衆議院-安全保障委員会 2019年(平成31年)03月12日
 (国会会議録検索システムより抜粋) ※この質疑の動画はこちら




○本多委員 立憲民主党の本多平直です。  私も、篠原議員が最後に質問された件をちょっとだけお聞きをしたいと思います。  今の時点でこうした要求は来ていないということは今理解をいたしました。しかし、トランプ政権の一連の、選挙前からの発言でありますとか、そういうことを考えますと、それから、韓国も既に大幅に負担を増加をさせたというのはもう把握をされていると思います。こうした流れの中で、この報道は決してあり得ないことではないと私は思っています。  そのときの判断として、これはもちろん我々の防衛にも資しているわけですが、我々も基地を提供するという非常に大きな負担をした上で、かつ、他国と比べても高い負担率、これは我々も政府と議論させていただいていますが、それをしているという現状があります。  ここで更にこうした負担増を、かなり大幅な負担増を言ってくるということに私は、毅然と対処していただく、まだ言ってきていないということは今外務大臣の御発言でわかりましたが、こうした動きがあるのは事実ですから、韓国などを見ていても。こうした動きに毅然と対処していただきたいと思うんですが、いかがですか。

○河野国務大臣 韓国は駐留経費の協定が切れたから交渉になったわけでございまして、報道は承知をしておりますけれども、全くアメリカ側からはそのような話もございませんし、今の日本の駐留経費負担についてアメリカ側は高く評価をしてきてくれているという事実がございます。

○本多委員 防衛大臣もお願いします。

○岩屋国務大臣 外務大臣からお話がありましたように、今の特別協定は二〇二一年三月まで有効でございますので、今、日米間でこの交渉は全然開始されていないと承知をしておりますし、二年前ですか、マティス前国防長官が来日されたときには、日本は同盟諸国の中でも非常に高い貢献をしてくれていて、駐留経費負担についても模範的だという話もしていただいたことがあったと思いますけれども、私どもとしては、米側は我が国のこの負担を高く評価していただいているのではないかなというふうに考えております。

○本多委員 二一年四月からは新しい負担のこと、それは来年ぐらいから話合いが始まると私も思っていますので、その交渉は日本の立場をしっかりと主張して、高く評価している高官もいるのは事実ですが、一方でこうした動きもありますから、毅然と日本の立場を主張をしていただきたいということをお願いをしておきたいと思います。  もう一点、最近の報道で、日本側の負担増にかかわる報道がございました。三月九日の読売新聞に、「複数の日米関係筋が明らかにした」ということで、イージス・アショアの費用負担、新しいミサイルを、中に入れるミサイルの発射試験場を米国につくる、これを日本側の費用負担でつくるということを求められていることがわかったという報道がございます。  まず、この事実関係を教えてください。

○岩屋国務大臣 先生御案内のとおり、これから我が国が導入する予定のイージス・アショアは、既にルーマニア等に配備されているイージス・アショア、ハワイの実験施設とは、搭載するレーダーの種類が異なります。  我が国がイージス・アショアのレーダーとして選定したLMSSR、このレーダーとイージスシステムの連接、そしてその性能確認をこれからどのように行っていくかということについては、日米間で議論を行っているところでございます。  しかし、現時点において、我が国の費用負担によって実験施設を建設するといったようなことは決まっておりません。  引き続き、性能確認の方法について日米間で協議をしてまいりたいというふうに思っております。

○本多委員 済みません。私、言い間違えました。ミサイルが変わったんじゃなくて、今大臣がおっしゃったとおり、レーダーが新しくなったので、それの試験をする施設が必要。  こういう施設が必要だという理解はいいんですか。レーダーの仕組みが変わるので、その試験をする施設が、負担はどこにするかは別として、どこかに必要になるんですか。

○岩屋国務大臣 性能確認の方法をどうすることが適切かということで今日米間で協議をしておりまして、必ず実験施設が必要だということではない。それが必要なのか必要でないのか、実験施設がなくても十分に確認することができるのかということなども含めて今協議をしているところでございます。

○本多委員 私は二基で二千四百億円というこの高額な導入費自体にも非常に疑問があって、議論を続けています。他の野党も指摘していますけれども、八隻にふやしたイージス艦で対応可能なのではないか、そういう議論も予算委員会でもさせていただきました。  当然この二千四百億円には、さらなる維持費でありますとか、それから、ライセンスでいろいろ補修をしてもらう費用とかというのはまだ入っていないわけですよ。しかし、これは、完成品を買って、レーダーも載ったものが二千四百億円だと私は思っていたんですが、更にその性能を見る施設をつくるかもしれない。一基一千二百億円ですから、試験施設というものの金額も相当な額になると想定されると私は思うんです。  本当にこういうものが後から話が出てくるということで、これから検討中とおっしゃっていますが、そういうものを導入していいのかという疑念にも発展してくるんです。だから、本当にそういう高額な試験費用の検討がこれから行われるという理解でよろしいんですか。

○岩屋国務大臣 まだ何といいますか、そこまでの具体的な協議をしているということではなくて、果たして、その性能確認のためにそういう実験施設がなければいけないのか、ない形でもやれるのかどうかなどということについて、今、情報交換、意見交換をさせていただいているところでございます。  このイージス・アショアに搭載予定のLMSSRはロッキード・マーチン社によって製造されるわけですけれども、ロッキード・マーチン社は、御案内のとおり、長年、イージス艦やイージス・アショアに搭載されているレーダーの製造メーカーでもありますし、また、このLMSSRという新しいレーダーは、来年米国に配備される予定の大型レーダー、LRDRと聞いておりますが、と同様の技術によって製造されることになっていて、この開発は順調に進んでいるというふうに承知をしておりますので、これらのことから、LMSSRの開発に向けた技術的な信頼度は高いものというふうに考えております。  その上で、性能の確認方法については、米国としっかりこれから協議をしていきたいというふうに思っております。

○本多委員 性能確認がまだできていないということ自体が私は問題だとまず思います、導入の決定を既にしているわけですから。  その方法をこれから協議するということも問題だと思いますが、費用負担をする可能性はあるんですか。これは全額というような報道になっていますが、日本側が負担をする可能性というのはあり得るんですか。

○岩屋国務大臣 まだ、先ほど申し上げたようにこれからの協議ですから、確たることは申し上げられませんけれども、もしその性能確認のために一定の費用が生じるという可能性がある場合は、我々の方でも、適切な形で、そのイージス・アショア導入の全体コストをできるだけ縮減するような形で交渉を行っていきたいというふうに思っております。

○本多委員 全体コストを縮減できるんでしたら、私は導入に否定的ですが、当然していただきたいと思いますけれども、これは更にやはり乗るという話で、後から後から、二基で二千四百億円という予算自体が大き過ぎてみんな批判が出ているわけですけれども、そこに更に維持費、管理費も要るという話も出ていて、更に今度はその性能試験の実験場を米国につくる、これの費用も負担をしろ、こんな話が出てきていて、防衛大臣、否定されないという状況、これはまた新たな論点として今後も議論をさせていただきたいと思っています。  それでは、私、次に、この東アジアの最近の安全保障環境に大きな影響を及ぼす変化について一つ議論させていただきたいんですが、INF全廃条約、事実上米国が破棄をし、ロシアもその状況を認めるという、私は大変残念な状態に陥っていると思います。  これについて予算委員会でも、多分、自民党の岸田先生の質問に外務大臣が答えられたりしています。残念だということは一応おっしゃっているんです、政府の関係者の皆さん。残念だとおっしゃっているんだけれども、ロシアもいろいろ違反か違反でない行為をしていて問題あるし、もっと言えば中国、この条約の枠外にあって、米国の気持ちもわかるよねみたいな発言をされているような気がします。  今後、中国の入るマルチな枠組みをつくっていくというようなことを発言をされていますが、そんなものが簡単にできるんだったら私もそれはそれで更にいいでしょうと思いますが、実は、中国がそれに乗ってくるという気は私は事実上いたしません。  そうした中で、今回の枠組みについて、これが壊れていくことについては、もうちょっと厳しく日本への影響を、また、東アジアについての影響を見た方がいいと私は思っているんですが、この辺の認識は、外務大臣いかがでしょうか。

○河野国務大臣 このINF全廃条約というのは、軍縮の中で非常に大きな役割を果たしてきたという歴史的な評価はあるというふうに思っております。  しかし、今委員がおっしゃったように、これは、アメリカとソ連、今のロシアの二カ国を対象としている条約でありまして、それ以外に、中国が既にこの条約に当てはまるようなものの開発をしている、また、そのほかの国の中にもそういう動きが顕著であるということを考えると、そろそろ更に国際的な枠組みをつくっていかざるを得ないんだろうと思いますし、日本の安全保障ということを考えたときに、米ロのINFを規制をする条約があるからいいんだと言える状況ではなくなってきているというのが現実だろうと思います。  日本として、このINFに当たるミサイルを開発するつもりは毛頭ございません。しかし、さまざまな国々に働きかけをし、国際的に声を上げ、国際的な新たな枠組みをつくっていく、そういう努力は、日本の安全保障を考えれば当然日本はやらなければいけないことだと思っておりますし、委員おっしゃるように、一朝一夕にできる話ではございません。  中国やロシアといった国にも、さまざまな透明性を高める努力をしてもらうような働きかけは、その間しっかりとやっていきたいというふうに思っております。

○本多委員 防衛大臣にもお聞きをしてよろしいでしょうか、認識を。

○岩屋国務大臣 中距離ミサイルをめぐる国際状況については、今、河野外務大臣からお話しいただいたものと同じ認識を持っております。  今回のINF条約の全廃が中距離ミサイルの開発競争みたいなことにつながらないように願っておるところでございまして、なかなかこれも外務大臣からお話しがあったように、一気に新しいその枠組みができるということではないかもしれませんけれども、ぜひ国際社会全体としてそういう方向を目指していってもらいたいというふうに思っているところでございます。

○本多委員 外務大臣からは非常に積極的な御答弁をいただきましたので、私はそう簡単じゃないと思うんですけれども、外務大臣そこまでおっしゃるんですから、我々はそういうものを持たない。しかし、我々の周辺国、そして親しいアメリカは、今は持っていませんけれども、今回の条約破棄によって持つ可能性がある。こうした国々を巻き込んだ枠組みをつくることに対して、非常に積極的に、日本の国益にもなると思いますので、中距離の核戦力というのは非常に日本にとっては脅威ですから、そこをしっかりと取り組んでいただきたいということはお願いをしておきます。  しかし、実はそこにはタイムラグが生じて、短期的には、この条約が失効することで一つ大きな危惧があるのは、ロシアが中距離核戦力を極東などに配備をするということは、ただでさえ中国は潜在的に脅威で、北朝鮮の問題はずっとここ議論になっているわけです。その日本にとって、更にロシアが加わるということに対する対応はどうお考えでしょうか。

○岩屋国務大臣 今御指摘があったように、プーチン大統領は、二月二日、ラブロフ外相及びショイグ国防相との間でINF全廃条約をめぐる対応を協議し、ロシアとしては、条約の義務を停止する旨表明するとともに、今御指摘のあった極超音速の地上発射型中距離ミサイルといった新型ミサイル開発に着手していく考えを明らかにしたというふうに承知をしております。  ロシア側が具体的にいかなる措置をとるのかといった今後の動向については、予断を持ってお答えすることは控えたいと思いますけれども、このINFの条約が対象としてきたミサイルをめぐる問題は、我が国はもとより、東アジア全体の安全保障にも直結することでございますので、高い関心を持って、防衛省としても、米国とも緊密に連携をしながら、今後の動向をしっかり見てまいりたいというふうに思っております。

○本多委員 あと、そのロシアの危惧はしっかりとウオッチをして対応していただきたいと思うんですが、専門家の論評などを見ますと、もう一点の危惧としてはちょっと別方向で、アメリカは今持てなかったわけです。しかし、飛行機や船から発射するものは持っているわけですけれども、地上配備型の中距離核戦力は持てなかったわけですが、これから開発ができるようになり、いずれ持つようになった場合、想定をされる配備国というのが実は余りなくて、韓国だと近過ぎる、グアムだと遠過ぎると言う方がいまして、日本に配備をしてくるんじゃないかという予測があるんです。しかし、当然日本には非核三原則がありますから、非常に政治的な抵抗が大きくて現実的ではないだろうと。  しかし、地理的に考えると、アメリカが中距離の地上配備型の核戦力を置くとしたら日本が想定される。しかし、日本は非核三原則があって政治的には難しい。  そうしたときに、まず、核は載せないけれども、ミサイルの配備から始めるんじゃないか、こんなことを論評している専門家がいるんですが、こうしたことは私はあってはいけないと思うんですけれども、いかがでしょうか。

○岩屋国務大臣 先ほども申し上げたように、今般のことが国際的な中距離ミサイル開発競争みたいなことにつながらないということが大事だというふうに思っておりまして、したがって、そのことを今前提にした先生のお尋ねでございますので、そういう事態にならないように努力をしていくことが大事ではないかなというふうに考えております。

○本多委員 このテーマは最後にしますが、そうならない、中距離核戦力などの軍拡競争にならない方向を望みたいのですが、残念ながらそれが始まる一歩にもなりかねない大きな問題なのに、河野外務大臣の言うようなマルチな仕組みができるなら私はそれはいいんですが、残念ながら、この大きな米ロの間の合意がなくなったことに対して少し楽観的なんじゃないかなと。意外とこの状況下で被害をこうむる国は日本であったり、日本に関係する大事なテーマなんじゃないかな、ですから、私はもうちょっと深刻に受けとめるべきじゃないかなという思いで質問したので、ぜひ一部でもお受けとめをいただければと思います。  それでは次に、最近ちょっとまた南スーダンからは部隊は撤退をしました、一部残っている方もいらっしゃいますけれども。自衛官の海外派遣について幾つか質問させていただきたいと思います。  シナイ半島でもうこれは何年ですかね、三十七年ぐらい続いている多国籍部隊・監視団、エジプトとイスラエルの間の監視をもう三十七年ぐらい続けているMFOという組織があるそうでございます、私も余り知らなかったんですが。この組織に今度日本の自衛官を、二名ですか、派遣することにほぼなりそうだということです。  私、去年、報道が出たときから事務方と議論をしてきたんですが、まだ検討していないとか、いつものごとく軽くあしらわれてきて、その若干怒りもあって質問させていただきたいんですが、まず、今の最終的なこの検討の状況はどうなっているか、お答えいただけますか。

○岩屋国務大臣 このMFOにつきましては、一月二十二日に、国際平和協力法に基づき、MFOへの司令部要員への派遣の可能性について検討を行う旨を公表した上で、検討を開始いたしました。  先般、薗浦国家安全保障担当総理大臣補佐官が、本件検討に資するべく、現地視察を行っていただきました。それを受けて、内閣官房長官からその検討を開始する旨の発言があり、私からはその準備を始めるようにという大臣指示を出させていただいて、六日から十日まで防衛省の調査団が現地に行って、帰ってきたばかりでございます。  これから報告をしっかり聞きたいというふうに思っておりますが、必要とあらばさらなる調査団も派遣して、よくよくあの現地の状況を確かめた上で、最終的な判断をさせていただきたいと思っております。

○本多委員 この派遣の問題点、私、二つあると考えていまして、まず、これが安保法制で初めて可能になった、国連の配下にない組織への派遣であるということです。  私は、国連の下にあるPKOでも、今回の南スーダンの例を見ても非常に危険な例がふえている、住民を守るために武力行使を辞さずという態勢でやっていますから、これまでの日本の原則でいうと非常に出しにくい条件がふえてきているので現に出しているPKOが減っているという現状もあると思っているんですが、しかし、その国連の組織の下にあるPKOでさえそういう状況であるときに、安保法制で、残念ながら、国連の下にない組織にも自衛官を派遣できるという枠組みがつくられました。  このMFO自体が取り立ててたちが悪いとか危険であるとか質が悪いという議論をするつもりは私はありません。ただ、これで実績をつくろうとしているんだと私は認識をしています。もう三十七年継続的にやっているものに突然二名を今さら派遣をして何か役に立つかというより、その自衛官の方にとってはいい経験になるでしょう、国際部隊での連絡調整業務をやるということは。しかし、私にとっては実績づくり。  そして、この国連の配下にない組織というのは、何でもこれは入ってくるわけですよね。今回のMFOの例も前回予算委員会で議論しましたけれども、かつては相当、安保法制の審議のときには何か限定風なことをおっしゃっているんですよ。三類型おっしゃっていまして、国連の下にあるものとかいろいろ分けていて、今回のこれはそれのどこにも入らない。  ところが、どこにも入らないときも安保法制の審議のときは皆さんはどういう言い方をされたかというと、国連難民高等弁務官事務所の下とか欧州連合の下とか、非常に確立された組織の下での活動という類型で説明をされているんです。  しかし、このMFOというのは、別にそういう国連とも全く無関係ですし、何か当時事情があったんでしょう、イスラエルの側に。そういう事情で国連の下にない組織なんですけれども、こういうものに派遣をする実績を残すと、例えば、アフガニスタンでやっていた多国籍軍であるとかいろいろな多国籍軍、これは本当に戦闘をやる危ないものから、災害派遣で小さな国に出している、でもなぜか国連の承認をとっていないという、こういうものまで幅広いんです。そういう類型に初めて派遣をするという一歩になるという点で私は問題意識を持っています。  このもの自体が何か悪質なものであるとかとりわけ危険であるとか、そういう認識で言っているわけではありません。  どうも安保法制のときの説明と違うんじゃないか。国連難民高等弁務官事務所、欧州連合等の国際機関の要請に基づくと言っているんですけれども、こういうMFOという、このためにつくった組織ですよね、これ。このためにつくったMFOの要請でということは、この国際機関は、もうありとあらゆる多国籍軍から要請があれば派遣できるというそういう解釈になりますけれども、よろしいんですか。  安保法制の議論のときの国連難民高等弁務官事務所とか欧州連合とか、我々を説得するためにつくった非常に限定のようなものは全くなくなるという理解でよろしいんですか。

○岩屋国務大臣 まずその前に、先生から実績づくりのためではないかという御指摘がありましたが、御案内のとおり、我が国は、一九八八年度からMFOに対する財政支援をずっと行ってきておりまして、MFOからは高い評価が寄せられてまいりました。  こうした中、平成二十七年、二〇一五年秋以降、累次、司令部要員を派遣してほしいという要請がございまして、それに応えて検討を開始したという経緯でございます。  それから、今、MFOの性格についてのお尋ねだと思いますけれども、MFOは、国際平和協力法の国際連携平和安全活動の契機として次の三つを規定しておりますけれども、一つは、国連総会や国連安保理等の決議に基づくもの、二番目は、国際連合難民高等弁務官事務所や欧州連合等の国際機関の要請に基づくもの、三つ目が、当該活動が行われる地域の属する国の要請に基づくもので、国連の主要機関の支持がある場合という三つを規定していますけれども、私どもは、このMFOは、二番目の国際機関の要請に基づくものに該当するのではないかと考えておりまして、今精査を行っているところでございます。  MFOは、ローマに本部事務所がありまして、イスラエルとエジプトに支所があるという組織でございますので、該当するのではないかというふうに考えておるところでございまして、国際平和協力法は、国際連携平和安全活動の契機となる要請を行う機関として、具体的にさっき申し上げた難民高等弁務官事務所や欧州連合を挙げていますが、その他の活動に対しても柔軟に対応できるように、同法は、当該要請を行う機関として、国際連携平和安全活動に係る実績や専門的能力を有する国際連合憲章第五十二条に規定する地域的機関又は多国間の条約により設立された機関で、政令で定めるものも規定しておりますので、私はMFOについても国際的な正当性を有するものではないかというふうに考えておりますが、なお精査を続けてまいりたいと思っております。

○本多委員 派遣間際なんですけれども、精査されていることでよろしいんですか。国際機関に当たるかどうか、両方の解釈がありますよ。エジプトとイスラエルと米国でつくっている組織ですから国際機関と言えば国際機関なんですが、こういうものまで入れたら何でも入るんじゃないかということを僕は指摘しているわけです。  皆さんは説得力ある例示を、国会審議の中で国連難民高等弁務官事務所とか欧州連合という例示をして、しかし、このMFOにその国際機関も当たると言うと、何でも行けることになる。精査しているという状態でいいんですか。まだ精査中なんですか。

○岩屋国務大臣 ほぼ間違いないとは思っておりますが、いや、閣議決定して実際に自衛官を派遣するまでにはもちろんしっかりとした説明ができなければなりませんので、精査をしているというのはそういう意味でございます。  また、MFOの設立議定書の前文において、エジプトとイスラエルが国連憲章の目的と原則を十分に尊重した上でMFOの設立に合意した旨を明記をされておりますので、こういったことなども踏まえてしっかりと判断をしていきたいと思っております。

○本多委員 今度もし決定をされたら、我々国会は関与できないので、自衛官の方にはしっかりと任務を果たしていただきたいと思いますけれども、国際機関の下にある組織と言ってこのMFOみたいなものを認めたらどんな組織も行けることになってしまうので、非常に私は危険な一歩だと思うことを指摘をしっかりとしておきたいと思います。これは国際機関の下にあるという言い方はMFOはできないと私は思います。そのことをぜひ認識をしていただきたいと思います。  もう一点、要請というところなんですけれども、済みません、本当に私の個人的な、申しわけないですが、疑いでしかないんですけれども、ずっと三十七年間やっている、費用負担、費用負担とおっしゃいますが、三一%アメリカ、三一%イスラエル、三一%エジプト、他の諸国がおつき合い程度に出している、そこに日本も乗っかってきたということであります。  三十七年間やってきた組織に突然なぜ二〇一五年以降に要請があるんですか。不自然ですよね。日本で、安保法制で法的に行けるようになってから、そんな情勢をMFOの事務局長とか把握しているというのは、私は全く思えないです。  行けるようになった瞬間に要請が来た。僕は、これは正直に言うべきだと思うんですよ、安保法制で。私、この解釈から見ると国際機関というのは怪しいですが、皆さんから見ると行けるようになった、どうだと打診をしたというふうに正直におっしゃればいいのに、ずっと要請、要請ということを強調されるので、本当に要請があったのか、打診はなかったのかと議論をしているんですが、本当に打診は皆さんからしていないんですか。

○岩屋国務大臣 はい。我々の方から何か働きかけをしたということではなくて、先ほど申し上げたように、平成二十七年秋以降、MFOの事務局長から我が国の人的貢献に関する要請を受けてきております。  それに応える形で検討を行って、今般、二名の自衛官を、あくまでも司令部要員でございますけれども、派遣することについて具体的な検討を今行っているところでございます。

○本多委員 具体的な要請があった日時とか文書などの特定はできないんですか。

○岩屋国務大臣 詳細なやりとりについては、申し上げるのは控えさせていただきたいと思います。

○本多委員 それ、特に控える理由がないと思うんですよ。つまり、日本に人的貢献をしてくれという要請ですよね。私は、皆さんの打診があったかどうかは別として、一応そっちからの要請ということにしてください、文書か何かで出してください、また若しくは、向こうの事務局長が来たときに政務官なり副大臣に要請をするというのが、要請をするなら礼儀だと思うんです。それは別に何も、要請に基づいて行くと言っているんだから、隠す話じゃないと思うので。  曖昧なことは皆さん言っているんですよ。事務局から聞いている、二〇一五年以降に口頭で要請があった。誰から誰には答えてくれないんですよ。何なんですか、これ。こんな日本の自衛官を出せという要請が、誰から誰にいつかわからない、口頭。  今回は二人の司令部要員だから、まあいいとは言いませんけれども、部隊を出すときもこんなふうにやるんですか。

○岩屋国務大臣 繰り返しで申しわけありませんけれども、個々の要請に関する経緯の詳細について申し上げるのは控えさせていただきたいと思います。

○本多委員 二〇一六年、二〇一七年、二〇一八年とこのMFOの事務局長が訪日をされています。  二〇一六年のときは、政府の高官、PKO事務局長、NSC、外務、防衛の高官。そして二〇一七年のときは、事務局長、薗浦外務副大臣、小林防衛政務官。まあいいです。  一八年はさすがにもうこれは要請があったんだと思うんですけれども、一六年、一七年のMFO事務局長の訪日の際には要請を受けているんですか。

○岩屋国務大臣 今先生からMFO幹部の来日について詳しく御紹介がありましたが、累次の機会に御要請があったということで、いつ、誰に対して、どうあったということについては控えさせていただきたいと思います。

○本多委員 控えるんですかね。要請があったから行くという大事なことなんですよ、自衛官を出すということは。こちらから積極的に行く場合はあってもいいと思うんですよ、これは必要だと判断をして行くという場合も。それの違いも私たちは議論したいわけですよ、外国に自衛官を出すときには。  要請があったと言うなら、いつ、どこで、誰にぐらいはきちんと私は言うべきだと思って、非常にここは不透明で、だから私は、安保法制ができて実績づくりに、何かここは安全そうだなと打診して、こういう曖昧な形で進めたら、今回は二名の司令部要員だから、まあいいとは言いませんけれども、しかし、こういう形でもうちょっときちんとやらないといけないんじゃないかということを強く申し上げておきたいと思います。  私はこれ納得していません。本当に要請だったのかというのを、こんな経緯では、説明では納得できないということを申し上げておきたいと思います。  あともう一点、ちょっとなし崩しに長期間に及んでいるジブチへの海賊対処の、ジブチというかソマリア沖への海賊対処の派遣についてお伺いをしたいと思います。  私、あの十年前の海賊対処法の議論をきのう読んでみました。案の定、野党の議員はしっかりと心配をしています。だらだらといつまでも行くんじゃないかと。  それに対していろいろな大臣が、そもそもこれは海上保安庁でいいんじゃないかという話があって、これは国土交通大臣も絡んでいるんですけれども、民主党系の議員が質問しているのに対して、長くなると、「大変そういう意味では我々とすれば」、これは防衛大臣です、「負担がかなり大きくなるのは、これは当然のことであります。」それからさらに、「じゃもう大分落ち着いてきたねというところの判断というのは我々政策的な判断になるわけですから、今全体で何年と言われると大変これは答えづらい」しかしいろいろ言っているんですが、「決してずるずるということには私はならないと思います。」こういう答弁をされているんです。  それから国土交通大臣の方は、「総合的に判断せざるを得ません。一隻襲われたから、二隻だから、あるいはゼロ、」まあ、ゼロだとやめるんでしょうけれども、「でも、一隻、二隻、まあ年間の、あるいは起こってきている状況、これが改善しているか解消しているかという、」これを内閣として総合判断するとおっしゃっているんです。  最近、海賊対処は非常に少なくなっている。一つの年はゼロになった。また何件かあるという状況です。しかし、世界じゅうに海賊というのはいまして、ソマリア沖で我々が派遣をしたときの状況と大きく変わっているんです。  十年たっています。日本の護衛艦というのは、日本の防衛のために、国民が税金を払って買った貴重な資産であります。それを、これだけ期間が過ぎて、制定時にはこれだけ、安心してください、ずるずるいきませんと大臣が答弁をしていて、そして海賊の件数がこれだけ減っている。  こういう中で、これはそろそろ判断をしていただくべきだと考えるんですが、いかがですか。

○岩屋国務大臣 先生御指摘のように、ソマリア沖・アデン湾の海賊というのは、我が国始め各国の取組によって、昨年の発生件数は三件にまで減少しています。そういう意味でいうと、効果はしっかり出ているということだと思います。  問題は、これはソマリア国内の現状については、あれでしたら外務省に聞いていただきたいと思いますけれども、海賊を生み出す根本的な原因とされているソマリア国内の状況が改善されていない。したがって、海賊対処活動をやめればまたその海賊が発生してくるおそれがあるということで、現状、これを継続する必要があるというふうに考えております。  自衛隊が行っている活動には各国から感謝の意が表されておりますし、我が国の船主協会からも引き続き海賊対処に万全を期してほしいといった要請も受けておりますので継続をさせていただいているところですけれども、先生がおっしゃるように、やはり活動にはいつか出口がなければいけないというふうに私も考えておりまして、やはり、本当に灼熱のアデン湾での活動というのは自衛隊員にとってもなかなか大変でございますので、もし出口が見出せるような状況が生み出されてくれば、前向きにやはり検討したいというふうに考えております。

○本多委員 何か野党の十年前の心配を軽くいなしているんですが、当時の大臣は。しかし、実際にそのとおりになっているんです。私、もうずっといろいろな派遣を見ていても、何か日本は引きどきがないなという印象を持っています。  イラクでも、そもそも反対もあるんですけれども、復興支援部分、いい部分もあったかもしれません。しかし、なぜここで引かないのかなという時期を逸していた気が私はしました。これも前の大臣とも議論させていただきました。  今回、明らかにNATOも引いています。アメリカも引いています。中国とか韓国が何でいるのかよくわかりませんが。  あったらいいに決まっているんです。船主協会はそういう要請をすると思います。ソマリアもいてほしいと思うかもしれません。しかし、あの中国や北朝鮮が大変だ大変だとおっしゃっている。それで、防衛資源が限られている中でこれだけ長期にわたって限られた護衛艦を、そしてP3Cを二機張りつけていくというのは、非常に日本の防衛にとっても問題だし、自衛官の皆さんにとっても負担だし、それから、多少事件はあるかもしれませんが、出口っていうのは、ゼロになるまで、ゼロになったら今度は、我々がいるからゼロなんだ、こんな理屈だったら永久にいなきゃいけませんから。こんな海賊対処をイレギュラーにやったわけです。  当時だって、読んでみたら、海上保安庁が本来行くべきだということを政府は認めていたんですよ。それを、行く船がない、そういうことで行っているわけですから、こういうイレギュラーなものを、十年、そして出口も見えない、こういうのはよくないというのを私は指摘をしてしっかりと検討していただきたいと思うんですが、実は、皆さんの中にはこれを検討できない理由があるんですね。  ジブチの拠点、この海賊対処のためにつくった拠点を恒久の基地にしようという、何か全然我々が聞いていなかった話が、これは拠点を設置したのは民主党政権ですよ。海賊対処のための拠点ということでこれは理解していましたけれども、これを今度、海賊対処がなくなった、しかし、更に今度の新防衛大綱では、安定的に運用する。一体これはどういう関係になっているんですか。  海賊対処の方はもう出口戦略を見なきゃいけない、しかしジブチは拠点化する。これ、どういう法的な枠組みでジブチというのは海外基地として今後存続させていくんですか。

○岩屋国務大臣 まず、海賊対処行動を今継続しておりますので、ジブチの拠点はその活動拠点として運用しているということがございます。  しかし、それだけではございませんで、南スーダンPKOの際、派遣部隊への物資輸送などもここを拠点に行いました。また、西アフリカにおけるエボラ出血熱の流行に対する国際緊急援助活動に際しての中継基地として使いました。また、ジブチ軍に対する災害対処能力強化支援事業、能力構築支援ですけれども、にも活用しておりまして、人道的な側面も含めて、この地域の安定に寄与してきたというふうに考えております。  こういうことも踏まえまして、新たな大綱で、今御指摘あったように、ジブチ共和国において海賊対処のために運営している自衛隊の活動拠点について、地域における安全保障協力等のための安定的な活用に向けて取り組むとしたところでございます。  防衛省としては、この方針のもとに、これまでの活動実績も踏まえて、遠く離れたこの地域での自衛隊の活動の効果的な実施に加え、この拠点を今後どのような形で運用していくことがあの地域や国際社会の平和と安定に資するかという観点も含めて、効果的な活用のあり方について取り組んでいきたいというふうに考えているところでございます。

○本多委員 最後に一言、お願いをしておきます。  今るる、海賊対処の拠点として設けたところをいろいろほかのことにも使いましたよと。なし崩し的にやっているわけですよ。  まずはしっかりと海賊対処について清算をしてくださいよ。そして、もしそういうものが要るなら、やはり新たな提案をしないといけないと思うんです。海賊対処のために置いたものを少しずつ別なことをして、それがいいことかどうかわかりませんけれども、いいことだとしても、少しずつ広げて、新たな法的な枠組みも国会への承認もないまま既成事実化していく、こういうやり方はおかしいと思いますので、まずは、第一歩の海賊対処の方の時期を見て出口をしっかりと見るというところから始めて、ジブチの拠点のあり方は、その後、さらに私は今後も議論させていただきたいと思います。  とりあえず終わります。ありがとうございました。