衆議院-経済産業委員会 2012年(平成24年)11月07日




○海江田委員長 次に、石井登志郎君。

○石井(登)委員 おはようございます。民主党の石井登志郎でございます。  短時間でございますので、早速質疑に入らせていただきたいと思います。  まず、大臣、九月の十九日に閣議決定をされました今後のエネルギー・環境政策についてということについてお伺いをいたします。  私、閣議に出たことがありませんのでよくわからないので確認をいたします。  この革新的エネルギー・環境戦略について云々という閣議決定でありますけれども、これは今後のエネルギー・環境政策についてという、この表紙一枚だけが閣議決定されているのか、それとも革新的エネルギー・環境戦略という、この十数ページのものも含めて閣議決定をされているのかということについて、いろいろなことを言う方がおりますが、枝野大臣の方から私にレクチャーをしていただければと思います。よろしくお願いいたします。

○枝野国務大臣 革新的エネルギー・環境戦略は、二〇三〇年代に原発ゼロを可能とするようあらゆる政策資源を投入するという方針を決めております。そして、九月十九日の閣議決定においては、二〇三〇年代に原発稼働ゼロを可能とするようあらゆる政策資源を投入するということを含めた革新的エネルギー・環境戦略を踏まえて、今後のさまざまな政策を展開するという趣旨のことを決めておりますので、このエネルギー・環境戦略の中身及び今後の政策の具体化プロセスを両方一緒に閣議決定したものでありますので、エネルギー・環境戦略の内容は閣議決定されている中身であるという理解をいただいていいと思います。

○石井(登)委員 ありがとうございます。大変安心をいたしました。  大臣が官房長官として福島第一原子力発電所の事故対応に大変御奮闘されていたときに、私もおくれて、先輩議員に、おまえ、ちょっと東京電力の統合本部に行けと言われて、丸々三カ月、細野さん、馬淵さんの下でサポートをさせていただきました。  そのときまでは、原子力というものは、人類がしっかりと使いこなして、そしてやっていかなきゃいけないエネルギーだと思っておったんですが、あのときに、自衛隊や、もしくはアメリカの方や、もしくは日本のさまざまな英知の方が画面を見ながら神頼みの状態が幾つかあって、それを見たときに私の価値観は大きく変わりました。できることならば原子力がない社会を築いていきたい、それに向けてでき得る努力、政策資源を最大限投入していきたいというこのエネルギー・環境戦略、これは確実に実施をしていくように私も努力をしたいと思います。  こうした中で、二〇三〇年代に原発をどうするこうするということ以上に私自身が本質的な問題と思っているのが原子力のバックエンドに関する施策であります。核燃サイクルをどうするか、使用済み核燃料をどのように対処していくかという課題について、今日までは、全量再処理をして、そしてガラス固化の部分だけを地層に埋めるということでありますが、さまざまな点から、これはもうフィクションと言わざるを得ないんじゃないかと言われているところであります。  そういう中で、幾つか確認をさせていただき、また提言もさせていただきたいと思います。  まず一つお伺いしたいのが、エネルギー計画の将来をどこまで考えるべきかということであります。  エネルギー基本計画に関しては、二〇三〇年代云々ということであります。あとは、高速増殖炉の開発に関しては二〇五〇年代、実質的には二〇六〇年代ということになります。  一方で、原子力委員会の核燃サイクル小委員会の年表軸を見ていると、二一五〇年までびょっと線が延びているんですね。百四十年先ですから、百四十年前というと明治維新のときですから、坂本竜馬か伊藤博文さんが今のエネルギー供給を考えていてくれていたのかもしれませんし、本来そうあるべきなのかもしれません。ただ、余り先のことまで考え過ぎると、結局、今やれることが定まらないということになろうと思います。  そこで、お考えをお伺いいたしますが、エネルギーの計画というのは将来どこまで考えるべきか、これについては私見となろうと思いますが、政務のお考えがあればお聞かせいただきたいと思います。

○本多大臣政務官 お答えをいたします。  まず、質問の前提として、今後の基本計画、今策定を目指している基本計画と、いろいろな場面での大きな計画というのがそれぞれあると思います。今後いろいろなプランを立てていくときには、石井議員が今言われたように、極めて長期のいろいろな計画というのも立てていく必要が出てくることはあると思いますけれども、今政府が近々につくろうとしているエネルギー基本計画について、私の方からまずお答えをさせていただきたいと思います。  これを策定していく前提は、先ほど枝野大臣が答弁をされたように、一日も早い原発に依存しない社会をつくっていくという国民の多くの声をしっかりと踏まえて、二〇三〇年代に原発稼働ゼロにできるようにあらゆる政策資源を投入する、これは政府として決めたぶれない方針、これがあくまで前提であるということであります。  しかし一方で、今、石井議員からいただいたような、極めて長期にいろいろ考えなきゃいけないバックエンドの問題もこの問題には関係をしてまいります。さらには、エネルギーの将来見通し、これはこれまでの立地自治体や国際社会との関係でありますとか、再生可能エネルギーが実際どう普及、開発をされていくか、国際的なエネルギー情勢、こういうことを正確に見きわめにくい分野もあるというのは一方で事実でございます。  こういったことを柔軟性を持って見直していくということの両面を踏まえて、今総合資源エネルギー調査会で議論を進めておりますので、そういったところでしっかりと期限の区切り方も含めて今後議論していくことになると思います。

○石井(登)委員 なかなか明示的には言いにくい問題だろうと思いますから、引き続き、ともに頑張らせていただければと思います。  きょう、一枚資料をお配りさせていただいております。プルトニウムの取り扱いで海外への移転の可能性を追求してはどうかということで、その文脈でお示しをしておりますが、原文の一部を抜粋したものが英文であります。そして、経産省に訳していただいたものの全体の概要を日本語でつけております。  これは、イギリスのプルトニウムの管理方針についてということであります。二〇〇九年の四月にオバマ大統領がプラハ演説をして、アメリカも核のない世界に向けて踏み出すと歴史的なスピーチをされた。それを受けて、核セキュリティーサミットが今日まで数次にわたって世界で開催をされている。このプルトニウムの管理方針に関して、それぞれの国が指針を示すというような動きにつながっておりまして、その流れの中で、イギリスも現在百十二トンある民生プルトニウム、これを今後どうしていくかというのをまとめて提示したものであります。  その中で注目するのは、プルトニウム百十二トンのうち二十八トン、そのうち核分裂性プルトニウムでいえば十二トン弱、我が国のものが今イギリスに保管をされております。今の、前のエネルギー大綱の文脈でいきますと、当然、全量、日本にMOX燃料として返ってくるということであろうと思いますが、一方で、こうしたことを見ると、これはもちろん、相手のある話でありますけれども、イギリスの利益にかなえば所有権を移転してもよい、我が国からしたら、買っていただくか、もしくはお金を払って引き取っていただくか、それはわかりませんが、インターガバメンタル、つまり、政府のそれぞれの交渉と、それからコマーシャルベースの条件が合えば所有権の移転ということもあり得ますよということを書いてあるわけであります。  さらに言えば、今、東京電力の経営に関与しておられる立場であろうと思いますが、その東京電力名義の核分裂性プルトニウム、イギリスにあるのは四・六五トンというようなことでございますが、こうした他国の状況を受けて、我が国も、持ち運ぶことに対する核セキュリティーの心配もありますし、持ち帰ること以外の選択肢も視野に入れるべきだと思います。さまざまな検討に入っていただければと思いますが、大臣の御所見をお伺いしたいと思います。

○枝野国務大臣 まず、今回のエネルギー・環境戦略では、核燃料サイクル政策について何らかの変更をしたものではないということは御承知かというふうに思っております。海外再処理により回収された分も含め、国内において有効利用を進めていくということでございますが、我が国の核燃料サイクル政策を含む原子力政策は諸外国との密接な協力体制の中で行われてきており、国際機関や、イギリスを含む諸外国と緊密に協議、連携して、核不拡散の要請のもとで平和利用を責任を持って進めていかなければならないと思っております。  そうした中で、御指摘のレポートは大変興味深いものでございますが、これはイギリス政府のプルトニウム管理方針決定プロセスの出発点、原文ですと、発音はうまくないですが、ビギニング・オブ・ザ・プロセスという位置づけだと承知をしております。  したがって、そのレポートの中でも、政府間合意や商業上の取り決めがイギリス政府にとって受け入れ可能であることが条件というようなことも書いてありますし、この議論は注視をしていかなければならない、あるいはしていきたいというふうに思っておりますが、まだ、この紙をもって、何か我が国の政策が変更、あるいは変更に向けた議論が必要あるいは可能という状況ではないというふうに思っております。

○石井(登)委員 私が申し上げたいことは、今までの路線が一本で唯一の方法だということではなくて、あらゆる可能性がある。イギリス以外にも、もしかしたら私たちが取り扱いに厄介だと思うものをありがたいと思う国があるかもしれません。そういう意味で、さまざまな可能性を広げていただければと思います。  そこで、あと短くお伺いをします。  原子力バックエンド事業の国の責任についてこのエネルギー・環境戦略の中にも書いて、国もしっかりと責任を持ってということでありますが、これは当然、国も責任を持って進めていくというお答えになろうと思います。そうなるとちょっと漠然とした答えになりますので、あえて、ちょっとこれを特定してお伺いをさせていただきます。  使用済み核燃料の最終処分について、現在、電力代に加えて、消費者の皆さんから最終処分積立金としていただいておるわけでありますが、予定どおりきちんとガラス固化体、TRU廃棄物として処分された分は、二〇三六年から地下処分場の操業開始、二〇九六年に坑道、つまり入れる穴を塞ぐということであります。そこから三百年のモニタリング措置を講ずる。だから、二三九六年までお金の措置をしていますよというから壮大な話なんです。ただ、穴を塞いだ後に、もし例えば地震が起きて何か起きたとか、このモニタリングが二三九六年の先にやらなきゃいけないときは、では今の事業者にお金を払ってくださいというふうに言えるわけはないなと私は思うのでありまして、そういう際には国が責任を持つ以外にないと思うわけであります。  そういう理解は共有していただけているかどうか、ちょっと確認をしたいと思います。

○本多大臣政務官 お答えをいたします。  現行法においては、原子力発電環境整備機構、いわゆるNUMOがモニタリングを含め最終処分の実施等の業務を行うとなっています。いろいろな事情で、経済的な事情、天災などで事業継続が困難になった場合は、必要な措置を別に法律で定めることとしており、それまでの間は経済産業大臣がその業務を行うということも定めております。  しかし、例えばNUMOが解散をする、そういうことについても、現行法では、別に法律で定めるという規定になっておりまして、その際のあり方については、今、総合エネ調の原子力部会の中間報告でも、国が当該処分施設における安全責任を継承することが適当であるとの報告が出ておりますので、この方向を踏まえて、国の役割をしっかりと検討していきたいと考えております。

○石井(登)委員 ありがとうございます。  そういう意味では、国の信頼もそもそも損ねられているじゃないかというところがあるわけですが、ただ、国の方が明らかに民間企業体よりは何らかの形で永続している可能性は高いわけでありますから、そういう意味で、今の政務官の御発言のとおり、しっかり国がより強い責任意識を持って進めていただければと思います。  最後に、九月十一日に日本学術会議が「高レベル放射性廃棄物の処分について」というような提言、レポートを書かれております。それについて御質問いたしたいと思います。  この提言、なかなか厳しい言葉で書いてあります。行き詰まっているのは、説明の仕方の不十分さというレベルの要因に由来するのではなく、より根源的な次元の問題に由来することをしっかりと認識する必要がある、従来の枠組みを一旦白紙に戻すくらいの覚悟を持って見直しをすることが必要であるということであります。そうした中で、暫定保管、これは期間を目安として数十年、数百年、回収可能性を備えた形で、安全性に厳重な配慮をしつつ保管せよ、こういうようなことを中心に、あと総量管理なども触れておりますが、これは今までのことを、白紙を含めて見直しをせよということであります。  これを受けて、そのように白紙から見直しておりますと言っていただけるのか、どういうあれかわかりませんけれども、これを受けての対応と御決意を簡潔によろしくお願いしたいと思います。

○本多大臣政務官 日本学術会議から、大変示唆に富むレポートが出されております。これの受けとめについては、原子力委員会が諮問したものですので、原子力委員会の方でまずはこれの受けとめを今検討しているところで、それを待って判断をしていきたいと思っていますが、これを読ませていただいて、可逆性という提案、一旦決めたものをもとに戻せるようにしておくことの方が一般の方々、立地地の皆さんにより説明しやすくなる、こういった点は非常に示唆に富んでいると考えておりますので、このレポートを踏まえて、いろいろな施策の検討を今後もしてまいりたいと考えております。

○石井(登)委員 ありがとうございました。  海江田委員長が大臣当時、大変御苦労された本件でありますから、しっかり将来に向けて、安心の政策に向けて、ともに頑張らせていただければと思います。  以上です。ありがとうございました。