衆議院-消費者問題に関する特別委員会 2010年(平成22年)03月25日
○本多委員
民主党の本多平直です。
私は、秘書時代に、まだ政治家になられる前の福島大臣といろいろな問題で御一緒させていただきまして、きょうは質問させていただくのを大変光栄に存じております。
時間が短いのできょうは一点に絞って、いろいろな消費者事故、乗り物の事故もそうです、いろいろな事故で命を失われた、けがをした、そういう事故があったときにその原因をしっかりと調べる機関が必要だということの一点に絞ってお話をさせていただきたいと思います。
大臣も御存じのように、例えばシンドラーエレベータの事故のときには調査機関がどこなのかというのがなかったわけであります。そういうものをできるだけ網羅的にしっかりつくっていこうということが今策定中の消費者基本計画の中にも、私も意見を言わせていただきましたけれども、消費者事故の独立した公正かつ網羅的な調査機関のあり方について検討しますということで明確に入れていただいております。特に網羅的なという言葉をぜひ入れていただきたいと私は要請をいたしました。
本当に、できるだけ広くしていかないと必ずどこかですき間が出てくる、私はそう思っていますので、大臣、これに関して決意をまずお聞かせください。
○福島国務大臣
消費者庁ができるきっかけはたくさんのことがあるし、長年の思いがあるわけですが、きょうも市川さんが来てくださっていますが、シンドラーのエレベーターの件がやはり、何とか事故をなくそう、みんなが使うエレベーターでこんなことが起きては本当にいけないということから、消費者庁ができることの一つの大きなきっかけだったと思います。
この件については、本多委員がおっしゃるとおりで、御意見もいただきましたが、三十日に閣議決定される予定の消費者基本計画の中にはっきり、消費者庁は、消費者事故の独立した公正かつ網羅的な調査機関のあり方について検討をします、消費者委員会による調査審議を踏まえながら、関係省庁、機関の協力を得て、最も効果的に機能する仕組みを構築します、平成二十二年度から検討を開始し、平成二十三年度のなるべく早い時期に結論を得るという実施時期としております。
ですから、警察とは別に、独立した調査権限を持つところがしっかり事故の究明をしていく。そのためにも、その場に一流の、ちゃんとした専門家をばっと集めて、その問題に適した人材で、科学的にも究明できるような体制、これはスタッフもお金もさまざまかかるわけですが、消費者庁としては、そこまで見据えて、今回基本計画に盛り込んで、この独立した機関をつくれるように、すぐ取りかかり、頑張っていきたいというふうに思っております。
この点については、国土交通大臣である前原大臣とも何回か話をしまして、今そういう機関がありませんから、国土交通省の中の事故調の中でぜひエレベーターの件も取り上げていただきたいということについては何度か意見交換をさせていただきました。今消費者庁にそういうところがあればいいんですが、今すぐやはり動いてもらう必要もあるので、国土交通省にやってもらうということは今の段階では必要なことですが、基本計画に盛り込んだとおり、この網羅的な調査機関のあり方について検討するということをすぐ始めたいと思います。
○本多委員
大変前向きな御答弁、ありがとうございます。
ただ、私と福島大臣だけで話しているとこれはすぐ実現をしていきそうなんですが、私は、やはり、国土交通省、自分が持っていた、運輸機関の事故調査は自分たちでやるんだ、経済産業省もNITEという機関を持っています、これをなかなか簡単に手放すという話ではないと思いますので、大臣の強力なリーダーシップが要ると思うんですね。
まず一つ目の、今ちょうどおっしゃったエレベーターのことなんですけれども、最近、一見いいニュースなんですね、国土交通省が持っている運輸安全委員会にエレベーターの部会もつくりますよと。今ないですから、これは単純に聞けば一歩前進ですから、短期的に見れば、私もこれは否定するものではありません。しかし、エレベーターもうちで、運輸安全委員会でやるから、これでもう消費者庁になんか移さなくていいよというと、これはまた、じゃ、ジェットコースターで事故が起こったときどうするんだとか、次から次へとすき間ができてくるんですね。
ですから、私は、これは前原大臣も前向きに、善意でやっていらっしゃると信じたいんですけれども、幾らこういう形ですき間を埋めていってもすき間の解決にはなりませんし、特に運輸安全委員会に関しては大きな懸念を持っているんですね。JR西の福知山事件で情報漏えい問題があって、全く被害者の方や国民の皆さんの信頼を失いました。本来であれば組織取り壊しに遭ってもおかしくないようなことがあったので、今、これを消費者庁に移管するぐらいの話に抵抗できる状態じゃないと思いますので、ぜひこれは、前原大臣とも強力に話して、運輸安全委員会はできるだけ消費者庁に持ってくるんだぐらいの気持ちを持っていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。
○福島国務大臣
エールをどうもありがとうございます。
おっしゃるとおり、国土交通省の中の福知山線の事故をめぐってのいろいろな情報漏えいは、私も衝撃を受けました。
やはり、役所の中で、こういう言い方はよくないかもしれませんが、どこか政官業癒着、長い間のいろいろなおつき合いがあると、その中で顔のすごく見える関係、持ちつ持たれつじゃないかもしれませんが、つい情報漏えいや、人的にもつながりがある。そうすると、先ほど、基本計画の中に盛り込んだように、独立して、公平公正で、やはりいろいろな利権と切り離されたところでその原因究明や事実究明をやる必要があると思います。
そして、今おっしゃったとおり、鉄道というか、運輸機関、交通機関だけではなく、エレベーターやジェットコースターや遊具、今私たちは遊具にも注目をしているのですが、公園の遊具を含めた、いろいろなところでいろいろな問題が起こり得るわけですから、これは基本計画を閣議決定していただいて盛り込みますので、このためには、物すごく消費者庁が大きな機関というか、権限とスタッフがないととてもできませんので、ぜひ応援をよろしくお願いいたします。
○本多委員
ありがとうございます。
それで、すき間の件はそういうふうに、十分、運輸安全委員会の焼け太りになるようなことのないようにしっかりとチェックをしていただきたいと思います。
もう一つ、重複という問題があるんですね。最近、折り畳み自転車のことの報道がありました。経済産業省所管の独立行政法人製品評価技術基盤機構、NITE、ここでも危険だということを調べていて、国民生活センターでもこのことを調べていた。重複して両方で調べていたんですね。片方では危険だとわかったんだけれども、もう一方の結果が出るまで待っていようなんということで発表がおくれるという、ちょっと残念なことがございました。
これも、二つでやった方がいいかもしれないけれども、二つでやったせいで発表がおくれるんじゃ何にもならないわけで、できるだけ網羅的に一つの機関でやらないとこういう問題も起こりますので、ぜひこの観点も、きょうは質問しませんけれども、すき間だけではなくて重複も重要な、行政改革の観点からも、二つのところでやっているより一つでやってきちんとした方がいいと思います。
二つの観点からも、ぜひ、網羅的な、独立した、消費者庁が抱える調査機関をつくっていただきたいというのが私のお願いでございます。
次の質問に行きますが、私と福島さんが理想とする調査機関ができたとしても、壁があるんですね。それは警察さんなんです。
さっき大臣もおっしゃいましたけれども、警察も、もちろん一生懸命、責任がある人、業務上過失致死の人を挙げようとして調査をされるわけですが、一つ明らかにおかしな話として、地下鉄日比谷線の事故というのがかなり昔にございました。警察は、急いで証拠を押さえなきゃということで、レールを外して持っていっちゃったということを聞いたんですね。脱線したことを調べるのに、レールがどういう形でついていたのかを見なきゃいけないというのは、素人の、全く素人の私でもわかる話なんですが、日比谷線のときには警察が線路を外しちゃったので、線路がどういうふうについていたかわからないというようなことがあったんです。つまり、警察の観点だけだとなかなか本当の事故の原因というのはわからない。
それから、あなた、これ、ミスしたでしょうというときに、その人は、自分ができるだけ罪が軽くなりたいから本当のことをなかなか言わないという問題点があるんですね。
ですから、すばらしい事故調査機関を我々がつくったとしても、この警察の関係をしっかり整理しないとうまく働かないと思っているんです。これは日本の刑事司法のあり方なんかにもかかわる大きな話なんですが、できてからまた研究していると十年先、二十年先になっちゃいますので、ぜひこの観点も研究を始めていただけないか。つまり、実際に今、運輸安全委員会と警察の間にも覚書があって、協力するよとなっているんですが、ほとんど警察優位になっていると私は思っています。
それから、将来的には、例えば、軽い、自分でわざとやったんじゃない犯罪の人は、きちんと事故原因について話したら刑事免責になる、こういう国もあるんですね。
こういう、すごく長期的な課題についても、大臣、研究を始めていただけないでしょうか。
○福島国務大臣
ありがとうございます。おっしゃった点の指摘はそのとおりだと思います。
警察はもちろん一生懸命やっているわけですが、警察は、刑事処罰ができるかどうかという観点からやるわけで、もう一つ、事故原因を究明して再発防止をするかという観点はやはり違う観点だと思います。
日航機の御巣鷹山の事故があったときに、不起訴になり、遺族の皆さんたちが検察審査会に持ち込んで起訴相当となったわけですが、そのときもやはり、捜査の権限と、それから事故究明、再発防止の間で、もちろん警察は物すごくやっていただいたわけですが、ずれがいろいろなときに常に生じ得るということは私も大変理解をしております。
もしかしたら、ボーイング社のしりもち事故に対して、司法取引じゃないけれども、例えば、ボーイング社の、アメリカサイドに、免責をするからすべて言ってくれと言って話をしてもらって、そうした方が事故原因の究明はできるかもしれない。
というのは、捜査の権限と重なるところと、またずれるところとあるわけです。その意味では、警察は、職務を忠実に行い、かつ処罰できるかという観点からやるわけですが、それとは協力しつつ、別の観点から、消費者庁としては、事故原因の究明と再発防止、被害に遭われた皆さんの切実な気持ちにこたえるべく、そういう組織をつくっていきたいと思っております。
○本多委員
ありがとうございます。ぜひ検討を進めていただきたいと思います。
それで、実はこの調査機関に向けては、消費者基本計画の今策定中の案の中にも、期限を区切って、平成二十二年度に検討を開始しということは、もう四月一日から開始をしていただきたいんですが、平成二十三年度のできるだけ早い時期に結論を得ますというのが、私はもうちょっと早くできないかなと。後ろ目に書いているんだと思いますけれども、これより早くなることはもちろん構いませんので、できるだけ早く、前倒しで、鉄は熱いうちに、福島大臣のように前向きな方がかわっちゃったら大変なので、ぜひ、福島大臣が大臣をやっていらっしゃるうちにどんどん早く進めていただきたいという思いであります。
こういうときに、私は進捗管理が大事だと思っていまして、大臣もいろいろなことを抱えているからお忙しいと思いますが、例えば消費者委員会でこれを話し合っていくとしたら、やはり時々大臣が行って、あれはどうなっていますかというのを、役所の人が言うんじゃなくて大臣が直接自分の体を持っていって、消費者委員会の委員の方に、あれはどうなっていますかと、六月、七月、八月と顔を出していただく。物理的な大臣からのプレッシャーというのが物を前に進めるのに大事だと私は思うんですけれども、いかがでしょうか。
○福島国務大臣
消費者委員会は監視機能も持ちますが、全員すばらしい人たちですので、今までも意見交換をやってまいりましたけれども、本多委員の後押しを受けて、大いに、プレッシャーでなく連携をとっていきたいと考えております。
○本多委員
ありがとうございます。
ぜひそういうふうに、大臣の顔が見えて、ああ、進んでいないと困るなということを委員の皆さんにも感じていただくようにしていただければと思います。
そして、もう一つ大きなかぎは、各省との折衝です。国土交通省、経済産業省、場合によっては警察も関係してくるかもしれません。いろいろなところと皆さんに折衝していただかなければいけません。
これまでだと役人さん同士の積み上げでやってなかなか時間がかかりましたけれども、ある意味で、我々の政権、政治主導になって、政務三役同士で合意をしたら、本多君、なかなかそんなことできないよと言われていたことも、消費者庁の役人さんも悩んでいるんですね、本多さん、そうは言うけれども、経済産業省、国土交通省、簡単に折れるんですかと。しかし、これは今の政権だったら可能だと私は思っているんです。
そこで、政務三役の皆さんがしょっちゅう前原さんにしつこくこのことを言うとか、こういうことが大事になると思うので、政務三役の御決意をぜひ、それぞれお一人ずつお願いをいたします。
○福島国務大臣
他の大臣室に大いに出かけて、消費者庁がうるさいなあと思われるぐらい頑張ってまいります。閣議や閣議後で、いろいろなところで大臣たちとはよく話をしているのですが、もっと見える関係でやります。
最近も、土壌のカドミウムの汚染については、すぐ環境大臣のところに行き、農水大臣それから厚生労働大臣と話をして、カドミウム汚染について、農水省の調査などについても、これは消費者庁に関係各省みんな集まっていただいてやっているとか、点火ライターの点についても消費者庁でやっているとか、やっておりますが、大いに横断的にやれるよう、司令塔、エンジン役として頑張ってまいります。
○大島副大臣
本多さん、ありがとうございます。
これまでも私の方から積極的に各副大臣室の方には行っておりますので、今後とも一生懸命取り組ませていただきます。
以上です。
○泉大臣政務官
ありがとうございます。
先日も、大臣とともに環境省に行きまして、カドミウムの件、申し入れをさせていただきました。また、食品SOSのプロジェクトチームでは、エコナでも、そしてまた今回のコンニャクゼリーでもそうですが、各省から職員を呼んで事情を聞いて、そしてまた積極的に主導して協議をしていくということをやっておりますので、さらに進めていきたいと思います。
○本多委員
ぜひその意気込みで、政務三役の皆さん、頑張って調査機関の設置に向けて努力をしていただきたいと思います。
質問を終わります。
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