衆議院-予算委員会 2017年(平成29年)12月01日 (国会会議録検索システムより抜粋) ※この質疑の動画はこちら
○本多委員 立憲民主党の本多平直です。
私からも北朝鮮問題を中心に質問をさせていただきたいと思います。
一昨日の弾道ミサイルの発射、これに関しましては、私からも強く北朝鮮に対し抗議をしたいと思いますし、立憲民主党としても、一昨日、即日に抗議声明を出したところであります。政府におかれましても、こうした対応が繰り返されないように万全の対策をとっていただきたい、こう考えています。
私からは、今、北朝鮮情勢に関していろいろな危険性があると思います。もちろん北朝鮮の側からの暴発、そしてまた、こういう緊張状態ですから偶発的な事態というのも大変危険性があると思っています。しかし、それと残念ながら同様に、アメリカからの先制攻撃ということも今想定をせざるを得ない状況になっている。これは宮川委員からの質問にもあるとおり、このことがある意味、アメリカとしての立場は理解はできるんですが、近隣の日本としてこれにつき合うわけにはいかないと私は思っていますので、ここについてしっかりとお答えをいただきたいと思っています。
先ほどちょっとまだ明確にならなかったんですが、安倍総理は、全ての選択肢がテーブルの上にあるとのトランプ大統領の立場を一貫して支持と言っています。全ての選択肢にアメリカからの先制的な軍事攻撃、これが含まれているのかどうか。もう一度、外務大臣、お願いします。
○河野国務大臣 全ての選択肢というのは全ての選択肢ということだろうと思います。
○本多委員 それは、そこには含まれている、それを支持しているという理解でよろしいんでしょうか。
○河野国務大臣 繰り返すようで恐縮でございますが、全ての選択肢というのは全ての選択肢だろうと思います。
○本多委員 全ての選択肢ということは全ての選択肢はわかりました。それを支持していると安倍総理は申していますが、それを支持しているということでよろしいんでしょうか。
○河野国務大臣 全ての選択肢がテーブルの上にあるというトランプ大統領の立場を一貫して支持してきている。
○本多委員 我が国は、国際法上、予防攻撃、先制攻撃は違法という認識でよろしいんでしょうか。
○河野国務大臣 一概には言えないんだろうと思います。具体的にそれぞれの事象に適して、国際法に違反しているものは違反しているし、適しているものは適しているということになると思います。
○本多委員 これまでの政府の答弁を大きく変えられる今御答弁をされていますよ。
例えば、前大臣、岸田大臣の答弁、これは五月二十七日ですけれども、岸田前大臣は、国際法上は、予防攻撃も先制攻撃も認められておりません、これは国際法に違反するものであります、我が国は、国際法に違反する武力行使を集団的自衛権において支援する、こういったことは全くあり得ませんと。後段はいいです。前半の岸田前外務大臣の答弁を変えられるんですか。
○河野国務大臣 我が国は国際法上違法なものは支持しないという立場は、そのとおりであります。
個別具体的にそれが一方では先制攻撃に当たると主張する場合もあるでしょうし、そう主張はしているけれども実際はそうでない場合もあるでしょうから、これは個別具体的に判断をしなければいけないものなんだろうと思います。片方が明らかに先制攻撃でない場合であっても、他方が先制攻撃であったという主張をする場合もありますから、こういうものは個別具体的に判断をしなければいけないものであって、その上で、我が国は国際法上違法なものは支持しないという立場には変わりございません。
○本多委員 いや、私、そんな外務大臣の答弁をとても認めるわけにはまいりません。
先制攻撃をした国というのは、今回の場合は、一般例で言えば、北朝鮮の側から挑発している、河野大臣の主張はそのとおりだと思います。しかし、過去の戦争の例を見れば、そちらが先にやってきたんだろうという因縁をつけて先制攻撃をした例というのは過去にたくさんあるわけです。
ですから、国際法上、外形的に、これは岸田外務大臣の答弁をそのまま読んでいただかないと困りますよ。「国際法上は、予防攻撃も先制攻撃も認められておりません。」それを個別に判断するなんて岸田外務大臣は言っていないんですよ。この答弁、変えるということでよろしいんですか、本当に。
○河野国務大臣 具体的な事象のどれが先制攻撃に当たり予防攻撃に当たるのかというのはきちんと判断をされるべきものであって、一方が、そうでないものを先制攻撃であったと主張する場合もあるだろうと思いますので、そこはいろいろな立場があるんだろうと思います。
我が国は、そうしたことを踏まえて、国際法上違法なことは支持しないという立場に変わりはございません。
○本多委員 大臣のそういう理屈に立ちますと、日本の専守防衛自体が成り立たなくなるんですよ。
つまり、日本が、これは非常に存立が脅かされる、こういったときに、日本の理屈で、これはもう日本にとって大変危機的な状況だから、先に武力攻撃をしかけていいという理屈になりませんか、そんなことを認めたら。そんなこと、憲法上も国際法上もあり得ないじゃないですか。
○河野国務大臣 おっしゃることの意味がよくわかりませんが、我が国は国際法上違法なことは支持しないという立場に変わりはございません。
○本多委員 国際法上の違法というのはどこが判断をするんですか。
○河野国務大臣 我が国の場合は、我が国が判断します。
○本多委員 我が国は国際法上の解釈権を有しているんですか。
○河野国務大臣 我が国が行動をとるときには、我が国の政府が判断をして行動せざるを得ないわけですから、どこかに伺いを立てるわけにはこういう場合いきませんから、国際法上違法かどうかというのは、我が国が厳正に判断をして行動せざるを得ないと思います。
○本多委員 北朝鮮がまず一方的に非があるというのは私も同意をしています。しかし、北朝鮮が一方的に非がある状況の中で、アメリカが北朝鮮に先制攻撃をしたと、北朝鮮からの攻撃がないまま。これは、一般的に言えば、先制攻撃だと外形的にわかるわけですよ。これを国際法上違法だと判断しないことがあり得るんですか。どういうケースなんですか、それは。
○河野国務大臣 仮定のお話ですので、お答えは差し控えさせていただきたいと思います。
○本多委員 いやいや、河野大臣が岸田外務大臣の答弁を変えられたからこんなことを聞いているんですよ。先制攻撃はだめだと言ってくださいよ、しっかり。先制攻撃はだめなんですよね。
では、いいです、こういう聞き方をしましょう。我が国が、これはアメリカの先制攻撃だと判断をしたら、これは国際法上違法ですよね、当然。
○河野国務大臣 国際法上違法なことは支持しないという我が国の立場には変わりがありません。
○本多委員 いや、質問に答えていないです。
我が国が先制攻撃と判断をしたら、アメリカの先制攻撃は違法ということでいいですね。
○河野国務大臣 繰り返しますが、国際法上違法なものは我が国は支持しないという立場に変わりはございません。
○本多委員 当たり前のことを言われても困るんですよ。
先制攻撃かどうかを判断するのは日本だとおっしゃいましたね。それはよろしいんですね。
○河野国務大臣 繰り返して恐縮ですが、私がここで申し上げているのは、国際法上違法なことは我が国は支持しないということでございまして、それ以上でもそれ以下でもございません。
○本多委員 先ほど大臣がそう言われたので聞いているので、もう一度お答えください。
先制攻撃かどうか。アメリカでもどこでもいいですよ、A国がB国を攻撃した場合、これが先制攻撃かどうかを判断するのは日本がするということでよろしいんですか。
○河野国務大臣 我が国は、この北朝鮮危機の中にあって、我が国の国益を守るために行動するわけでございまして、その中で、私どもは、アメリカが全ての選択肢がテーブルの上にあるという立場をとっていることを一貫して支持しております。それ以上でもそれ以下でもございません。
○本多委員 質問に答えてください。
先制攻撃かどうかを判断するのは日本だとおっしゃったので、それでいいんですねということをもう一回確認しているんです。全然違うことを答えないでください、大臣。
○河野国務大臣 きょうのこの委員会は、北朝鮮問題についての審査を中心に行われていると思いますが、私が申し上げているのは、アメリカが全ての選択肢がテーブルの上にあると言っていることを我が国は一貫して支持しているということでございます。
○本多委員 何かとんでもない、岸田外務大臣の、これまでの日本政府の国際法の解釈を大きく変えるような問題答弁をされたと思いますので、引き続き私は追及したいと思います。
まず外交交渉において、一般的に、全ての選択肢、これを一〇〇%一致、こういう言い方をする外交交渉というのはいかがなものかと私は思うんですよ。つまり、今おおむねアメリカと、そして他国と協調してやっているこの北朝鮮への圧力、私も支持します。
しかし、国内の課題においても、いやいや、応援をしていただいている自分に近い方にとっても、あなたと一〇〇%一致ですなどという言葉は普通政治家はなかなか使いません、一般の方同士も。一〇〇%ということは、一%もないということですよ。
こういう言葉遣いを他国、私は利害が全て一致しているとは思いません、アメリカとは。距離の問題もあります。アメリカが先制攻撃することはアメリカの国益にかなう、私は支持しませんが、あり得るかもしれません。しかし、それに付随して被害を受ける韓国や日本は、また別の意見も持つべきだと思います。
こういう局面において、全ての選択肢がある、それを一貫して支持し、それを一〇〇%支持する、こういう安倍内閣の姿勢は、外交交渉に臨む姿勢としていかがなものかと思いますが、いかがですか。
○河野国務大臣 日本政府は、全ての選択肢がテーブルの上にあるというアメリカの立場を一貫して支持しております。
○本多委員 私の意見についてのコメントを求めているんですが、いかがですか。
○河野国務大臣 我が国政府の立場は、全ての選択肢がテーブルの上にあるというアメリカ政府の立場を一貫して支持しております。
○本多委員 あと、政府の答弁で、米国の行動を予断することは差し控えるとよく言われているんですけれども、きちんとこれは情報をとっていただかないといけないと思うんですね。
先制攻撃をする場合の事前協議の話、さっき宮川委員からも聞きました。先ほど河野大臣がお答えになった内容は、日米安全保障条約に基づく日本の基地を使用する場合の事前協議、これは当然行うということでよろしいですよね、確認です。
○河野国務大臣 日米安保条約に定められている事前協議は当然に行われます。
○本多委員 私の思いは、日米安全保障条約に規定をされていないけれども、アメリカが、いや先制攻撃的な行動でもいいです、先制攻撃と私は思いますが、先制攻撃的な行動と河野大臣がおっしゃるのであれば、そういう日本に重大な影響が及びかねないものをやるときは、日本は私は反対すべきだと思いますが、今の安倍政権はどうかわかりません。今の河野大臣の答弁を聞いていたら、私は大変不安になりました。
しかし、いずれにしても、連絡をしろということを求めることは伝えるべきだと思うんですけれども、まだ伝えていないんですか。
○河野国務大臣 これまでも、この北朝鮮問題に関して、日米は緊密に連携をしてまいりましたし、今後も緊密に連携してまいります。
○本多委員 いや、そういう抽象的なお答えではなくて。
例えば韓国の文在寅大統領は、こういうふうに述べているんですね。米国のトランプ大統領は、北朝鮮に対してどんなオプションを使おうが、その全てのオプションに対して事前に韓国と十分協議して同意を得ると約束した、こういう合意が韓国とアメリカの間にあるということは認識をされていますか。
○河野国務大臣 日本は、これまでアメリカと緊密にこの北朝鮮の問題で連携をしてまいりましたし、今後も緊密に連携をしてまいります。この立場に変わりはございません。
○本多委員 質問に答えてください。
○河野国務大臣 日本の立場を申し上げたまででございます。
○本多委員 北朝鮮に関して、大変大切な韓国とアメリカの合意が、いや、これは国内向けに文大統領が言っているかもしれないじゃないですか、国民を安心させるために、こういう合意があったかどうか、大切な点だと思うので、どうですか。
○河野国務大臣 日本は米国と緊密に連携をしてまいりましたし、今後も緊密に連携してまいります。
○本多委員 いや、この合意があるかどうかの事実関係を聞いているので、お願いします。
○河野国務大臣 日米関係はアメリカとほかの国との関係に左右されることはございません。
○本多委員 これがあるから日本もしろという話は僕が次にする話なので、そんなことは言っていません。韓国とアメリカが合意したからそのままやれなどとまだ言っていないので、まず、この合意が、文大統領は言っていますが、本当なんですかということを聞いているだけです。
○河野国務大臣 文大統領がどう言っているかどうかについて、一々コメントは差し控えます。
○本多委員 これは、記者会見で述べて、相手のあることを合意したと言っているので、私は合意をしているんだと思います。
アメリカは、やるときは韓国に同意を得ると約束というのは、なかなか、本当なのかなと若干思いますが、韓国は同意しないはずなので、こういうことをアメリカがもし答えているとしたら自分の選択肢を狭めていると思うので、これは事実関係を知りたいので、この事実関係に対してお答えにならないというのはちょっと不誠実だと思うので、また再度質問させていただきたいと思いますけれども。
私は、こういう同意をとるべきだと思いますよ。それに関していかがですか。
では、韓国がこうしているからという言い方はお気に召さないようなので、私は、日本としてイエスと言うかノーと言うかは、それは安倍総理の判断だと思いますよ、私はノーと言うべきだと思いますが。しかし、まさか先制攻撃や先制攻撃的なことをこの日本の近所でやるときには、きちんと、これまでの日米安全保障条約の事前協議の条項とは別に、友好国としてしっかり事前協議をするべきだということを言うことはあるべきだと私は思いますが、大臣、いかがですか。
○河野国務大臣 我が国の立場は、北朝鮮の問題について日米で緊密に連携をするということでございます。
○本多委員 当たり前のことを繰り返さないでいただきたいんですよ。そんなことは当然ですよ。私たちも何も反対しませんよ。一緒に圧力をかけていくという方向も何も反対していませんよ。
ただ、物の言い方ですよ。(発言する者あり)反対していないんですよ。一〇〇%とか、全ての選択肢とか、そういう言い方をしなくても、今大臣がおっしゃったとおり、日米は北朝鮮問題に関しては緊密に連携してこれからも圧力を強めていく、そういう言い方だったら、私、何も言いませんよ。全ての選択肢がのっている、それに先制攻撃も含まれている、それを支持するなんということは、私はあり得ないと思っているだけなんです。
それで、緊密に連携するということは、求めない理由は何ですか。求めているんですか、求めないんですか。お聞かせください。
○河野国務大臣 日米間で緊密に連携をしてまいりました。これからも緊密に連携してまいります。
○本多委員 お答えをいただけなくて残念ですけれども、私は、きちんと日米安全保障条約のもとで私たちは連携をしていくんですから、この日本の、遠くでやるときはアメリカはこれまでも勝手なことをやってきましたよ。そのときに事前に連絡があったかどうか、これはいろいろな例があったかもしれません。しかし、今回は、日本人の多くの命がかかっている、本当にそういう局面だと思っています。
ティラーソン国務長官の更迭なんという情報も入ってきていますよ。本当に、もちろん、何割かの確率で、これは専門家によっても見方があるけれども、非常にそういった可能性がゼロじゃない中で、韓国が言っている程度のことを、しっかり、韓国は合意したと言っていますけれども、求めるぐらい、向こうがイエスと言うかノーと言うかは知りませんよ。しかし、ちゃんと求めていただきたいと私は思います。お願いをしたいと思います。
次に、小野寺防衛大臣にお聞きをしたいと思います。
北朝鮮がこういう状況の中で、私は、自衛官の方の士気というのが大変大切な状況だと思っています。自衛官の方は、本当に日々、日夜、ある意味命をきちんとかけた上で日本の防衛のために努力をされていることに心から敬意を表したいと思います。
そういう中で、このままうやむやにしたくない問題が一つあります。小野寺防衛大臣就任直後に出ました、南スーダンの日報問題の特別防衛監察の結果。私は全く納得がいっていません。私のような野党の政治家が納得いかないことは小野寺さんにとってはどうでもいいと思いますが、自衛官の方ですよ。真面目に仕事をしてきて、大臣に報告を上げたのにそれをひっくり返されて、大臣はみんな内閣交代の何日か前に辞任をして責任をとったことにされ、そして陸自の担当者だけが実質的な意味の更迭をされ、まあ内局の方はそういう時期だったのかな、こんな処分をされた。
私は、あの報告書を読む限り、政権を守る範囲でぎりぎり稲田さんは知っていたというふうに読めますよ、否定できないと書いているんですから。こんな防衛監察、私たちはあのときの直後に閉会中審査をしていただきました、野党は全く誰一人あの中身の詳細も納得していませんけれども、自衛隊の皆さんの士気の観点から、私は、今、北朝鮮問題が緊張している中でこのことに時間をこれ以上割く気、細かいことを聞く気はないんですが、自衛官の方の士気を維持していくためにも、小野寺防衛大臣には、あのときの出来事について、防衛監察についてどういう思いでいらっしゃるのか、陸自の皆さんの納得性をどう担保していくのか、このことをお答えいただきたいと思います。
○小野寺国務大臣 このPKOの日報問題は大変重大な問題だと私どもは受けとめ、その再発防止に努めております。
今委員の方から御指摘のありましたことでありますが、特別防衛監察結果、これを私は報告を受けて、そして、その中で委員が御指摘されるようなさまざまな内容も書かれております。それを踏まえた上で、私は、実は、報告を受けた後、その関係者に私自身、直接電話なり面談をして、そして確認をさせていただき、全てから防衛監察の結果に記載のとおりだというふうにお答えをいただきました。その監察結果を私どもとしては受けとめ、厳正かつ公正に今後とも私どもとしてこの日報問題については対処していきたいと思っております。
○本多委員 それでは、私の質問を終わります。ありがとうございました。