、サマワ周辺の具体的な橋の名前とか病院の名前は安全にかかわらないというのは、全く、次の議論に行くために、まずこれは整合性がないということは認めていただけますか。

○大野国務大臣

 全く局面が違います。テロ特措法の場合はテロ退治のためにやっているわけですね。ところが、イラクの方は、まず非戦闘地域、これは憲法上の要請、非戦闘地域、しかも治安が安定しているという条件の中で人道復興支援をやっている。人道復興支援ですから、治安の安定した状態の中でやっている、その安定確保は我々の責任でやる、こういう組み立て方でございますので、局面が違います。このことは御理解いただきたいと思います。

○本多委員

 局面が違うのはよく理解した上で、隊員の安全という観点では一緒ではないかという観点で申し上げましたが、私の理解は今の御答弁では承服はできません。 隊員の安全ということよりも、先ほどから何か長官の御発言を聞いていても思うのは、どうも約束をしたと。つまり、言うな、うちの国で寄港をするとか、うちの国で給油をするということを言ってくれるなという約束をしているということで理解してよろしいのでしょうか。

○大野国務大臣

 まず、テロ特措法の方の問題点だと思いますけれども、もちろん二つ理由があるんですよ、二つ理由がある。しかしながら、船が寄港していればその船の姿が見える、このことにつきましては、私は、国際的に情報を伝達するのか、一部の者が持っているか、こういう違いはあることは御認識いただきたいし、それから、そういう情報が流れますとやはり広範にわたっていろいろな脅威が出てくる可能性は大きくなる、このことは御理解いただきたいと思います。

  大事なのは国同士の……(本多委員「約束があるのかないのか」と呼ぶ)約束があります。これは当然でございます。 それから、先ほどちょっと私、テロ特措法の場合とイラク特措法の場合で、非戦闘地域、イラクだけあるような印象を与えたかもしれません。それはどちらも非戦闘地域であることは誤解を避けていただくために申し上げます。

○本多委員

 確認ですが、その約束というのは、私がいろいろな情報から考えるところ、複数の国に行っています、寄港しているのは。一応確認のために聞いておきますが、その複数のすべての国とそういう言わないでくれという約束をしているのか。ごめんなさい、これは通告していないので、もしわからなかったら構いません。すべての国とその約束をしているのか、それとも、一、二の国としていて、ついでに面倒くさいから全部言わないことにしているのか、どちらなんですか。

○大野国務大臣

 この問題は、面倒くさいから全部というわけではありません。寄港地のあるすべての国からそういう依頼が来ております。公表するなという依頼が来ております。

○本多委員

 私、日本政府の判断で隊員の安全でやっているとしたら、寄港する港ではなくて、寄港する時間でもなく、国の名前も言わないというのは非常に納得がいかないのですが、まあ相手国がそう言っているということは、全部の国から言っているという長官のお言葉ですから、それはそうなんでしょうということで理解をいたしますが、余り隊員の安全安全ということを言うといろいろな矛盾も出てまいりますし、自衛官の方への指示もどうなっているのか。つまり、元気でやっていますというのが、消印ばっちり押して絵はがきが届いているんですよ。

  それも、つまり、国会に隠しながら、本当に隠すんだったらちゃんと隠さなきゃいけないし、それから、陸上の軍事オペレーションでしたら隠そうと思えば隠せるんでしょうけれども、港に大きな船を入れているようなものを言わないという約束をするのがその相手国にとってもどういう利益があるのかないのか、私ももうちょっと考えてみますけれども。

  要は、私も別に、具体的なペルシャ湾岸の国名を知ったから、いきなりそこの国が安全であるとか安全でないとか、あんなところへ行くべきであるとか行くべきでないというようなことをすぐ議論できるといって、こういうことを言っているわけではございません。

  ただ、これだけ長期にわたって日本の自衛隊を海外に派遣しているときに、今回の法律の枠組み、余りにも粗くて、それから、そもそもこんな、相手国が要請したからといってどこに行っているかも国会にも言えない、そんなような約束でこれだけ長期にわたって派遣するのはいかがか、そういう観点での質問でございますので、そこのところは御理解をいただきたいと思っています。

  同じような質問をほかの議員の方も過去にされていまして、〇二年五月十七日にテロ特で、今川さんという議員がいろいろこういうやりとりをした後に、役所の方、当時の北原運用局長という方ですが、活動終結後に示すのはいいのかということに対して、活動終結後にお示しをするのは当然でございますというような答弁をしております。

  これは確認をさせてください。私は、何月何日どこにいたとかという細かいことまではいいですが、あくまでこだわるんですが、相手国の要請があったって、それは危険性とかいろいろなことだと思いますので、終結した後にはどこの国に行っていたかぐらいは我々に明らかにしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

○大野国務大臣

 終結した後でございますが、第一の安全の問題はこれで終わりになります。それから第二は、約束事ですから、当然のことながら相手国の了解を得て発表する、こういうことになります。相手国、例えば寄港の問題であれば、寄港した港のある国の了解を得て発表するという段取りは必要かと思いますが、相手国もそれはまさかノーとは言わないと私は思います、もう終結後ですからね。

○本多委員

 きちんとそこのところは情報の公開をぜひしていただきたいと思っています。

  もう一点、このテロ特措法では重大な論点がありまして、たまたま同時期にというか、おくれてイラク戦争が勃発したことで、一般常識として、新聞報道などありますし、最終的に私たちも行ってみるわけにはいきませんので確認できませんが、イラク戦争に派遣をされた船も、あの辺を通っているときには海上パトロールもするわけですから、事実上、いわゆる不朽の自由作戦というこのインド洋でやっている作戦も兼ねている、兼ねているときには、まあその船に給油することはいたし方ないという答弁を他の委員会でされていますが、それはそのとおりでよろしいでしょうか。

○大野国務大臣

 我々は、テロ特措法に従いまして油をある国に給油する、それはテロ退治のためにやっている、こういう理解でございますから、相手との信義関係だと思います。その船が例えばさらにイラクの方で活躍するような場面で利用されましたら、これは信義違反でございます。私は、そういう信義違反になるような状態は起きていない、このように信じております。

○本多委員

 私は、そういう答弁をするから日本の安全保障の議論がおかしくなるんだと思っています。あの時期にあそこでたくさんの外国の船が活動しているときに、逆に、活動がダブっていない方が、特に米軍に関しては、おかしいと考えるのが自然ではないですか。

○大野国務大臣

 これは、せっかくのお尋ねでございますけれども、アメリカなど協力支援活動対象国との間に交換公文というのがあるんですね。交換公文できちっと明記されております。先方との協議の場でテロ対策特措法の趣旨に基づいてきちっと説明して、先方もこれで了解はいたしております。 したがいまして、我が国の支援というものは、このような確かな信頼関係のもとで行われているわけであります。我が国が提供した物品がテロ対策特措法の目的に合致しないで使われている、これはもう国際信義に反することであります、交換公文に反することであります。そのようなことはないと信じております。

○本多委員

 信義上ということで、お互いに、防衛庁長官も確認ができないし私も確認ができない、それは相手国を信用するしかないという実態であるということだと思います。

  私が申し上げたいのは、こういうふうに長期にわたって、当初の目的は九・一一直後ということで非常にわかりやすかったんですけれども、長い間活動していますと、そこで別な戦争も起きるわけですよ、まさにこの例のように。そのときに、私は疑いを今でも持っております、残念ながら。そういうものが軍事行動だと思います。その船が、そんな、こっちの都合で、日本の法律の都合で、何とか作戦、何とか作戦と分けて活動していた方がおかしいような気はしますけれども、まあ長官の答弁を尊重しても、こういう疑いを持たれるような状況が発生してくるわけですよ。最初つくったときにはそんな戦争はなかったけれども、別な戦争が出てくる。こういうことを避けるためにも、やはり小まめにこういう派遣はしっかり見直していくべきだという主張をしているわけでございます。

  もう一点なんですが、ちょっと法律的な話になって、これは私も事前のレクチャーのときにはよくわからなかったんですが、今、主にアルカイダ対象ですよね、テロ特措法の対象は。このアルカイダ、イラクの報道を見ていますと、アフガンで当時活動していたアルカイダそのものなのかアルカイダ系なのか、私はそこの区別がはっきりはわかりませんが、よくアルカイダ系の方々がイラクでも活動しているという報道があります。

  これは、実態の議論ではなくて法律の議論をしたいので、あえて仮定の話で申しますが、アフガンであの九・一一に関連をしていたアルカイダが、陸路イラクに移っていろいろ活動をしている、妨害活動をしている。そうした場合、テロ特措法でイラク国内の九・一一関連テロリストを抑制する行動に給油をしたりすることは可能でしょうか。(大野国務大臣「ちょっと最後のところ、もう一回」と呼ぶ)このテロ特措法に基づいて、イラク国内に移動してきた九・一一関連のテロリストに対していろんな行動を行う米国等の軍隊に給油等をすることは可能でしょうか。

○町村国務大臣

 後で長官が答弁されると思いますけれども、イラク国内で活動をしていると言われるアルカイダ系といいましょうか、その関連組織、その詳細は正直言ってよくわからないところがあります。ですから、それらの組織とアフガニスタンを本拠地とするアルカイダの関連性、あるようでないようで、これはアメリカでもいろんな報道があり、いろんな分析があり、必ずしもはっきりしないということを前提にして防衛庁長官がどう判断をされるかなということだろうと思います。

○大野国務大臣

 理屈としてはそういう先生のおっしゃったような理屈も成り立とうかとは思いますけれども、やはり二〇〇一年九月十一日のテロ攻撃にもたらされている脅威の除去をイラクの方で目的にしているとは考えにくいんですね。したがいまして、我が国がテロ特措法に基づいてイラク国内の米軍等の活動を支援することは、ちょっと直ちには考えにくいな、理屈の問題としては、そういうことがあっていいのかなと。

  アルカイダ、タリバンの残党がイラクに残っている、それを追放する、こういう観点からいいますと、そういうことも理屈としてはあろうかと思いますが、やはりこのイラク特措法の場合は、イラクの復興や安定ということが法律の趣旨、目的であります。(本多委員「イラク復興の法律のこと聞いていないですよ、テロ特でやる場合」と呼ぶ)ですから、法律の目的に照らせば、私はやはり先生御指摘のようなことは考えにくいな、こういうことであります。

○本多委員

 外務大臣からも御答弁いただいたんですが、余り私、実態の話をしたつもりはなくて、法律理論上の話をしただけなので。逆に私も、変な、やぶ蛇なことを言いたくなくて、できますよなんて言われたら困ったわけで、法律上、読めばできるんだろうなと思ったらできないというお答えなので、何か法律上はおかしいけれども、個人としては安心をいたしましたが。

  要は、二つの戦いが同時に起こっちゃって、私たちは別な法律で出たんだけれども、それは、これだけ長い間一つの法律を延長、延長でやっていますと、こういうおかしなことがたくさん起こってくるんじゃないですか、そういうことを申し上げたいのでございます。

  それで、ちょっとイラクのことの方も伺いたいと思います。 先ほど自民党の先生やうちの民主党の前原議員とも議論をしていただきましたが、宿営地の中に信管が抜かれていたとはいえ砲撃されるというのは非常に重大な事態だと思っています。

  私は、もちろん、民主党はそもそも派遣自体に反対ですから、いわゆるいついかなるときでもどちらかといえば撤退すべきだという立場でございますから、皆さんとそういう立場から話してしまうと議論がかみ合わないのでございますけれども、そうじゃなくて、皆さんの立場に立って議論をあえてさせていただきますけれども、撤退のタイミングというのを、これは細田長官が、これは別に期限延長の話に全く関係ない、さっきの前原委員との答弁でもそんなことをおっしゃっていましたが、一発撃ち込まれたから撤退というのは皆さんの立場からしたらあり得ないというのはよくわかります。しかし、十分検討の材料にするということは当然だと思うんですが、いかがでしょう。

○大野国務大臣

 先般の、ロケット弾を宿営地内に撃ち込んできた、これにつきましては、たびたび申し上げておりますけれども、信管がなくて、なぜ信管がないんだ、なぜ撃ち込んできたんだ、こういうような背景を十分把握する必要がありますけれども、現在の状況でいいますと、あの場合には全く安全であった、これは直ちに撤退を考える材料にはならない、これはもう私どもはそう思っております。

○本多委員

 総合的に判断をしていただければと思いますけれども、大変危険な状態になっている。私がなぜこのようなことを申し上げているかというと、皆さんの立場に立って、我々はそもそも派遣反対でございますが、もしも、私もそんな事態を、前原委員も何度も申し上げたとおり、そんなことを望んでおりませんが、自衛隊に人的な被害が出るようなことになって撤退というのは、まさに皆さんが考えている目的からも非常にまずいんじゃないか、日米関係の信頼からも、そういう事態になって、ああ、わあと国内でも騒がれて、それは私は騒がせていただきますが、そのときには。

  しかし、そういうのを受けて何かすごすご撤退というようなことではなくて、私は、落ちついているとは思いませんが、そういう被害が起こる前のある時期を、法律で何カ月かでとか何年とかで決めた期限をきっかけにきちんと撤退というようなものを、一区切りつけるというようなものを検討するというのは、軍事部隊を出している立場としては常に考えるべきだと思うんですが、いかがでしょう。

○大野国務大臣

 御存じのとおり、イラク人道復興支援特措法は時限立法になっております。たしか四年間で、十九年に期限切れとなります。その中で、一年たって十二月十四日という節目を迎えるわけでございます。

  我々は、今おっしゃったようなことを十分に念頭に置いて、治安の維持、復興の道のり、これを十分検討して決定していかなきゃいけないわけでございます。 治安自体についていいますと、予断を許さない、こういう状態であることはもう委員十分御承知のとおりでありますけれども、サマワというのは、イラク全体からすれば治安は安定している方である。それが、ロケット弾を撃ち込まれて、これは初めてのことですから、これはそのこと自体が撤退の要因にはならないとしても、いろんな場面を想定して今後十分検討していきたい、このように思っております。

○本多委員

 わかりました。それでぜひ検討してください。しっかりそういう、引くときの方が大事だということは長官おわかりだと思います。 いろいろ伺いたいことは残っているんですが、きょうはできなそうなんですが、要は、一つこのことはお認めをいただけるのかどうか。つまり、皆さんは、イラクとテロ特、両方にわたってお伺いをしたいんですが、外務大臣も含めてなんですが、それぞれ役割があるわけですね、テロリストの封じ込めへの給油であるとか、例えばサマワでいうと給水という。そのこと自体にはまたもちろん価値があるんですけれども、この二つの派遣は、私なんかは若干違う立場なんですが、皆さんからすると、皆さんの言うところの日米同盟というか日米関係に対して、重大な象徴的な意味がある、そういう理解でよろしいのかどうか、両大臣から御答弁をいただけますか。

○町村国務大臣

 先ほど前原委員からも、やや角度は違いますけれども、同じような御趣旨のあれがございました。 私ども、幅広い日米同盟関係、これは軍事関係のみならず経済関係、文化面、いろいろなものがあるわけですが、なかんずく重要な関係が、特に今自衛隊、米軍、そういう関係であるわけであります。今委員お尋ねのような、広い意味の日米同盟としての、その一つのあらわれとしてのイラクあるいはアフガンへの日本独自の判断に基づく協力であるかどうかというお尋ねであれば、それは、さようでございますという返事を申し上げるのが妥当だと思います。

○大野国務大臣

 外務大臣おっしゃったとおりでございますけれども、私は、二〇〇一年九月十一日のテロ、これは領土を持っていない相手ですよ、テロというのは。領土を持っていません。国籍がありません。しかも、世界貿易センターに突っ込んでまいりましたけれども、その世界貿易センターの中にはいろいろな国籍の人がいるんですね。日本人も犠牲になられました。そういうことを考えますと、テロというのはやはり人類共通の敵ではないか。そうだとすれば、テロ撲滅、追放のために何らかの役割を果たしていくべきではないか。こういう問題が一つあろうと思います。その中で、日米同盟、世界の中の日米同盟、この役割を十分果たしていかなきゃいけない。もちろん、役割分担はあります。しかしながら、世界の中の日米同盟、こういう観点からこの問題に対応していきたい、こういう趣旨でございます。

○本多委員

 ちょっと私の求めていた答えではもちろん、もちろんというか、残念ながらなかったんですが、私が申し上げたかったのは、皆さんの日米同盟に対する考えを聞きたかったというよりも、今回、皆さんの立場からすると、僕、多分に象徴的な、答弁しなくてもいいんですが、象徴的な意味もあったんだと思うんです。これだけきちんと現地に人を、私はそういうのが、ずるずるアメリカに従ってやることが常にいいとは全く思わないんですが、今回、そういう象徴的な意味は、イラクの方もこれだけ危険なところにしっかり出すし、かつテロ特も三年にわたって協力をしてきたわけです。ですから、私は、象徴的な、皆さんが求めているような意味はある程度果たしたということは考えた上で、撤退については考えていただきたい。

  それで、私、この質問をするときにいろいろ議事録を見ていまして、外務政務官になられる前の小野寺委員の、これは当時の石破長官に、これはイラクに限っての話だと思うんですが、いい質問を見つけて、この考えに基づいて政務官としても大臣を補佐してお仕事していただきたいなというふうに思って、あえてこの質問をもう一回。石破長官への質問の最後の言葉として、今の小野寺政務官は「最後に一言。仕事というのは、ある年限があって、それを目標に一生懸命やるから仕事ができると思います。ぜひ、今回のイラクの人道復興支援、自衛隊の活動もある年限をそろそろ考えて、それまでに私たちは復興を実現する、」そういう考え方で、飛ばすといけないんでしょうかね、「お互いにそういうやりとりも必要かと思います。」こういう石破長官とのやりとりをされています。お越しいただいていますので、引き続きこういう考えで取り組んでいただけるかどうか、政務官に答弁をいただきたいと思います。

○小野寺大臣政務官

 お答えします。 全く考えは変わっておりません。政治家個人として言わせていただければ、仕事というのは、やはり一つの成果、その年限があってそれで初めてやる気も起きるし、また、現在頑張っていらっしゃる自衛官の皆さんもしっかりと仕事ができるというふうに思っています。

○本多委員

 ぜひそういう観点で、特にイラクの方は、水がしっかり飲めるようになれば撤退の時期だという石破長官の以前の答弁もございます。それから、テロ特の方はなかなか難しいんです。テロの根絶などということはあり得ませんが、今後十年、二十年にわたって、今のインド洋だけの枠組みでやれるわけがない。別な枠組みでテロとは闘っていかなきゃいけないわけですから、どこかできちんと区切りをつける方向で御検討いただくことを心からお願いいたしまして、私の質問を終わります。

○小林委員長

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時五十五分散会