衆議院-安全保障委員会 2018年(平成30年)11月29日
 (国会会議録検索システムより抜粋) ※この質疑の動画はこちら






○本多委員 立憲民主党の本多平直でございます。  来月の防衛大綱や中期防に向けて政府での作業も進んでいることと思い、報道もいろいろ出ております。そうした課題を中心に質問させていただきたいと思いますが、まず冒頭、実は先日、大臣所信をこの場でお聞きをいたしまして、岩屋大臣、河野大臣から安全保障環境についての所信をお聞きをしました。  私、かなり強い違和感を感じたので、調べてみまして資料をつくりましたので、ぜひごらんになっていただきたいと思います。  過去十年の大臣所信を自分で読みながらまとめてみまして、ずっといろいろ北朝鮮情勢、中国情勢が厳しい中、いろいろな大臣が、「一層厳しさを増し」というような表現で情勢をお述べになっておられます。民主党政権なんかは、逆に国ごとにきちんと情勢を言ってかなり強い言葉も使っていたんだななんということも、しっかりと言っているんだなということを自分で勉強させていただいて、資料をつくってみたんです。  また、小野寺大臣の当時は、これは同僚議員とも議論をしていました。「戦後最も厳しいと言って」という言い方がいいかどうかという議論は同僚の議員ともしていましたが、私も、この東アジアの安全保障環境が非常に厳しいというのは、昨年、また一昨年であればこういう表現になるのかなと思っていたんですが、こうした中で、北朝鮮の状況はもちろんまだまだ予断を許さない。こんなことで、交渉が始まったからといって何かここで大きく防衛省に言い方を変えてくれというような甘いことを言うつもりは全くありません。しかし、一定のことがあった。  そして中国も、これまで大変厳しい環境が続いてきた中、河野外務大臣もきょうお越しですけれども、いろいろな政府の御努力の中で、一ついい関係に向けて歩き出そうという首脳会談も行われという道が進んでいる中なんです。  こういうことがあって、二つ大きな、日本にとって重要な関心国である北朝鮮と中国との関係において大きな流れがある中で、「従前想定していたよりも格段に速いスピードで厳しさと不確実性を増しております。」というのは、ちょっとこの十年間を見ても、どうしてこういう表現になるのかなということで違和感を感じた次第です。  ちょっと、大臣の方から御説明があればいただけますか。

○岩屋国務大臣 現大綱をつくったときは私は自由民主党の安全保障調査会長でございまして、党においてその策定の作業にかかわらせていただきました。  その経験に照らしても、やはり、我が国を取り巻く安全保障環境は、その当時想定していたよりも格段に速いスピードで厳しさ、不確実性を増してきているなというふうに私自身が感じております。  一つは、この安全保障環境が厳しくなっている。もちろん、北朝鮮情勢というのは今後どう推移するか見きわめていかなきゃいけないと思っておりますが、この数年間ということで見ると、やはり非常に厳しさを増した。そして、我が国を射程におさめているミサイルがいまだに実戦配備されているという現実は変わっていない。もう中国については多くを申し上げません。  それに加えて、こういった安全保障環境の変化に加えて、新しい領域での軍事技術の進展が非常に速いスピードで進んでいる。  例えば、サイバー、宇宙、電磁波という領域で劣後することになれば、今日まで我が国が蓄えてきた、蓄積をしてきた防衛力そのものが発揮できなくなるというぐらい非常に厳しいところに来ているというそういう認識のもとにこういう表現を使わせていただいているというふうに御理解いただければありがたいと思います。

○本多委員 官僚が大体原案をつくって大臣が筆を入れるという形でつくられると思うんですけれども、ずっと見ていただくと、大体官僚が書いていた一層厳しくなったという言葉も、小野寺大臣はもしかしたら自分でつけ加えられたのかもしれません。  では、割とこれは大臣御自身で書かれた文章ということでよろしいんですか。

○岩屋国務大臣 いや、もちろん私だけではありませんが、何といいますか、多くの議論の結果としてこういう表現を使わせていただいているわけですが、私自身、実際にそういう認識を持たせていただいているということでございます。

○本多委員 いろいろサイバーの話とか新しい状況の話というのは私も理解をいたします。しかし、ずっとこの所信では、中国の状況、北朝鮮の状況ということを、その一年前から、今、大臣は大綱の議論で五年単位で物を考えていらっしゃるのかもしれませんけれども、五年単位、十年単位で考えていらっしゃるのかもしれませんけれども、この大臣所信というのは一年単位の動きで、私がずっと見ていても、いい意味でこの一年というのは、この東アジアの緊張にとっては、一歩まだ全然予断を許してはいけない。  私がもし大臣の立場になっても、依然厳しいという言い方はしたと思いますが、余り状況分析もきちんとしないで安全保障の議論をするというのは私は大変危険なことだと思いますので、ぜひ大臣には、次の所信も、読み上げのときは私もここにいたいと思いますので、ぜひこの所信の書き方は、きちんとこの一年の東アジアの状況を踏まえていただきたいと思います。  それで、大変お忙しい中、外務大臣にもこの委員会にお越しいただいていますので、外務大臣にもお聞きをしたいと思います。  外務大臣はさらりと「大変厳しい」とおっしゃいましたけれども、私は、外務大臣は、防衛大臣が防衛にどんどん費用を膨らませなくても済むような国際環境をつくるために御努力をしていただいていると思います。  そういった意味で河野大臣は、この一年間、北朝鮮の方はどれだけ関与されたかというのは私はわかりませんけれども、中国との関係においては相当な御努力をされて、一歩前進をされたと思います。そこのことについて、だから安全保障を手を抜いていいんだなんて言う気は全くないんです。ただ、一歩一歩、一年ごとの状況をきちんと把握をしながら、確認をしながら安全保障の議論をしなきゃいけないと思いますので、そこは、依然厳しいけれども一歩踏み出した部分があるというようなコメントを外務大臣からいただければと思うんですが、いかがですか。

○河野国務大臣 中国との関係で申し上げれば、李克強総理が日中韓サミットで来日され、安倍総理が七年ぶりに公式訪問、訪中する、来年は習近平国家主席に訪日をしていただく、そこまでは何となく固まってきている。  そういう意味で外交面は正常化しつつあるということは申し上げてよろしいかと思っておりますが、東シナ海、特に尖閣諸島における領海侵犯について、あるいは自衛隊のスクランブルの状況を見るにつけ、ここは残念ながら改善しているとは言いがたい。また、南シナ海の状況は、むしろ、さまざまな設備が埋立地に追加されているという状況にあります。  また、この十年間で恐らく中国の国防予算というのは、公表される分でも三倍になっている。なおかつ透明性に欠ける部分があると我々は思っているところでございますし、さまざまなデータの取扱いなどを見ても極めて不透明と言わざるを得ない状況の中で、確かにハイレベルの往来は進んでおります。  そういう意味で改善している部分は外交面では確かに見られますけれども、安全保障環境というところを考えると、これは残念ながらまだまだ気を抜けない。  特に、ドクラムのあたりでの問題もございますし、海外でのさまざまなインフラにかかわるプロジェクトが残念ながら必ずしも透明性を持って行われていないということもありますので、むしろ、そういう状況で見ると、国際的には、安全保障をめぐる環境として必ずしもよくなっていると手放しで言える状況にはない。  やはり、厳しい状況にあると残念ながら言わなければいけないのではないかというのが私の認識でございます。

○本多委員 非常に的確なお話をいただいたと思います。  私も、一歩前進したから手放しでよくなったというような状況ではないと思いますけれども、外務大臣は、そういうことに向けて、日本の周辺安全保障環境を、より厳しいとどの大臣もずっと言い続けているだけではない状況を本当につくっていっていただくお仕事だと思いますので、ぜひそこのところをしっかりと外務省として、外務大臣としてもお力を尽くしていただきたいというお願いでございます。  そうした中で防衛費のあり方についてお話をしていきたいと思いますが、ちょっと順序を変えさせていただきます。イージス・アショアと「いずも」の話をしたかったんですが、まず、身近なところの防衛費のあり方、非常に手薄になっているのではないかということを三点、お話をさせていただきたいと思います。  これはもうありがたいことに岩屋大臣から、先ほどの与党議員の質問の中でも私のお名前を出していただいたんですが、予算委員会、聞いていない方もいらっしゃると思います。私、同じように、大きな防衛費の話と小さな防衛費の話をしました。  残念ながら、大きな防衛費の方は危機感の中でどんどん伸びていっているんだけれども、実は身近な足元の予算が大変厳しいんじゃないかということで、大変小さな例ですが、自衛隊員の方のトイレットペーパーが何か何センチと決まっていて、隊によっては、自分の倉庫から、自分のロッカーから持ってきて使うとか、一時は自費で買って使うとか、そんな信じられない、自衛隊員の誇りのために憲法を変えなきゃいけないという総理のもとの政府とは思えないような状況。私も最初に聞いたとき、本当かなと思ったんですが、幾つかの実際の隊員の方にも確認をして質問して、大臣から、それはしっかりと善処をするというお話をいただきました。  改めてこの場で、あの場ではその場での質問でしたので、ちょっとその後の対処方針をお聞かせいただければと思います。

○岩屋国務大臣 予算委員会でその件について本多先生から御指摘をいただきまして、トイレットペーパーを含め、必要な日用品や事務用品が隊員に確実に行き渡るように、防衛省・自衛隊の全ての機関に対して、実態を把握しつつ必要な措置を講じるべしという大臣指示を出させていただきました。  また、そのとき議論を聞いておられた安倍総理も、これは岩屋さん、しっかりやってくれ、自衛隊の最高指揮官でございますから、そういう御指示もいただきましたので、十一月九日に改めて文書を発出させていただいたところでございまして、引き続き、今後とも隊員が任務遂行や営内生活を行うに当たって不自由のないように、必要な日用品等の確保に努めてまいります。

○本多委員 迅速な対応をありがとうございます。  もう一点なんですけれども、私があの場で指摘をした問題、自衛隊、特に陸上自衛隊の隊における自家発電機の問題です。  先日、私の地元である北海道で大きな停電が起こりまして、我々民間も大変な思いをしたんですが、まさか自衛隊の基地がブラックアウトしていたというのは、私もびっくりをいたしました。  ガソリンスタンドにも病院にも自家発電機をつけなきゃいけない、各省庁で苦労している中、まさに災害のときに出動していただく自衛隊の基地が電気がなくなるなんということはあってはいけないと思うので早急に対応していただきたいと思うんですが、いかがですか。

○岩屋国務大臣 これも大変重要な課題であるというふうに認識をしております。  現在、陸上自衛隊、全部で百五十九施設ある中で、三十四の施設がまだ自家発電機を備えておりません。それから航空自衛隊でも、七十三施設ある中の一施設が備えておりませんので、これを早急に整備してまいりたいというふうに思っておりまして、先生御指摘のように、災害が起こった際には自衛隊の駐屯地というのはまさに対処の拠点になるということでございますので、電力を確保するということが極めて死活的に重要だというふうに考えております。  先般、十一月二十七日に国土強靱化に係る重要インフラの緊急点検に関する関係閣僚会議が開催されましたが、私からは、今の防衛省の自家発電機に関する状況を報告すると同時に、緊急に実施する三カ年対策の中で取り上げていただきたい旨を発言をさせていただきました。  速やかに整備を進めてまいりたいというふうに思います。

○本多委員 ぜひよろしくお願いします。これは、三年単位とかではなく、一年単位で行う問題だと私は指摘をさせていただきたいと思います。  それで、予算委員会のときはテレビ中継が入っていたので、トイレットペーパーとか自家発電機、明らかにおかしいだろうと国民の皆さんにもわかっていただきたい課題を取り上げましたが、私は、防衛費のあり方が今ちょっとゆがんでいる、それの象徴として二つ言ったんですが、実はもっと本体的な業務でいうと、維持整備とか訓練とか、本当に大事な人生をかけて自衛隊に入ってきていただいて、命をかけて国のために尽くそうと思っている皆さんの身の回りのところのそういう費用が足りない。  饗庭野の件もそうです。そして、そこでまた指示を出した後も私の地元の札幌市で、自衛隊のワイパーブレードが落下をするというようなこともまた続けて起こっているんです。これが全て予算の理由とは思いませんけれども、本年は佐賀でも陸自のヘリの墜落もございました。  まさに隊員の命にかかわるし、自衛隊の能力にもかかわる。イージス・アショアだ、空母だと言う前の、ここをしっかりとやらずに日本の防衛はないと私は思っています。  それで、東京新聞さんがすごいいい特集をずっと組んでいただいていまして、ぜひ安全保障委員会の皆さんにはお読みをいただきたい。本当は配りたかったんですが、大部なので配りませんが、ずっと読んでいる中で、一つ、維持費の話を役所の皆さんともさせていただきました。いろいろな、いやいや、それは何とかしているんですみたいな説明を聞いたんです。私は一個だけきょうは質問させていただきます。  T4という練習機が航空自衛隊にあるそうなんですが、戦闘機は優先して部品を調達する、しかし、練習機はどうしても後回しになって、「故障すると倉庫に置かれたままにされるのが現状だ。」と東京新聞さんは書いているんです。  例えばT4で、どれぐらい、故障してから倉庫に眠っている例があるんですか。

○岩屋国務大臣 まず、装備の調達だけではなくて、その維持整備が大事だという御指摘は全くそのとおりだというふうに思っておりまして、最新鋭の、高い性能を有する装備を導入するだけではなくて、現有の装備の維持整備をしっかりやらなければいけないということで、三十一年度の概算要求においては、前年度対比三・三%増の所要額の確保に努めているところでございまして、更に努めてまいりたいと思います。  それから、今御指摘のあったT4練習機なんですけれども、これは主に戦闘機パイロットの教育訓練に使用される航空機でございまして、これを高い可動率で維持することが重要だというふうに考えております。  そのために、国内企業に維持整備基盤を持たせること等によって可動率の確保に努めているところでございますが、一方で、調達に時間を要する部品に故障が生じていた場合などは、その部品が入ってくるまでの間は非可動となっている機体もあることは事実でございます。  防衛省としては、そういう非可動の期間が長くなるようなことがないように、部品の調達期間の短縮化等に取り組んで、可動率を上げる努力をしてまいりたいというふうに思っております。

○本多委員 可動率は外国に知られてはいけないということで私は聞かないということを言ったんですが、一つの例として、T4の、一番長く、部品が滞って動かない飛行機はどれぐらい動いていないのかということだけお答えください。

○岩屋国務大臣 それは今先生御自身がおっしゃっていただいた理由もございまして、控えさせていただきたいと思います。

○本多委員 非常に可動率などに問題が生じているということをマスコミさんも指摘をされていますし、データを教えていただいて私たち検証しようがないわけですけれども、しっかりとまさに隊員の命、そして自衛隊の能力にかかわる。せっかく高いお金を出してまた戦闘機をたくさん買われるようでございますが、こういう可動率でいいのかということをぜひ考えていただきたいというのが私からの強いお願いです。  イージス・アショアの話をさせていただきたいと思います。  実は、先ほど冒頭に状況の話、安全保障環境の話を聞いたのは、やはりまだまだ北朝鮮は不透明ですし、不可逆かと言ったら、そうではない。まだ交渉も始まったばかりです。別に楽観をしていいわけではないんですけれども、やはり、状況の変化と余りに高額なものを買うことに対してその関係をしっかり見るということは、私は必要だと思っているんです。  なぜ私はこう言うかというと、昨年の状況が続いていたら私たちは、いや、いろいろ問題点はあるよね、技術的にも問題はいろいろ学者に聞くとあるし、費用も高額だけれども、イージス・アショア、なかなか反対はしにくいなという状況だったと思うんです。  ところが、ことしこうなったときに、この二千億、三千億、維持費も含めると四千億を超えるかもしれない。こういう金額のものを、地元の反対でまだまだ山口と秋田の説得にいつまで時間がかかるかわからない。北朝鮮の状況もどうなるかわからない。こういうときにこれでやれるのか。  実は、私たちは何もミサイル防衛そのものに反対をしているわけではありません。イージス艦で今も皆さんの理屈では守られているということになっているわけです。ですから、この体制を何とか工夫をしながら、もちろん海上自衛隊の皆さんの運用が、特に去年、北朝鮮があんな状況でしたので大変厳しいローテーションになっているということは現場の皆さんからもお聞きをいたしました。そういうことが続いていいとは思いません。  しかし、イージス・アショアを買うことと、例えば、私は専門家ではありませんから、イージス艦をもう一つふやすこと、こういう検討がなされないまま、イージス艦の数をふやす、人のローテーションを工夫する、いろいろな工夫をしないまま、北朝鮮の状況もやや変化をしているのに、この三千億、四千億、五千億かかる兵器の導入に立ちどまるきっかけがあるんじゃないかと私は思っているんですけれども、大臣いかがですか。

○岩屋国務大臣 まず朝鮮半島の情勢ですが、今、本多先生もどうなるかはわからないというふうにおっしゃいましたが、私ども、もちろん、南北首脳会談、米朝首脳会談が今後望ましい方向に展開をしていくことには期待はしたいと思いますけれども、期待感や楽観論で防衛政策をつくるわけにもいかないというふうに思っておりまして、現実、まだまだ我が国にとってみれば、数百発の弾道ミサイルがまだ廃棄されていない核ということを考えると、この脅威は深刻に受けとめていかなければいけないと思いますし、大綱、中期防というのは向こう五年、十年の長期を見ての計画でございますので、やはり、ミサイル防衛体制をしっかりとしたものにつくり上げていくということは大事だと思っています。  それから、コストの検討はもちろんいたしております。やがてイージス艦体制も八隻にしたいと思っておりますが、イージス艦というのはミサイル防衛のためだけに運用する船ではございませんで、本来は海上における防空のために使う護衛艦でございますが、ミサイル迎撃機能も持っているということでミサイル防衛にも今当たらせているわけでございますけれども、そういう艦船でございますから、八隻に最終的になったとしても、なかなかミサイル防衛のためだけにイージス艦が張りついているというわけにもいかないとこう思っておりまして、また、イージス・アショアに比べると最新のイージス艦というのは、もちろん金額も非常に高いし、また、動き回る船でございますから、ライフサイクルコストもアショアに比べればかなり高くなるということで、このアショアであれば、二つ配備ができればおおむね日本の空をカバーできるということですから、イージス艦とアショアとPAC3の三段構えで、二十四時間三百六十五日のしっかりとしたミサイル防衛体制をつくらせていただきたいというふうに思っているところであります。

○本多委員 私もその認識はいいんですが、今言っているのは、イージス・アショアは、もし今後、米朝の会談がどんどん、ではいい方に進んだとしましょう。そのときにはほかの用途になかなか使えないんですよ、ミサイル防衛のものですので。イージス艦は、例えばしっかり増強をしていけば、それは東シナ海の艦隊防護という本来の任務で、これまででさえ五、六あったわけですから、それが、八にしてそれをしっかり使える道がほかにあるわけですよ。  ですから私は、イージス・アショアという陸上の方法に必ずしもこだわらずに、北朝鮮の状況の変化を機に、イージス艦、もちろん隊員の方に過重な負担をかけるということはあってはいけませんし、去年そういう状況があったということは聞いていますけれども、そういうことを工夫をする余地なく、イージス・アショアが唯一の方法という観点がおかしいということを指摘をしているということです。  もう一点、イージス・アショアについてお聞きをします。  大臣はおわかりになっていると思うんですけれども、高いお金をかけてPAC3やSM3を入れていますが、弾がフルに入っていないという指摘を、弾というか、ミサイルがフルに入っていないという御指摘を学者の皆さんはされています。  例えば、PAC3は十六発入るところに四発しか入っていない。それからSM3の方は、九十発入るところに今ほかのミサイルが入っているんだけれども、五十発は入る。そこに八発しか入っていない。こういうふうに学者の皆さんは言っているんです。  この議論をすると、そんな何発入っているかは敵に言えないとかなんとか言っていますけれども、実はこれはアメリカ側から輸出のときに許可が出て、発表されていますよね、この数字。ですから、何発日本にこの弾が輸出をされ、十六発入るところに四発しか入っていない、五十発入るところに八発しか入っていないという現状は、北朝鮮も中国も知っているんじゃないんですか。

○岩屋国務大臣 迎撃のためのミサイルの数をどのくらい持っているかということは、今、先生御自身が御指摘になられたように、これまでも公表しておりませんし、これからも公表するつもりはありません。  アメリカの国防省は、FMSで海外に装備を移転する場合には米国議会に対して説明をしなければならないということで、我が国を含め、同盟国等に売却する可能性のある装備品の数量を公表しているものと理解をしております。  先般、十九日、先生御指摘の公表があったことは承知しておりますが、その公表文にも、ポッシブル・セール、つまり、現時点で最大限売れる数という発表の仕方をしているものでありまして、実際の調達数量を公表したものではありません。  したがって、その調達数量、保有している量については、お答えを差し控えさせていただきたいと思います。

○本多委員 私は、イージス・アショア、いろいろなこと、高額な兵器を買うよりも、しっかりとその弾数をふやしていただきたいということを強くお願いをしておきたいと思うんです。  大臣のような認識であるならば、安全保障環境が変わっていなくて、イージス・アショアもある、それから、高いお金を出して八隻にすれば、これは資料をつくってきていましたが、きょうは時間がないのでしませんけれども、これは古い白書じゃありません。ことしの夏にいただいた平成三十年の白書で、三十三年には「こんごう」型と「あたご」型で、イージス・アショアのこれはずっと一緒じゃないですか、楕円形で日本がしっかり守れると言って八隻にまでしたら、今度は、まだまだ足りない、アショアと言っている。そして弾はすかすか。こんな状況はおかしいと私は思います。  しっかりと大綱、中期防の議論、大きなものを買え買えと誰が言っているのか私は知りません、トランプさんなのか安倍さんなのか。しかし、きちんと安全保障の現場の声を聞いて必要なものを、だって、せっかく買った高いPAC3があるんだったら、そこにしっかりとその発数を買う努力をする、その予算をとる、そういう当たり前のことをしていただきたいということを申し上げたいと思います。  時間がなくなりました。「いずも」の話をしたいと思います。  空母化、さんざん小野寺大臣とも議論していましたけれども、検討していないとか言って、検討していることはようやくお認めになりました。私は、専守防衛の観点からもしっかりと議論したいと思っています。極めてこれまでの政府答弁と違うところが出てくるんじゃないかと思っていますが、私は、その専守防衛の話、憲法の話はきょうはしません。  この「いずも」は大変重要な任務をしているということを、私、防衛省の方と議論をしてわかりました。潜水艦、日本の周辺で大変おかしな動きをしています。こういうものをしっかりと探るヘリコプターを積んで、近くまで行って飛ばして、その潜水艦の動きを探っている。私も月曜日に横須賀に行って視察をさせていただくことになっています、同僚議員と。そこでしっかりと激励をしてきたいと思いますよ。  この船を、大臣、何と言ったんですか。せっかくある装備なので、ほかの仕事をさせます。今頑張っている隊員に対してこれはどういうことなんですか、自民党の先生たちも。変な、空母という名前を逃げて、多用途運用母艦。いやもう本当に言いかえは自民党の得意わざ。私は、そんな言いかえをしたって、別に専守防衛の議論はしっかりと続けたいと思いますよ。  しかし、この船は、潜水艦の哨戒をするために高いお金をかけてつくったんじゃないんですか。その用途はどこに行くんですか。多用途にしていいんですか。

○岩屋国務大臣 「いずも」型の護衛艦はもともと多用途につくられております。哨戒ヘリを積んで哨戒活動をしっかりやるということはもちろんですが、そういう哨戒ヘリ等の航空機運用機能に加えて、指揮艦になる、指揮をする艦船になる、あるいは補給という活動を行う。今度は先生見に行っていただけるそうですけれども、中に二、三十ほどベッドがございまして、場合によっては医療船という活動も行うことができる。輸送についてはもちろんでございまして、そういう、もともと多用途に使おうということでつくられている護衛艦でございます。  そして、三年前に就役したばかりですから向こう四十年ぐらいは使っていこうとしている護衛艦でございますので、私がせっかく持っているというふうに言ったことを今お叱りを受けましたが、せっかくというのは、広辞苑を引きますと、「めったになく、大切であること」という意味でございますので、私は、そういう意味で、この大切な護衛艦をこれからもいろいろな用途に使っていくことが望ましいということを申し上げたわけでございます。

○岸委員長 本多君、時間が来ております。

○本多委員 もともと多用途という説明は今わかりました。潜水艦の哨戒も大事ですし、指揮も補給も大事ですよ。それ以外のものも載っけられるんだったら、それはおかしいじゃないですか。そのことで今フルに使っているんじゃないんですか。そこの甲板を折り曲げて何とかするとか、F35Bなんて全然用途の違うものをそこに載せたら、私は大きな支障が出ると思います。  そして、そもそも「いずも」の話のおかしいのは、那覇になぜ空自の基地があるんですか。尖閣を守る、島嶼を守る、そういうときの飛行機は沖縄の基地からしっかりと飛んでいくべきなんですよ。そこをなぜ船を改修する。見せかけの何か恣意的な、実体のない防衛議論を私はぜひやめていただきたい。  そのことを強く申し上げて、質問を終わります。