衆議院-決算行政監視委員会 2010年(平成22年)04月21日
○今村委員長
これより会議を開きます。
平成二十年度決算外二件を一括して議題といたします。
これより総括質疑を行います。
質疑の申し出がありますので、順次これを許します。本多平直君。
○本多委員
民主党の本多平直です。
きょうは、決算行政監視委員会での本格的な議論のトップということで議論をさせていただく機会をつくっていただきまして、ありがとうございます。
私たち、与党になりましたけれども、決算行政監視という部分では、政府に対していろいろ質問をして明らかにしていくという役割は変わらない部分があると思います。特に、今回は二十年度決算ということですので、過去の政府の決算ということになりますので、しっかりと審議をしていきたい、そのように考えております。
私たち国会議員に、決算をきちんと見ていく、決算という狭い意味だけではなくて国の財政をきちんと見ていくときに、やはり、どれだけ情報が私たちに提供されるかということが非常に重要になるという観点から、きょうは、二つの例を挙げて、もう少し情報を出していただいた方がわかりやすいんじゃないかなということを提案してお話をしたいと思います。
その二つの例というのは、一つは、私たちはずっと今、民主党の中で、この決算行政監視委員会のメンバーと財務金融のメンバーで特別会計を一つ一つ勉強して、無駄遣いがないかというのを洗い直しています。その一つの外国為替特別会計をちょっと例に挙げたいなと思っております。それは私がちょうど担当しているということもございまして、菅財務大臣に御質問したいと思います。後半は、外交案件、防衛案件というのは、なかなかこれは表に出しにくいところがあるんですけれども、そこのところを、これでいいのかという問題提起をさせていただきたいと思っております。
まず、外国為替特別会計からお話をさせていただきたいと思います。
今、保有外貨資産というのは、百兆円の規模で、私たちの国は米国債を中心に持っているというふうに私は理解をしております。しかし、この正確な、例えば米国債がどの割合でというようなことは、全く真っ黒塗りで開示をされていないというのが今の現状でございます。
こういう情報公開のあり方というのは、私たちも、例えばこの審議をしていくときに、もちろん、すべてを直後に明らかにしていきますと、為替相場に大きな影響を与えたり、いろいろな思惑絡みになることもあり得ますので、一定の期間隠すということはあり得るかもしれないんですけれども、ずっと未来永久にわたってこういった情報が開示されない中で百兆円規模の資金が動いているというのは、やはり財政透明化の観点からしても少し問題があるんじゃないかなと思っておるんですけれども、菅大臣の見解をお聞かせいただければと思います。
○菅国務大臣
本多平直議員からこういう形で質問を受けるのはもしかしたら初めてかもしれませんが、いろいろこの外為のことについて研究をする中での御質問ということで、お答えさせていただきます。
私自身も、この外国為替の特別会計というのはいろいろな意味で注目をされておりますし、どんな性格のものなのか、また、運用に当たってはどういうことを考えなければいけないのか、いろいろと事務方からの説明に加えて関係者からも話を聞いております。
御承知のように、今、日本は、中国に次いで世界で第二番目の規模の約一兆ドル、円にして百兆円前後の外貨を保有しております。外為の準備の規模がどうだという問題もありますが、今の御質問は、その中身をもう少し開示していいのではないかという趣旨の質問だと思っております。
外国為替に関する情報開示については、平成十九年秋以降、その運用利回り、国債か非国債かということや満期別の構成割合の公表は既に行ってきており、そういった意味では、他のG7諸国と比べても、開示の範囲については、この部分ではそう遜色ない水準になっている、このように思っております。
ただ、通貨構成について確かに開示がされていないということで、通貨は、それをどういうものを持っているかというのが為替にも影響を与える、そういったところから、この点についてはまだ開示がされていないというふうに認識をしております。
今後とも、市場における取引に影響を与えない範囲で、外為特会の情報開示に一層の改善の余地はないか検討していきたい。そういう検討について、またこれからも本多議員の方からも、こういう点なら、今も言われたように、多少時間を置いたら、過去の、例えば十年前の記録ならいいのではないか、もしそういった案があれば大いに検討材料にさせていただきたい、こう思っております。
○本多委員
大変前向きな御答弁をいただきまして、ありがとうございます。
私も、今非常に規模が大きいので、アメリカなどは割とホームページで公開をしたりしています、事情が違うということも財務省の官僚の方からお聞きをいたしておりますので、それとそのまま横並びでというわけにはいかないとは思っています。しかし、今、菅大臣からも申されたとおり、未来永劫に通貨の比率がわからないというようなことではやはり私たちも外国為替の状況というのをつかめませんので、何年かたった後にはその程度の情報を公開していく、このことをぜひ御検討を省内でお願いしたいと思っております。
さて、続きまして、関係があるんですけれども、その保有外貨資産のところというのは非常に黒塗りなわけですね。そうだとしたら、規模は非常に小さくなるわけですけれども、この外国為替特会にも、いわゆる事務経費というか、出張旅費とかそういうものがあるんです。これに対しては、ちょっと一点だけ大臣にお願いをしておきたいなと思うんです。
私は、この委員会に所属してから、決算書というのを持ち歩いていろいろ見ているんですけれども、要するに、外国旅費の総額が一億二千万とかと出ていても、私たち、ああ、そうなのというだけで、全く審議のしようがないんですね。それで、実は、私たちの党内でやっている外為のチームでは、もう何週間も前から、何か怪しいというわけじゃないんですけれども、ひとつ決算というものをミクロで見ていく必要があるんじゃないかと。
何となく総額を見てこれまで流してきた部分をちょっとミクロで見てみたいなという例で、この外国の旅費を、どういう会議に出て幾らかかっているんですかということを出してくださいとお願いしていたんですが、きょう、この質問が急に決まって、あの件はどうなったんだということで、非常に夜遅くなって出てきた資料を見ますと、何か幾つもの会議をまとめて、アメリカ合衆国ほかとか、ウズベキスタンほかで、まとめの金額が出てきて、全く意味をなさない。
こんなのでは何を言っているんだかわからないよということで、きょう、非常に夜遅くまで作業をさせてしまったのかもしれないんですが、別にきのう言ったわけじゃなくて、何週間も前から言っていることなんです。ようやく出てきた資料には、今度は、会議の名前が、この一億二千万円の外国旅費の内訳は出ているんですけれども、会議ごとには出て、人数は出ているんだけれども、経費は出ていない。
要は、一度もう作業されているわけですから、私たちのこの決算委員会の審議が始まるまでに、一つ一つのところの、ここのミクロの数字を出してくださいと言ったら、もうちょっとスピーディーに開示をしていただくようにしないと、本当に大まかな総額の数字だけで決算を見るということになってしまうんですね。
ですから、今後、そこのところをぜひ改善していただけるように御努力をいただけないかというお願いですが、いかがでしょうか。
○菅国務大臣
一般的に言っても、予算を議論するときはいろいろ、あるいは予算の獲得といいましょうか、それは非常に活発に行われるわけですが、では、ついた予算が本当に目的に沿って有効に使われているかという点では、もちろん決算委員会などでしっかり議論はあるにしても、必ずしもタイムリーに、あるいはわかりやすく開示がされていないという思いは私も従来から持っております。
そういった意味で、今、具体的な指摘として、特別会計という形ではありますが、外国旅費についての開示ということで、このような形でしか開示できないのか、あるいは今の本多議員からのように、いついつ何人でこれだけかかった、足したら出ている数字のこれだけになりましたとごく普通に開示できないのか。それは私も今初めて具体的なことは聞きましたので、またきちっと検証させて、機会があればちゃんとお伝えしたいと思います。
○本多委員
ありがとうございます。
時間をかければできるんでしょうけれども、こういう審議があることはわかっていることだと思いますので、ぜひ、積み上げの数字というのもスピーディーに開示ができるような仕組みを各役所でも御努力いただければありがたいと思っております。
順番が前後して申しわけないんですが、せっかくの機会なので政策論を一つお伺いしておきたいんです。
百兆円規模の外貨資産保有というのは、これは開示はされていないんですけれども、米国債中心、つまりドル資産なわけですね。この規模というのが非常に大き過ぎるんじゃないか。これは、一遍に売ったりするとそれはまた為替が逆に振れますから問題なんですけれども、この規模を適宜見直していく必要というのはあるんじゃないかと私は思っているんですが、それに関しての財務大臣の御見解を一点だけお聞かせください。
○菅国務大臣
先ほども申し上げましたように、今、日本は、一時変わったりしますが、中国に次いで世界第二の規模の外貨準備を保有しているということは御承知のとおりです。
私も、外貨準備が百兆円という極めて大きな規模で、他の国に比べてもやや突出をしているということで、これだけの規模のものがなければならないのかということを時折議論しております。中国などがこれだけ大きな規模になったのは、やはり為替介入でドルを買うということが続いた結果だろうというふうに言われておりまして、我が国も、そういう意味では為替介入を、最近は余りやっておりませんが、一時期大きくやっておりまして、そういったものの結果が今日の規模になっている。
そして、為替相場が落ちついたときに売ることができないのかということも多少の議論をしておりますが、一般的には売るということは円高を誘導することになりますので、私の理解では、必ずしも積極的にこの規模でなければならないからこの規模になったというよりも、そういう為替介入、どちらかといえば、ドル買いをやってきた結果がこういう水準になって、それを縮小することは逆に円高を誘発することにもなりかねないということでこの水準に維持をされている、そういう結果を生んでいるというふうに思っております。
そういうことで、この面は若干慎重に考えなければいけませんが、本来あるべき姿、国によってかなり状況が違いますので、場合によってはまたいろいろと検討してみたい、このように思っております。
○本多委員
それでは、次のテーマに移らせていただきます。
私、前回の任期のときから、インド洋の補給についてもうちょっと情報開示をすべきじゃないかということを言ってきました。そのテーマの一つとして、インド洋で給油をしている自衛艦が補給のために立ち寄っている国名ぐらいは明らかにしろということを、ずっと防衛省と、前回の任期のときも二回ぐらい委員会でやりとりをしました。船が入っているわけですから見えるわけですね。もちろん安全性とかいろいろな問題はありますけれども、開示をすべきじゃないか。自民党の政治家などは自分のビラにその国名を書いてばらまいていたりしまして、事実上秘密の意味をなしていないことが国会では秘密扱いにされている。
前回、二〇〇四年の審議でも大野大臣は、ではオペレーションが終わったら出しますよ、相手国もそうなったら了解するでしょうということを言っているんですが、楠田政務官、どういう状況でしょうか。
○楠田大臣政務官
本多委員にお答えをさせていただきます。
まず従来の流れでありますが、海上自衛隊の派遣艦隊の具体的寄港国名については従来より公表を差し控えているところでありますが、その理由といたしましては、まずは、当然、実際の法が続いているときは自衛隊の部隊の安全確保というのが第一点、そして二点目として、寄港する国との信頼関係を総合的に考慮して判断してきたというのが我々の見解であります。
平成二十二年一月に法が失効しまして今の状況を迎えているわけでありますが、我々といたしましては、しかし今なお、引き続き、寄港する当該国との信頼関係を損なわないようにする等の観点から、公表することは差し控えたいと考えております。
○本多委員
安全性の問題というのは、終了しているのでクリアをされていると思います。外国との信頼関係ということが問題になると思うんですけれども、これに関しての外務省の見解をお聞かせください。
○西村大臣政務官
お答えをいたします。
大筋、先ほど楠田大臣政務官がお答えになったことと同じでございます。
従来公表を差し控えてきた補給支援特措法に基づく海上自衛隊派遣艦艇の具体的な寄港国名でございますけれども、やはり、部隊の安全確保の点、そして寄港する国との信頼関係を総合的に考慮して判断をしてきておりまして、今も明らかには、公表にはなっていない、公表することを差し控えているという状況でございます。
○本多委員
今現在の状況でいうと、いろいろな事情があるというのは外務省、防衛省からも説明を聞きました。
新たに始まりました海賊対策のオペレーションなどでも関係国があり得るというようなこともこれあり、今すぐということは私もなかなか難しいのかなと思うようになりましたけれども、全然話は違いますが、これは先ほどの外為特会の話と同じで、未来永劫、日本の自衛艦がどの国に行っているか、それも単に一回立ち寄ったとかじゃないんですね、何年かにわたるオペレーションでその港に寄ってということは、事実上ある程度の非常な協力関係を結んでいるわけです。
そういう国名を国会にこれだけ長期間にわたって明らかにしない、事後もいつまでも明らかにしないというのは、私はこれからの国際貢献のあり方などを考えるときにも障害になると思いますので、何か前向きな、将来的な御検討はできますでしょうか。
○楠田大臣政務官
大変重要な御指摘をいただいております。情報公開というのは非常に重要であること、我が国の自衛隊が活動したものに対して国民の皆様に評価をしていただくこと、これは非常に重要だと考えております。
ただ、一点、私が実際に中東にも一月に赴きまして考えたことでもありますが、先ほど、かつて自民党の議員さんがそういう国を挙げていたという話がありましたが、私が考えます相手国との信頼関係は、中東との、またイスラム国家との、アフガニスタン等々、海賊も含めて、そうした複雑な国際関係の中で、中東のある国が欧米諸国に協力をしているということを自国が認めてしまう、それをアナウンスされてしまうということ自体がやはり非常にリスクがあるといいますか、今までの信頼関係、中東の中での信頼関係も、イスラム国での信頼関係も失ってしまう、そのような関係もあると思っていますので、その点では慎重にならざるを得ない点もあるということを御理解いただきたいと思います。
○本多委員
その状況、そういうことだと思うんですが、外務省としてはどうでしょうか。
今後、相手国の了解ということがポイントになっているわけですから、相手国が拒否したらそれはなかなか難しいと思いますけれども、例えば、相手国に、国会でこういうふうに言われているんだということを交渉してみる、直近のこの課題に関してはそういうアプローチができないか。それから、もうちょっと先の話でいえば、事後の情報公開のあり方というのはもうちょっと検討していただかないと、このままだと未来永劫、どこの国に行っていたのかわからない。
これは、実は決算で、油の値段がその土地ではどのぐらいだったのかという話とも関係して話題になっていましたので、ぜひ前向きに御検討いただけないかということなんですが、外務省、いかがでしょうか。
○西村大臣政務官
おっしゃるように、決算行政に係る部分と非常に密接をした寄港国の問題だと思っております。
現時点ではやはり公表を差し控えている、この状況はあるわけでありますけれども、おっしゃるように、既に、寄港している国がどこか、港がどこかということが一部の情報から明らかになっている部分があるという事実もございます。
しかし、外務省として、相手国との信頼関係をやはり考慮せざるを得ないということはあります。ですけれども、相手政府の了解がなければこれは公表できませんけれども、逆に言えば、あれば公表の可能性はあるというふうにも言えますので、相手政府に対して照会を行う可能性については検討したいと考えております。
○本多委員
ぜひ前向きに御検討いただきたいと思います。
以上で終わります。