衆議院-安全保障委員会 2005年(平成17年)05月12日




 「防衛庁設置法等の一部を改正する法律案(内閣提出第三八号)」に対する質疑

○本多委員

 民主党の本多平直です。 最初に、先ほどの村越委員と大臣とのやりとりをもう一度確認させてください。 北朝鮮が発射した弾道ミサイル、計算機で計算をしましたら、着弾地の予定地は三陸沖の公海だという場合、このミサイルを本法で防衛、迎撃することは可能ですか。

○大野国務大臣

 まず、我が国の領域に落ちてくるということを確認した上で迎撃ミサイルを発射する、こういうことでございます。これは必ずそうしなきゃいけないという原則でございます。

○本多委員

 質問にお答えをください。この計算時では、着弾地は三陸沖の公海です。この場合、発射ができますか。

○大野国務大臣

 公海に向かって落ちてくるものには発射いたしません。

○本多委員

 わかりました。それを確認したかったので、次の質問に行きたいと思います。 私は、国会の事後承認、事後承諾をぜひつけていただきたいというお願いをしたいと思っております。

 それで、今まで議論の中で、要らないんだというお話はよくわかりました。まあ、そう心配しなくても、要らないんだよということはよくわかったんですが、逆に、あると困りますか。別にこれ、事後承諾という手続があって何か困るか、この点についてお答えをいただきたいと思います。

○大野国務大臣

 あって困るかと言われますと、大変お答えしにくい質問でございます。 しかし、国会の行動あるいは各法制度の整合性、こういうものはきちっと我々国会議員としても、あるいは政府としても見ていかなきゃいけない問題じゃないか。

 例えば、防衛出動の場合、治安出動の場合、海上警備行動の場合、領空侵犯の場合、いろいろな問題があります。その中で、性格に応じて、例えば今回のミサイル防衛というのは、やはり国民の生命財産を守るために絶対にやらなきゃいけない必要かつ当然の措置でありますし、そういう措置をとるために、飛来してくるミサイルを撃ち落とす、こういう行動であります。

 その行動によって何が起こるのか、これをきちっと見ていかなきゃいけないわけであります。まず一番目は、やはり飛んでくるミサイルを破壊する、こういうことであります。(本多委員「質問に答えてください」と呼ぶ)答えていますよ。

 それで、相手国の領域、先ほど冒頭に申し上げましたとおり、公海とか相手国の領域における人命を傷つけるわけでもありません。さらに、日本国民の私権に対する制限をどう考えるか。この点を見ますと、防衛出動等の事例と違いまして、やはりこの私権に対する制限というのは著しく小さなものになっております。

 そういう意味からいたしまして、私が申し上げているのは、法律、自衛隊の行動について、あるいは自衛隊行動以外の場合もそうですけれども、整合性が必要だ、いろいろな行動に対する整合性が必要である。その整合性をどういうふうに見ていくかというポイントとして、今申し上げましたように、質問に答えてくださいとおしかりを受けましたけれども、実はそれがポイントでございまして、私権の制限があるのかどうか、こういう問題を軸にして考えていくべきだ、このように思っております。

○本多委員

 今、私権の制限が小さいから国会承認まで要らない、事後承諾まで要らないんじゃないかという点と法律の整合性という二点をおっしゃられましたので、その後半からまず反論したいと思うんです。

 法律の整合性は確かに必要なんです。きれいな法律の方がいいんです。しかし、これは実は石破前長官が先日の委員会質疑でもおっしゃられましたとおり、我が国の防衛法制は、いろいろな事態に継ぎ足し継ぎ足しでしてきたことで、建て増しを重ねた温泉旅館のようになっているわけです。これは別に、それはもちろん最初から全部きれいな法体系でつくれれば、それは私たちもいずれそういうことを考えたいと思いますけれども、現実にそうなってきているわけです。

 そこで、明らかなマイナスが出ない限り、確かに、領空侵犯のときにもない、それから海上警備行動のときにもない。しかし、ないから、入れて困るのだったら、何か行政上困ることが出るのだったら、それは入れちゃ困るという話になりますが、法律の整合性なんて、そんな、見て汚いというだけの話ですから、ぜひそれは入れて、実害がないのでしたら、きちんと、若干シビリアンコントロールの手続を簡素化しているわけですね、今回。ですから、事後の方は、ちょっと厳重過ぎるけれども、国会の承認をする、これで何か不都合がございますか。法律の整合性というのはそんなに大事ですか。

○大野国務大臣

 どういう場合にどういう国会のかかわり方をするのか、これはある程度整合性を持って議論すべき問題だと私は思います。そうでなければ、その基準、物差しがなくなってしまって、そしてその中で、こういう場合は絶対やらなきゃいけない場合でも、例えば多数決をもって、やらなきゃいけないものをやらないでいい、こういう決め方をすることになってしまう可能性だってある。逆のケースもあり得るんですね。

 そういうことを考えると、やはり私は、ある程度頭の整理としては、こういう場合は承認だ、こういう場合は報告だ、こういう場合は報告要らないよ、こういうあらあらとした基準、物差しは持っておくべきだ、このように思っております。

 しかし、この問題はどうぞ御議論いただきたいと思いますが、私どもは、国会の中でも、やはり国会というのは国民の皆様に責任を持つわけですから、多数決をもって、こういう場合やらなきゃいけないというものをやらなくていいよというわけにはやはりいけないんじゃないでしょうか。そういう意味で、整合性というのは必要だと思います。 それからもう一つは、やはりこういう問題を議論する場合に大変大事なのは、そういうふうに国会のかかわり方ということを十分議論して、そしてその結果、我々は大事なことだと思っています。本当に国会に報告するということで提案させていただいておりますが、報告の中身、これはきちっと具体的にさせていただきますので、国会の中で十分御議論をいただければ、その御要望はある程度達成できるのではないか、このように思っておるところでございます。

○本多委員

 報告でも達成しようと思えばできますけれども、承諾というのがあれば委員会が開かれるわけですよ。報告だけでそれを議論できるかどうか、そのときの与野党の状況はわからないので、これはぜひともしっかり国会承諾の手続を入れることで、私はマイナスはないと思っています。

 法律の整合性のことですけれども、整合性をそこまでおっしゃるなら、私は一点伺いたいのは、なぜ領空侵犯や海上警備行動には国会への報告がないのに、この場合だけ国会への報告が入っているのですか。

○大野国務大臣

 この場合、国会への報告ということをさせていただきましたのは、大きく言いまして二つ理由があると思います。

 一つはやはり、これは必ず自衛隊が持っている、私は武器という言葉でいいと思いますが、実力という言葉を使いましょう、実力を使わざるを得ない、使わなきゃ撃ち落とせないんです。だから、実力を使うということであります。

 そして、第二の理由としましては、やはり、ミサイルが飛んでくる、これは防衛出動下令前でありますけれども、防衛出動下令前にミサイルが飛んでくれば、可能性としては防衛出動につながっていくことになりはしないのだろうか。そういう意味で、やはり報告をしておく、このことは私は必要だ、このように思っています。

○本多委員

 大変いい答弁をいただきました。 要は、今の大臣の御答弁は、この八十二条の二項の措置は、海上警備行動や領空侵犯とやはり違うんだ、武力を使うという非常に防衛出動に近い、ぎりぎりのところまで寄った行動であると。ですから、報告というのをわざわざ、ほかのどこにもないわけです、自衛隊法には国会への報告なんという言葉は。それがここだけに載っているわけですから、私は、ここに国会の事後承諾というのがついても、決して法律の整合性上何の問題もないと思っております。

(発言する者あり)

 そしてもう一点、大臣はおっしゃっていないんですが、後ろの自民党の方から声も出ているので、あえて私、議論を提起したいんですが、もう撃っちゃっているものは効果がないんじゃないかとおっしゃるんですね。

 私もいろいろ調べてみたんですが、憲法の八十七条に予備費の支出というのがあるんですね。予備費を支出した場合、国会は事後に承諾をするというのは、実は憲法に書いてあるんですよ。ところが、予備費というのはゼネコンさんとかにもう払っちゃっているわけですよ、いろいろなお金を使ったら。つまり、例えば野党が頑張って不承認になったとしても予備費を取り戻せない。つまり、我が国の法体系には、政治的に、もう払っちゃって取り戻せないけれども、事後に国会がおかしいと言うことで、今後同じようなことが起こらない、そういうことを担保する仕組みが憲法にあるんですね。 ですから、今回ここに、もう撃っちゃったから関係ないという議論は関係ないと私は思うんですが、いかがですか。

○大野国務大臣

 私は、撃ってしまって後戻りはできない、いわば不可逆的であるという御説明を申し上げたことはあります。

 しかし、この予備費の問題と違いますのは、予備費というのは、使途を明細にしておく、いわばトランスパランシー、透明性が必要なんですね。その透明性を確保するために、国会で事後で承認する、こういう行動は絶対に必要な行為であります。

 ミサイルの場合は、飛んできたミサイルを撃ち落とさなければ国民に被害を与える、こういう意味で、必ずやらなければいけない行為であります。そしてまた、これは当然のことでございます。ところが、予備費の方は、ここにこれだけの金を必ず使わなきゃいけないんですか、こういうことすら言えるわけであります。

 したがいまして、もしミサイル防衛について国会でいろいろ御議論があるとすれば、私は、内閣の信頼の問題、こういう問題につながっていく問題である。いわば内閣不信任決議、こういうことで考えるべき問題であって、しかしながら、これは飛んできて日本の領域に落ちることはわかり切っているわけですから、そのことを撃ち落とすこと、これは内閣の責務でございます。これを私は果たしていく。そのことについてもし御疑問なりなんなりあれば、これは事後承諾とかそういう問題じゃなくて、内閣に対する信頼感の問題として処理していくべきカテゴリーの問題だと思っています。(発言する者あり)

○本多委員

 何かやじにも答えたいんですけれども、どうしたらいいのかわからないんですが。 いろいろ出て、私も基本的に、実はそんな、本当にミサイルが飛ばされてきて皆さんが一項か三項で発射した、それが国会に報告されました、ここまで報告されるわけですね。おかしいというケースはほとんど、大臣のお好きなお言葉で言うと万々が一にもないと思っているんですよ、そんなことは。

 しかし、ただ、今私たちの議論の中で、例えば計算機が間違っていて、本当は三陸沖に落ちるものを何らかの間違いで撃ち落としてしまった。そのせいで北朝鮮が、我々が正当に太平洋に向けて撃ったものを、我々の大切な財産を途中で何とかしたとか、いちゃもんをつけて言ってくる。いろいろなおかしな万々が一のケースを想定して、ほとんどの場合は私たち民主党も皆さんの発射を承諾させていただきますよ。しかし、システムとしていろいろな間違いが起こったり、今回はましてや、閣議決定とか普通の手続を飛ばすということを政府を信頼して認めているんですから。 私たちはさらに、皆さんがつけているおかしな「期間」というところも外して、この法律をより確かなものにしようとしている。であるからこそ、しっかりと国会で承諾ぐらいさせていただいてもいいんじゃないかという主張でございますので、ぜひしっかりと政府としても与党としても御検討をいただければと思います。

 私は、きょう伺ったところ何ら、もちろん、なくてもいいという御主張は一つそれはそれで立ちます。私たちも政府を信頼したり、シビリアンコントロールをそこまで徹底しなくていいやという考えに立てば、なくてもいいという論の立て方もあり得ますが、私たちはあってもいいんですから。あってもよくて、面倒くさいし法律的にも汚いけれども、これは少しシビリアンコントロールをしっかり徹底するんだ、そういう意味で、ここまで徹底するんだということで置いても、ミサイルは事前に撃てるわけですから、撃った事後にしっかり、本当におそれがあったのか、いろいろなことを国会で議論をして承諾しない、そういう政党があって承諾しないということがあれば、それはそれで反省を政府がすればいいわけです。

 皆さん、軽々しく内閣不信任不信任とおっしゃいますけれども、それはもちろん不信任するときはさせていただきますよ。しかし、ほかの政策では、例えば郵政民営化はしっかりやってほしいと。しかし、このミサイル防衛は、今回撃ったのはちょっと早まって計算間違いがあったんじゃないか、そういうケースもあり得るわけですから、内閣は信任してこのケースはおかしいということもあり得るわけですから、すべて内閣不信任でやれというのはおかしな主張だと思います。

 それでは次に、八十二条の二の三項の「期間」の話をさせていただきたいと思います。 この期間というのが、実は最初の説明では、かなり以前からの法案の説明では、シビリアンコントロールを徹底するためにも出しっ放しじゃいけないでしょうという話だと思っていたので、何となくは納得をしておりました。しかし、先日の大臣の答弁を聞いていますと、実はイージス艦の運用でどうしても穴が出るんだ、命令を出しても撃てない時期が出るから、この期間というのを区切るんだという御説明がありましたけれども、それはそういうことでよろしいんですか。

○大野国務大臣

 期間という一点に絞って議論させていただきます。 なぜこういうことをやったのか、その背景。 まず第一に、イージス艦が、例えばいろいろな要務で日本海なりに配備されている。そのときに、ミサイルが飛んでくる。ミサイルが飛んでくるのは、兆候がない場合に事態が変わって飛んでくる、こういう意味でございますが、そういう場合に、命令がないと撃てないわけですよね。ですから、そういうような問題を考えれば、基本原則は一項でございますが、一項を補完しておかなければ大変万全を期することにならない、これが一つ。

 それから二番目。申し上げましたように、やはり二十四時間、三百六十五日というのは理想なんですけれども、どうしても今の能力の限界があります。そういう意味で、やはり期間を定めておかなきゃいけない、こういう問題があります。

 そして三番目に、命令をあらかじめ出しておく、ずっと出しっ放しでいいのかどうか。その問題は、例えばイージス艦の何艦に命令を出す、イージス艦連合司令官に出しておく、イージス艦の艦長に出しておく、いろいろなケースがあると思いますけれども、一人一人に自覚を持たすと同時に、一人一人に対してこういうことですよという長官としての命令を出しておく、こういうことを考えると、やはり期間は定める、そして期間を定めるときの命令については公表をしない、こういうふうにさせていただきたいと思っております。

○本多委員

 実は、この期間を、三百六十五日、二十四時間、イージス艦で守れないということを大臣が認めているわけですね。

 では、ちょっと伺いたいんですけれども、例えば、本当に守るんだったならば、PAC3のことは今回抜きましょう、三地域しかないわけですから。PAC3のない地域もあるわけですから。しかし、なぜイージス艦ぐらい、せっかくここまでお金をかけるなら、大体これは技術的に不可能なのではなくて、イージス艦の数をふやせば可能なわけですよ。

 皆さんのマックスの運用にしたときでも、ゼロになる、つまり、迎撃可能なイージスがゼロになる可能性の時期があるから期間と書いているんですよね。そうじゃなければ、我々の主張のように、我々は期間という部分を取ってくれと主張しているわけですけれども、期間の部分を取るべきじゃないかと思うんですが、なぜイージス艦をちゃんとお金をかけて数を配備しないんですか。

○大野国務大臣

 御理解いただきたいのは、主役はあくまでも第一項でございます。第一項の場合は……(本多委員「イージス艦をなぜ配備しないんですか、お金をかけて」と呼ぶ)だから、これを申し上げている。聞いてください。(本多委員「時間があるんですから」と呼ぶ)

 第一項が主役なんです。第一項がなぜ主役か。もうくどいようですけれども、兆候がある、おそれがある、だから蓋然性が極めて高いんですよ。そういう兆候がない場合のことを三項で規定しているわけであります。兆候がないわけです。だけれども、兆候がない場合でも、たまたま警戒監視に当たっているイージス艦がその近辺にいる、存在している、そういう場合に、三項を設けておかないと命令が出せない、命令が出せなければ迎撃できません。だから、そういう意味で、第一項の基本原則を補完する意味でそういうことを決めているわけでございます。三項の場合は、蓋然性が、つまり兆候がない、おそれがない、こういう場合であるということをまず御認識いただきたいと思います。

 その中で、では、いかに厳しい財政事情の中でイージス艦を配備していくか、こういう問題であります。

 そこで、今、四隻についてそういう装備をやろうとしておるわけでありますが、あと二隻計画をする予定であります。計画しております。その二隻についてどうするか、これからの問題として、やはり今先生がおっしゃったような観点からも十分検討していかなきゃいけない。この問題はもちろん、これからの日米共同の研究とか開発とかこういう問題にもかかわってくるかもしれませんけれども、やはりあと二隻、合計六隻というようなことを考えておりますので、この点は、私はやはり将来の問題として、先生の御心配の点、考えておかなきゃいけないと思います。 以上で、期間をなぜ定めるか、こういう点は御理解いただけたと期待いたしております。

○本多委員

 基本的に、兆候があるときはしっかり対応するけれども、兆候がないときはなかなか難しいという正直なお答えだったと思います。

 では、現実はそうだとしましょう。予算のことも皆さんあるんでしょう。しかし、そうだとしても、期間という言葉を法律に書いちゃうのはどうなのかという思いがあるんですよ。つまり、飛んできたらいつでも撃てるようにしておいて、しかし、実はたまたま、能力的にいろいろ、ドックに入っていた、それから訓練に参加して太平洋へ行っていた、おまけにもう一隻はインド洋に行かされていた、こういう日本海にいないというときでも、これは残念ながら命令を履行できなかっただけであって、撃てるような仕組みをつくっておくというのは決して悪いことじゃないんじゃないか。

 なぜこういうことを言うかというと、今ここで、国会で北朝鮮にこういうことを言っていいのかどうかわかりませんけれども、三百六十五日、二十四時間じゃない、三百六十五日、二十四時間じゃない、本当にそんなことを言っちゃっていいのかなと思うんですが、それは現実なんでしょう。しかし、それを法律の文言に書いて、守れる期間があるよ、守れない期間もあるよ、命令が出ている期間もあるよ、兆候がないときですよ、こんなことを公の法律に書くというのはどういうものでしょうか。

○大野国務大臣

 第三項をよくお読みいただきますと、「期間を定める」と書いておりますから、いつからいつまでということは書いておりません。ですから、それを決めますけれども、その命令を公表するとなるとそれがわかってしまう、手のうちを示すことになってしまうわけであります。したがいまして、いつからいつまでだということは表に出ません。我々は、なるべくそのすき間は小さくしていきたいとは思っています。

 だけれども、問題は、たびたび申し上げて恐縮ですが、たまたまそのときに現場近くにイージス艦がいて、命令がないと撃てないわけですから、そういうイージス艦に命令をあらかじめ包括的に出しておいて、我が国に飛来することが確認できれば撃ちなさい、こういう命令を長官から出しておく、これはまさにミサイル防衛、装備を一〇〇%使いこなしていく、万全を期する態勢ではないでしょうか。

○本多委員

 私、皆さんの法制のとおり通ったときに、この期間を公表しちゃ困ると思いますよ、当然。しかし、私の主張はそうじゃないんですよ。期間なんて条項は外したっていいんじゃないんですか、外したって何か支障は出ますか、こっちを聞いているんですよ。別に期間の公表の話じゃないです。

○大野国務大臣

 問題点といたしまして、先ほど幾つか申し上げました。その一点だけ、繰り返しになりますが、申し上げたいと思います。

 それは何かというと、このイージス艦、この艦隊、この司令官、こういうふうに個々にやっていく場合があると思います。イージス艦であれば、出航してから帰ってくるまで、それは何カ月とは申しませんけれども、そういうことに対して命令を下す、こういうことであろうかと思います。例えば、そのイージス艦が戻ってきてどこかドックへ入っておるのに出しっ放しというわけにはいきません。きちっとした命令を出す、そしてそれがやはりシビリアンコントロールの一層の確保につながっていく、私どもはそういうふうに考えております。

○本多委員 私とは考えが違うんですね。法律上で期間に穴があるというようなことを宣言するような法律の立て方は、実効上、ドックに入っている間は迎撃不可能なのかもしれないけれども、それは可能だという法体系にしておく方が私はよりいいのではないかと思っております。

 それで、例えばさっきの期間の公表の話なんですけれども、余り自信を持っていろいろなことをおっしゃらない方がいいと思うのは、つまり、期間をもちろん非公表にするんでしょうけれども、イージス艦の出入りなんというのは、別に専門のスパイがいなくても、大きな港に入っているか入っていないか、それから、インド洋に行っている船の情報は公開されているわけですし、相手側からすると、もし本当にやろうとしたら私たちが手が薄いときにやるわけですよね。ですから、それは実は、本当に隠しおおせるような、大きな船の運用ですから、これはしっかりやらなきゃいけない。

 私、実は、こういうことを言っていると、ではイージス艦をどんどん買えという方向にだけとられても困るんですけれども、それは私は一つの選択肢だと思います。中途半端がいけないと思っているわけですよ。皆さん、一兆もかけて国民の安全を守ると、テレビ番組ですごい威勢のいいことを長官も言われたようですが、こう言っていながら、実は、詰めていくと、PAC3は三つだけ、そしてイージス艦も実は日本海にゼロのときがある。これでは、せっかく一兆円かけているのが、抑止だって穴がぼろぼろあると国会で、北朝鮮が聞いているわけですよ。これはわかっちゃう。こんなのじゃなくて、やるならやる。

 しかし、私たちは、もうちょっと信用できるものかと思っていたら、どんどんどんどん、随分といろいろ穴が出てくるわけですよ、こうやって審議をしていくと。ですから、この方向で果たしていいのかというのは常に検討を、ミサイル防衛を全否定するわけでは当然ありませんけれども、この中途半端なままでいいのかということについては今後も厳しく指摘をさせていただきたい。

 期間の問題も、済みません、繰り返しになりますけれども、外すことで何か問題が生じるとは余り思えません。そこは見解の相違だと思っています。 もう一点、確認なんですけれども、全部イージス仕様に改修したときに、私、前からインド洋へ派遣しているのを早く戻して国土防衛をやってくれと言っていたんですが、あれはインド洋から戻したいからあえて言っていたようなところもあったんですが、実はだんだん不安になってきたわけですよ。

 つまり、日本海にイージスがゼロになることがあり得るようなときに、前原委員との議論もありましたけれども、まさかそういう事態で海外にお手伝いに行くことはあり得ませんよね。

○大野国務大臣

 今お尋ねの点は運用の問題になろうかと思います。運用については万全を期する、これは当然のことでありますし、それから、本来任務とそれから災害救助あるいはテロ特措法に基づく活動、こういう問題も考えておかなきゃいけない。やはりミサイル防衛というのは、日本の領域に対する攻撃でありますから、これは第一の問題として考えておかなきゃいけない、こういうことでございます。

○本多委員

 イエスと言っていただいたんだと私は当然思います。日本を守れない可能性があるときにインド洋に行くなどということはあってはいけない、高い税金をかけてやっている装備ですから、私はそう思います。

 そして次、ちょっと一点、これは簡単な修正なのでぜひお願いしたいんですけれども、緊急対処要領のイメージ案を私たちにも示していただいています。私たちも、これは中身まであらかじめ書けなんということは言いませんが、これは大事ですよね。緊急対処要領で事前委任するので、法律に書いたからどうということもないんですけれども、ここまでもう出ているんですから、例えばこの項目案、こういうことは緊急対処要領に書きますよぐらい、もちろん、等を入れておいてもいいですよ。つまり、項目の案ぐらい法律に書いておいた方がより丁寧だと思うんですが、いかがですか。

○大野国務大臣

 緊急対処要領の項目なりとも法律に書け、こういう御指摘、御提案でございます。これは、私は、例えば領空侵犯の場合どうなんだろうか、海上警備行動の場合どうなんだろうか、具体的な対処ぶりまで法律に書いているかな、こういう問題とあわせて考えていただきたいなと。

 領空侵犯の場合の具体的な対処要領はもちろんあります。それに沿って行動しているわけであります。そこまで書くことがいいのだろうか。いいのだろうかという意味は、並びの法律の整合性とともに、もう一つは、手のうちを明かしてしまう、こういう問題もあるわけでございます。それで、手のうちを明かすという意味は、項目その他概要のところはきちっと書いてあります、しかし、詳細な軍事技術的なことはやはり別の問題になってくる、こういう意味であります。

 したがって、私は、整合性の問題等を考えれば、やはり法律で書くべきことは書いてある、そして、対処要領というのは、そういう意味で考えれば法定化する必要はない。大事なことは、やはり飛んできたら撃つんだ、それともう一つは、法律上一番大切なことは、シビリアンコントロールをきちっと確保していくことだ、この二点が確保された法律でございますので、私は、これで十分である、このように思っています。

○本多委員

 これでよくないんですね。これは政令で定めるわけですよね。普通にこういう政令を定めると信じていますが、これは場合によっては、緊急対処要領の、政令を皆さんがいじればいいわけですから、本当にこの項目すら書かなくなる可能性があるわけですよ。

 私は別に軍事技術を書けと言っていません。だから、ここの項目ですよ。緊急対処要領の対象となる緊急の場合がどのような場合か、対処措置の対象及び破壊方法の対象は何か、方法は何か、防衛庁長官の命令の執行の仕方はどうなのか、行動の範囲、こういうことを定める緊急対処要領を定めると、ただそれだけ書いて丁寧にしてくださいというお願いなので、これはぜひお願いします。

 それで、整合性、整合性というのはもう崩れているわけですよ。国会への報告というわけのわからないのが一個ついているせいで、領空侵犯と海上警備行動とは明らかに違うということは認めているわけですから。いいんですよ、報告はあって当然なんですよ。政策論としては、国会への報告があって、私は承諾まで欲しいですが、国会への報告はあっていいんだけれども、余り整合性、整合性とおっしゃらない方がいいということです。そこはぜひお願いをしたいと思います。

 それで、もう時間が余りないんですが、一項の命令が発令されたときにきちんと公表してくださいとお願いをしています。これに対して大臣は、閣議決定しているからいいじゃないかと。そうかなとも思ったんです。しかし、ちょっとよくわからないんですけれども、閣議決定されたことというのは必ず公表されることに法律か何かで決まっているんですか。閣議というのは一応非公開ですよね、見たことがないので。どうなんですか。閣議決定事項は必ず公開されるとどこか法律に書いているんですか。

○大野国務大臣

 法律上の問題はチェックさせていただきますが、閣議決定事項というのは必ず官報に掲載されますので、官報をもって公開されている、公表されている、このように御理解いただければと思います。

○本多委員

 もちろん、普通はそうなんだと思います。しかし、皆さんが安全保障上のこれは何かがあるからといって判断をされて、たまたま今回のそれは載せなかったとしても、法律上のそごは多分ないはずなんですね。

 つまり、閣議というのは非公開のところでやって、この命令は出したけれども隠そうというか、ですから、私たちは、大臣のお言葉のように万々々が一のことを考えて、きちんと、一項の命令が発令された場合には、公表という表現でもいいです、国会への報告という観点でもいいので、これをぜひしっかりと入れていただく、これもぜひお願いをしたい。

 私たちは別に政府を全面的に何か疑っているというわけではないですけれども、シビリアンコントロールを今回一個緩めるわけですから。つまり、三項なんかの場合は委任を大きくしているわけですよね、普通の防衛出動などに比べると。ですから、それに対応する措置というのを少し慎重に深目に私は設けるべきではないか。

 一点なんですけれども、閣議決定で公表されるからいいじゃないかとおっしゃっているんですけれども、私が実は本会議で質問したときの大臣の答弁と若干これは矛盾するんです。私はこう聞いたんです。つまり、北朝鮮はそんなつもりじゃなくいろいろやっているのに、一項が発令されて、何か日本が我々のミサイルを警戒した態勢に入ったぞ、閣議決定をしたぞ、こうなったら、北朝鮮を逆に刺激するようなことはあり得ませんか、そういう可能性はないですかといったときに、相手国への影響はないと本会議で答弁されているんですね。これは、でも、公表するということは、あり得るんじゃないんですか、そういう可能性は。

○大野国務大臣

 どこの国とは申しませんけれども、一項の場合です、閣議決定をした場合に、弾道ミサイル破壊をするための態勢をとっている、これは極めてパッシブな態勢なんですよね。北、失礼しました、某国を攻撃するというシグナルではございません。飛んできたら落としますよというシグナルなんですよ。これが何で相手を刺激するんだろうか。

 もちろん、この弾道ミサイルというのは、極めて受動的な、パッシブな抑止力であります。したがって、飛んできたら撃ち返すぞという報復的な抑止力ではありません。そこのところは、私は、国際的な報復力というのがあるのではなかろうかというふうに思いますけれども、このようないわばパッシブ、受動的な自衛隊の構えが、安全を守るための構えが相手国を刺激し事態を悪化させるとは到底思えません。

○本多委員

 誤解のないように言っておきますが、私たちは公表しろという立場です。しかし、こういう一項の命令の発令というのは実は非常に重くて、私は、今の大臣の答弁は違うと思います。

 なぜかというと、北朝鮮という我々が相手にしている主たる対象は、合理的な判断をする、そういう国じゃないんですよ。あくまで我々はこれは防衛のためにやっているんだけれども、一項なんかが発令されたら、ただでさえそれは非常に何か緊迫した状況に、必ず火をつけるというわけではなくて、火をつけたりする可能性もあるから慎重にやるべきだ、そういうことですから、本会議場で、相手国への影響はないとか、こういう断言をしちゃいけないと思っているということです、相手がああいう国ですから。断言をすべきようなことでなくて、相手への影響がないようにしたいとか、そういうふうに発言をすべきことではないかと思います。

 最後に、私は、これは想像というか、人から御指摘いただいたことで、私は確証を持っているわけではないので、大臣の御感想を伺いたいんですけれども、どうしてここまで自民党さんは、もちろん予算のことはあるんでしょうけれども、非常に中途半端なものを入れているのかということの想像なんですけれども、一つは、アメリカから無理やり言われて買わされちゃったというよくあるパターンですね。これは別に答弁を求めません。そういうことはしばしばあって、ないよりあった方がいいだろうし、役に立つかもしれないから、一応ぎりぎりの予算のところで買っておこう、こういうことも一つ想定としてはあると思う。これはこれで、役に立つ以上、それは検証するのはなかなか難しい。

 しかし、もう一個の想像は、何でこう兆候がわかるわかると断言されて、「報道二〇〇一」では、百発中九十八から九十九当たるというのは、これもどこかで謝っていただかないといけないと思っていますけれども、こういうこともおっしゃられていますが、何でそんなに兆候察知の自信があるかというと、今、実は、北朝鮮が我が国にミサイルを撃つ可能性が非常に高い事態というのは、アメリカが何かの理由で先制攻撃したときに、それへの対応として、つまり、もうアメリカに攻撃されるおそれというのはないわけですよね、もう既に攻撃されているわけですから。その反撃というか嫌がらせとして日本に一発撃ってくるという可能性が非常に高い。このときはもちろん、そういう事態が発生しているんだから兆候は察知できるし、イージスも万全の態勢がとれると思う。

 だからこの程度でいいんじゃないかという話にも結びつくんですが、こういう発想というのはお持ちでやっているんですか。

○大野国務大臣

 まず、ミサイル防衛、なぜだという、これは答えを求めませんと言いますけれども、一言だけ言わせていただきたいと思います。

 これは、国際安全保障環境が変わっております。ゲリラとかテロという脅威も考えなきゃいけない。軍事科学力の進歩によりましてミサイルという防衛もやっていかなきゃいけない。このことは、私は、某新聞の世論調査を見ましても、ミサイル防衛オーケー、支持する、これが六七%たしかあったと思うんですね。三人に二人がミサイル防衛に理解を示してくれている。それは、国民がここまでやはり安全とか安心に対して関心を払うようになったんだろう、こういうふうに私は理解しております。きちっと安全保障環境の変化に応じてやるべきことをやっていこう、こういうことでございます。

 それからもう一つ、確率が極めて高いと数字的に申し上げたことがお気にさわったようでございますけれども、やはりこの問題は、過去の実験値を見ましても極めて高いわけですね。(本多委員「九十九じゃないですよね」と呼ぶ)九十九というか、そういう数字は別にしまして、極めて高いわけです。だから、高いということで、イージスもPAC3も、過去の実験値を踏まえて非常に高い。これは、官房長官談話の中でも、確率は極めて高い、こういうことであります。

 そして、そういうものでありますから、やはり私は、今現在この法律を通していただいて、こういう考え方でやるんですと。少し詰めなきゃいけないところもあります。それはもう、正直に申し上げて、少し詰めなきゃいけないところもある。しかし、こういうことを日本の国として、新しい安全保障環境に備えて、日本の国民の安心と安全を絶対にお届けします、こういう強い覚悟を示さなきゃいけない、こういう時期であると思っております。

 そういう問題であると同時に、配備が決まるのは、もう年数が決まっていますから、その時期に至るまでに法律を通していただいて、ぜひとも通していただいて、その時期に至るまでに、これは訓練という問題も出てくるわけです。法律でいろいろな整備を全部細かいところまで詰めを行って、そしてそこで法律を通して、それから訓練だというと、やはりこれは高い税金のむだ遣いになってしまうわけであります。

 そういう意味で、私は、安全保障環境、そして国民の御支持、それから今の厳しい財政事情の中で目いっぱい安心と安全の期待に対してこたえさせていただく、こういう気持ちをあらわしたものとしてぜひともお受け取りいただきたい、このように思っております。

○本多委員

 先制攻撃の件をお答えいただいていないんです、アメリカの。

○大野国務大臣

 済みません、簡単にもう一遍お願いします。

○本多委員

 大臣が兆候がわかる、わかるとおっしゃっているのはなぜかなといろいろ考えたら、一つの仮説として、実は私いろいろ考えたんですけれども、北朝鮮のミサイル、本当に今撃ったらアメリカにやられちゃうわけですよね。だから、北朝鮮はそれでやってこないと私は思っているんですよ。

 では、どんなときに北朝鮮がやるのかなといろいろ考えたら、アメリカがいろいろな事情で北朝鮮を先制攻撃した、そのとき同盟国である日本に一発、混乱を目的として、最後に、壊滅を恐れる必要はないから反撃をしてくる場合があり得るんじゃないか。こういう発想に立つと、つまり、その戦略に乗ってしっかり日本をそのために守っていこうとすると、もちろんこれは防衛兵器ですけれども、大臣のおっしゃるとおりに、純粋防衛とは言い切れなくなるし、それはアメリカとの戦略との絡みでは一〇〇%そうとも言い切れなくなるし、そういう可能性はどうお考えですか。

○大野国務大臣

 大変絡み合った複雑な問題でございますけれども、BMDシステムというものは、御指摘の北朝鮮というような特定国の情勢等を前提としたものではありません。御指摘のようなBMDシステムの導入と北朝鮮情勢ないしアメリカにおける北朝鮮への対応との関係を前提とした御質問でございますけれども、そういう前提をした御質問には答弁を差し控えさせていただきたいなと思います。

 さはさりとて北朝鮮問題でありますけれども、私は、北朝鮮のさまざまな動きというのはやはり東アジア全域にとって安全保障上極めて重大な問題だ、こういうふうに認識しておりますし、やはり東アジアの不安定要素である、このように認識しております。 この北朝鮮をめぐる安全保障上の問題につきましては、引き続き、米国、韓国を初めとする関係国、六者協議もございます、こういう中で解決を図っていかなきゃいけない問題でありますし、北朝鮮に対し国際社会の一員として問題解決に向けた誠意ある対応をするように働きかけていく、こういう姿勢をとり続けて、そしてこの問題が解決に向かっていくように努力してまいりたい、このように思っております。

○本多委員

 最後に、きょうは質問の中でも幾つか私たちとしては前向きに提案をさせていただいているつもりでありますので、与党の皆様、そして政府の方でも、ぜひ修正協議にしっかり前向きに応じていただいて、よりよい法案をつくれるように私たちも頑張りたいと思いますので、どうぞよろしくお願いをいたします。 以上で質問を終わります。