衆議院-科学技術・イノベーション推進特別委員会 2011年(平成23年)07月22日
○本多委員
民主党の本多平直と申します。
参考人の皆さん、きょうはありがとうございました。
各先生に、科学技術予算のあり方について、端的にお聞きをしたいと思います。
政権交代をして、民主党政権、予算をどう編成していくかというのはいろいろ苦労をしているんですが、この科学技術の分野はかなり成果を上げているんじゃないかと私は思っています。今総理大臣をしていますけれども、理系の菅直人は科学技術の担当大臣をしておりましたし、今筆頭理事をやっている津村さんも政務官時代に相当努力をされて、例えば科学技術予算の大幅な増額であるとか、その編成過程の透明化、これはかなり先駆的だと思うんですけれども、複数年度で使っていけるように基金化をしたというような、これまでの政権ではできなかった成果を上げていると思います。
これについて、できればポジティブに評価をしていただきたいと思うんですが、御意見をお聞かせいただきたいことと、今後もし課題があれば、科学技術予算の編成について一言ずつ御意見をお聞かせいただければと思います。
○相澤参考人
科学技術予算の編成における改革を進めてまいりました。その改革の始まりのところが、まさしく菅直人科学技術政策担当大臣の時代でございました。そのことがもとになり、アクションプランという新しいツールを展開してきております。
基本的な考え方は、各省が概算要求のプランニングに入る前に、総合科学技術会議が科学技術予算の重点分野はどういうふうなことなのかということを特定いたします。そして、その方向に政策誘導していくというのが基本的な考え方であります。来年度概算については、特に、もう科学技術関係予算の中の最重点化だというふうにアクションプラン対象を特定いたします。これは四本の柱であります。
こういうふうなことをしていきますと、今まで省の中でいろいろと細分化されていたもの、あるいは省と省との間に本来だったらば一体化して進めなければいけないような内容、そういうものが全体が見えてまいります。こういうことで、私どもは予算の効率化等々を図っていくというところであります。
ですから、そういうような方向で進めてきておりますので、できれば、要望といたしましては、科学技術関係予算については財務省との関係もありまして、この予算の枠のところを大枠として財務省も見ていただき、そして、その中の省の配分に相当するところは毎年入れかわりがあるくらいの構造的な変化がある、そういうことを可能にしていただくということが、これは全体の予算拡大にもつながるし、それから、それが効率的に使われるという道ではなかろうかというふうに考えます。
○本庶参考人
重複は避けます。
民主党政権になって、先ほどの基金化も含めて、よくなったことはたくさんございます。非常に問題点は、マニフェストにある総合科学技術会議の改組ということがいまだに実現していないことであり、これはかなり大きなことであり、ぜひ完成していただきたいと思っております。
○奥村参考人
全体の予算、日本は三・五兆円です。アメリカは、私の手元にある文科省の資料では、二〇〇八年度で十一兆円です。つまり三倍。これはGDPに当たっているわけですが、ただし、アメリカは約半分が軍事費でございます。つまり、ノン軍事費の分野だけでいいますと、約五兆ないし六兆で、日本の三・五兆に対しては、相対的にアメリカは小さい、日本は大きい、そういう構造になっております。
これからの科学技術予算は、より質の高いものにしていく必要がある。そのためには、まさにPDCAサイクルであり、むしろ予算ベースより決算を重視して、それを予算に反映する、そういう仕組みをぜひできたら一緒につくらせていただきたい。
○白石参考人 基金化は極めて重要でございます。予算も確かにふえました。ですから、こういうところは非常に結構ですが、一つ申し上げますと、本会議は、震災もありましたけれども、昨年の十二月以来、一度も開かれておりません。できれば来週開いていただきたいと思いますけれども、科学技術・イノベーション政策が重要である、これが日本の将来にとって決定的なんだというふうに政権として考えるのであれば、その政治的意思をはっきり本会議の開催という形でぜひ示していただきたいと思います。
それから、第二点目は、これは既に本庶議員からも指摘されたことでございますが、総合科学技術会議は改組するということがもう既に一昨年の九月に言われております。それ以来、総合科学技術会議というのは、事実上、制度としては宙づりになっております。これは、はっきり申し上げまして、科学技術・イノベーション政策を推進していく上では非常に大きなマイナスだということもぜひ認識していただきたいと思います。
○廣渡参考人
特につけ加えることはございませんけれども、先ほど申し上げたように、私たちは昨年の八月に政府に勧告を差し上げておりますので、ぜひ御対応をお願いしたいと思います。