衆議院-安全保障委員会 2020年(令和2年)04月07日
 (国会会議録検索システムより抜粋) ※この質疑の動画はこちら




○本多委員 立憲民主党の本多平直です。 立国社共同会派の一員として質問をさせていただきたいと思います。

 新型コロナウイルス、大変なことになっている現状で、この法案、どれだけ緊急性があるのか若干疑問でございますけれども、与党の提案ですから、きちんと審議をしていきたいと思っています。

 新型コロナウイルスの関連で、まず冒頭、一点ですけれども、非常に今回、クルーズ船の話も含めて、自衛官の皆さんには現場に赴いていただいて、そしてまた大臣も、割と積極的にプッシュ型でいろいろな対応をされていることに感謝と敬意を申し上げたいと思いますし、特に現場で対応に当たられている自衛官の皆さんには感謝を申し上げたいと思っています。

 そこで、きょうなんですかね、もう間もなく補正予算が閣議決定をされて、国会に提出をしてくる。大規模な経済対策、コロナ対策の予算が出てきます。防衛省、直接の部分、決して多くないんですが、私、大事なポイントがたくさんあると思っています。

 一部報道されています自衛隊の駐屯地内の外来者用の施設、これは個室じゃないと感染した方などを受け入れられないので、個室化のための費用などが入っているということもお聞きをしておりますし、自衛隊は病院を持っていますが、自衛隊中央病院などの施設の改善、こうしたこともこの際きちんとやるというのは、非常にいい予算が入っているので、しっかりとそういった面は応援をしたいと思っています。

 私、ちょっと二点だけ、もう近々に閣議決定されるとしたら残念ながら間に合わないと思うんですが、また補正というのも、次もあるかもしれません。もし間に合うならやっていただきたいということで、二点御提案をしたいんですけれども。

 今回私も初めて知ったんですが、空自の輸送機に積むような空飛ぶ集中治療室と呼ばれる機動衛生ユニットというのを四つ持っている、愛知県の小牧にあると。これは感染症対応にはなっていないらしいんですね、普通の病人の方を想定をしているんですが、実は私、今のこの医療状況を見ていると、感染症の対策を最優先したときに、普通の病気の方、普通の手術が必要な方、普通の重病な方を別な安全な地域に運ぶとか、感染症にこれだけ対応してくると、そうしたいろいろなニーズが出てくるということであります。緊急にどうこうということはないんですが、実は、この機動ユニットの数はふやさないということらしいんですね。

 どうでしょう、こういうことも検討、この機会に、日本に四基だけでいいのか。もう少し、こういうコロナの体験をして、防衛省の中で考えたときに、この機動衛生ユニットなどというのはもっと数をふやしていくということを、できれば次の補正と私は思いますが、今後検討していくお考えはありますか。

○河野国務大臣 御提案ありがとうございます。

 感染症対策ということではないんだろうと思いますが、恐らく、そのほかの患者さんの診療に今影響が出かねない状況になっているということはあろうかと思います。もし感染症以外の患者さんの対応を考えるということであるならば、機動衛生ユニットがいいのか、そのほか、自衛隊病院の機能を拡充する、あるいは、今セントラルパークで野戦病院のようなものができておりますが、そういう大がかりなものを考えた方がいいのか、その辺は検討の余地はあろうかと思いますので、機動衛生ユニットをふやすということを含め、感染症以外で自衛隊病院が何ができるかというのは今後検討してまいりたいと思います。

○本多委員 こういう言い方は悪いんですけれども、一つの大きな予算を獲得する、これは別に、感染症から守るためにも、一般の医療をしっかり守る、その自衛隊が持っているところで、しっかりと予算要求をしていっていただきたい。この機動衛生ユニットも一つ一億円と聞きました。ふだん防衛省が扱っているものに比べると非常にわかりやすい、それほど高額なものではないと思いますので、きちんと検討してください。

 もう一つは防護服です。先ほど大臣も少し触れられたんですが、一日使ったら捨てなきゃいけないわけです、事実上。これはどれぐらい今あるんだと事務方にお聞きをしたら、ちょっと防衛省の、いつもそうなんですけれども、幾つあるかは言えませんということになっちゃって、こんなことぐらい教えてくれてもいいのになと私は思ったんですが。

 大臣にお願いしたいのは、今私には言えなくても、大臣には言えると思うんですね。今の状況だったら、少し、僕は、あれ、耐用年数が幾らあるのかわかりません。余り買い過ぎていてもいけないのかもしれませんが、この状況に鑑みて、防衛省の方がいろんな出動をしているときに、防護服をしっかり確保する、この予算をしっかり確保するというのは正当性があると思うんですね。

 大臣のところでしっかり現状の数を把握して、今後いろんな状況が起こったときでも、防衛省に防護服が足りないなどということがないような対応をしていただきたい。これを間もなく出る補正予算でと私は思いますが、更に検討していただきたいと思うんですけれども、いかがでしょうか。

○河野国務大臣 ありがとうございます。  タイベックスーツ、マスク、手袋、フェースシールド、こうしたものについてきちんと備えるように財務当局とも折衝しているところでございますし、更に備蓄を上乗せするということは必要だろうというふうに思っておりますので、そこは自衛隊がこういう状況で動くために必要な大前提でございますので、そこはきっちりと備えなければいかぬと思っておりますし、こうした感染症が今後も起こるであろうことを考えると、やはり必要量を、備蓄量をふやしていきたいと考えております。

○本多委員 とにかく、日ごろから、防衛省は厳しい予算の中で、私もいろいろ批判したりしていますけれども、大型の兵器が中心になって、なかなかこういうところに予算がつくことが少ないわけです。この機会にしっかり見直して、しっかり予算を確保して、これは国民誰も文句を言わない状況だと思います、よくわかっていると思いますので、しっかりお願いをしたいと思います。

 続いて、次のテーマに行きます。

 実は、前回大臣所信のところで、質疑をさせていただいたところで申し上げようと思いました。ちょっと一点、大臣に評価をしたいと思うんですが、実は資料を配っているので、まあ与党の方も余り見る気がないかもしれませんが、ぜひ見ていただきたいんですね。安全保障環境について、防衛大臣と外務大臣がこの委員会でずっと述べている表現です。

 私は、こんな言葉尻を捉えてどうなのかなと思うんですが、実はずっと文句を言ってまいりました。この二、三年の防衛大臣のところの言葉がちょっと踊り過ぎているんじゃないかという指摘をずっとしてきたんです。

 ずっと普通は、北朝鮮もあり中国もあり、一層厳しさを増すぐらいは普通の表現です。我々が与党のときから、そういう表現をしてまいりました。しかし、二〇一七年の小野寺大臣のときに、戦後最も厳しいと。これも我々の同僚から、どういう根拠なんだなんという話もありましたけれども、でもそこまではよしとして、岩屋大臣になってから、そして河野大臣の前回の表現も、従前想定したよりも格段に速いスピードで厳しさと不確実性を増していると。厳しさを増しているというところまではいいとしても、格段に速いスピードで厳しさも不確実性も増していると安全保障環境はどうなっちゃうのかと私は思う。

 つまり、言葉が躍っていて、日本語としても変だし、何というんですかね、役所の言葉として政治家が演説で使うんだったらいいけれども、大臣がこの委員会室で述べる所信としてはどうも言葉が躍り過ぎなんじゃないかということをあえて、言葉尻ではありますが、ずっと私、この委員会で主張してきて、この表もつくって前もお配りをしました。

 ついに前回、所信を聞いて非常に安心をしたんですね。河野大臣が、まともな日本語に戻していただきました。厳しさと不確実性を増しておりますと。私もそういう認識は共有できる認識であります。

 言葉尻ではありますが、この小野寺さん、岩屋さんのところの、河野大臣の前の発言も、私はちょっといかがなものかと日本語として思ってきましたので、私の指摘で直ったと言っていただけないとは思いますが、非常に前向きにここで議論してきてよかったなと思うので御紹介をして、コメントが一言あれば、じゃ、大臣、お願いします。

○河野国務大臣 大変わかりやすい資料をつくっていただいて、ありがたく思っております。  外務大臣時代、大変厳しいとずっと申し上げておりました。恐らく、想定しているよりは、中国にしろ北朝鮮にしろ、軍備の拡大あるいはミサイル能力の向上といったものは想定より早いというのは間違いないんだろうと思います。そういう意味で、格段に速いスピードというのが違うかといえば違わないんだろうと思いますが、今回私がそれを落としましたのは、やはり、その厳しいというところと不確実性が増しているというところを端的に強調したいという意図があったので、三つ並べるよりは優先順位の高いものでばしっといきたいということで、こういうふうにしたわけでございます。

 恐らく、今までの想定から見ると、状況はかなり速いスピードで悪くなっているというのは現実的にはあると思います。ただ、厳しいというのと不確実性が増しているということを今回強調したいということから、図らずもこういう表現になりました。

○本多委員 コメントを聞いてよかったのかどうか、ちょっと今思うんですが、大臣と私の認識は若干違いますけれども、やはり言葉をそぎ落としていくということですね。いたずらに修飾詞をつけてあおっていくというのは、我々、中国や北朝鮮の情勢が、ここの安全保障委員会にいる多くの方は、厳しい、不透明性があるということはみんな共通で、ある程度思っているわけですから、そこを、余り国民をあおるような言葉を使わない、このことはしっかりと評価をしたいと思いますので、今後ともそういう姿勢で、役人に任せず、大臣の判断で大臣所信の言葉をきちんと使っていっていただければありがたいなということを指摘をしておきたいと思います。

 続きまして、次のテーマに行きます。  海上自衛艦、海上自衛隊の護衛艦「しまかぜ」が中国の漁船と衝突をいたしました。若干副大臣から不適切な情報発信があったことは大変遺憾であります。きちんと今後指導していただきたいと思いますけれども、この衝突事案そのものについて最新の情報を、わかれば教えてください。

○河野国務大臣 三月三十日二十時二十八分ごろ、屋久島の西約六百五十キロの東シナ海の公海において、警戒監視中でありました海上自衛隊護衛艦「しまかぜ」と中国籍の漁船が衝突いたしました。事故発生直後から、「しまかぜ」は搭載艇などにより中国籍の漁船の状況確認を実施するとともに、佐世保地方総監部を通じて海上保安庁にも状況を通報したところでございます。

 護衛艦「しまかぜ」は、船体に一部損傷があるものの人的被害はなく、現在、鹿児島港に入港して海上保安庁の調査を受けているところでございます。また、中国籍の漁船につきましては、乗組員十三名のうち二名が負傷したと聞いておりますが、死者及び行方不明者は出ておりません。

 事故の原因等につきましては、現在、海上保安庁が調査中であり、現在行われている海上保安庁の調査に引き続き自衛隊として全面的に協力するとともに、防衛省におきましても、艦船事故調査委員会において事故原因の究明と再発防止に努めてまいりたいと考えております。

○本多委員 海上保安庁の調査を待ちたいと私も思います。しかし、一点、指摘をしたいと思うんですね。  もちろん、自衛艦といっても、事故を必ず一〇〇%避けるわけにはいかないというのは、別に普通の船だって、事故を起こしたくて起こしている船はないわけであります。

 ただし、今、例えば中東には「たかなみ」が派遣をされています。「たかなみ」の例でいえば、こういうふうに普通の船と衝突をするという以上に、わざわざ「たかなみ」に何か攻撃をしかけて不安定性をもたらそうという不審船が近づいてきて、当たってくるものさえ避けなければ「たかなみ」の安全は守れない、これは大臣、よろしいでしょうか。

 そういう厳しい任務についている中、場所も、決して日本の平々凡々の近海ではございません。かなり中国寄りの、もちろん領海でもないということはお聞きをしていますけれども、海域において、普通の漁船、この漁船側に何らかの意図があったのか、瑕疵があったのかというのはまだ全くわかりませんけれども、意図を持って何かされてきたものでさえ発見して防護しなきゃいけないのが自衛艦の宿命だと思うんですね。

 その自衛艦が漁船に衝突をしてしまったのかされたのか、この事案自体、大変、やはり原因究明を待つ前のこの段階でも遺憾なことだと私は思うんです。これは大臣、いかがですか。

○河野国務大臣 そこはおっしゃるとおりだと思います。

○本多委員 きちんと、これはもちろん原因がしっかりわかってからの話になると思うんですが、危険な中東に私の反対も押し切り送っているわけです。大丈夫だ大丈夫だ、不審船が来ても大丈夫。大丈夫なんですか本当にと私はずっと思っています。

 小さなボートがわざわざ機雷をつけにこっそり闇夜に乗じて来るものを発見をしなきゃいけないのが護衛艦の役目で、この漁船と衝突をしているというのはいかにも残念な事案だということはしっかりと指摘をしておきたいと思いますし、それに加えて、本人を直接呼んで言ってもよかったんですが、副大臣の今回の情報の、本当は、本来は公表してはいけない部分の公表という不祥事まで加わっていますので、何げない衝突事故ではないと私は思います、こういうことが繰り返されないように、まずは私も海上保安庁の調査をしっかりと待って、その報告を受けて、また必要があれば、どういう事態だったのか、質問をしていきたいと思います。

 次に、前回もやりました陸上自衛隊の幹部の天下りあっせん問題について、きょうは、前回もある程度議論させていただきましたが、私が先頭でやるんだからいいだろうという意気込みに押されてちょっと途中でやめちゃったので、もうちょっとやりたいと思います。

 調査体制です。

 私も、野党側はこうやって情報をもらわないと、調査体制がおかしい、外部の人間を入れろと。内部の人間だってちゃんとやるときはあるし、外部の人間を入れたっていいかげんな調査はあるので、決してそれだけが全てじゃないんですが、大臣、ここが大事なんです。それだけが全てじゃないんですが、こういうときは、ある程度、国民から見て、そういういちゃもんのつかない体制をつくるというのはすごく大事。見せ方ですね、国民の信頼を取り戻すためなんだから、野党や国民から、何だ、内部だけでやっているんじゃないか、そんなふうにならないような調査班でやってほしいんですよ。

 それで、きょう資料を持ってきました。二枚目の資料、前回の文部科学省の調査班と今回の防衛省の調査班を比較をして並べております。ぜひ自民党の皆さんも見ていただきたいと思います。

 文部科学省は、最初、班長と副班長だけで班を組んでいたんです。これはまさに内部中の内部で、とんでもない話でありまして、これは前回も指摘しました、河野大臣が大臣になる前に予算委員会で、こんなのおかしいじゃないか、泥棒が泥棒を捕まえるみたいな話だということで、文部科学省という役所はしっかりと反省をいたしまして、まず、上の特別班員、弁護士二名と企業の方、学識経験者を外から入れております。その後に、更に弁護士を十二名、その下に、その何日か後に追加をして、これは完全外部です。そして、さらに、これはきのう文科省の方から伺ったら、実は足りなくなったそうなんです。

 このときの文科省の大体規模感、今回の防衛省の天下りがどういう規模感なのか、私たちは情報をもらっていません、残念ながら。とんでもない話だと思っていますが。文科省のときのことを参考に言うと、三百九回ヒアリングをしたそうです、トータル。最終結果は、六十二件違反が発見されて、四十三名が処分されました。この規模感より少ないんだったら、いろいろな言いわけしてください。私は全く情報をもらっていません。

 しかし、この規模感と同じぐらいまた多かったら、文科省さんの言い分によると、割と忙しい案件を抱えていない若い弁護士さんを十二名プラスしても、更に後から三名弁護士を足したんですかね。これぐらいの体制に最終的に、まずは内々だけでやっていてとんでもなかった。それで、自民党河野国会議員の指摘を受けて外の人間を入れた、弁護士も入れた、弁護士を入れてやってみたら足りなくなって、若い弁護士を更に投入して、やっと三カ月ぐらいで調査をしたんですね。

 ですから、大臣、ぜひ、先ほど言ったとおり、実務上のことはやりながらかもしれませんけれども、公平性の担保の観点から、何かこういうことに詳しい学者とか企業とか。

 こちらの防衛省の側は、最初の文科省よりはましなんです。つまり、別に、内部の背広の方が入っているわけじゃありませんから。常日ごろからこの問題をやっている防衛人事審議会の再就職等監察官ですが、非常勤とはいえ防衛省から給料をもらっている人です。雇われているわけですよ。防衛省の内部だけなんですよ。この体制は、ちょっと前回の文科省と比べて、外部性の担保、公平性の見え方の担保、そして平の国会議員だったときの河野大臣の発言、いろいろなことを総合して、それから実務上、足りなくなると思うんです、規模感によっては。

 こういう観点から、ぜひ、調査班なんて途中から増員しても何も恥ずかしいことでも何でもないんです、文科省は実際やっているわけですから。国会の声を聞いて途中から増員しているので、さすがに、前からある防衛人事審議会再就職等監察官だけ。

 もう一つ言います。今回、この人たちが発見すべき役職なんですね。高い給料だか安い給料だかわかりませんけれども払っていて、これが仕事だったので、この人たちが見つけたかどうかも今防衛省から教えてもらっていません。大臣は知っているかもしれません。この人たちが見つけたんだったらまだしも、この人たちが見つけていないんだとしたら、ふだんから給料をもらっていて、余りいいお仕事をされていなかったわけです。これも、もう一つの理由です。

 とにかく、この調査班、きちんと外部を入れる、増員をする、このことをぜひ御検討いただきたいと改めてお願いをしたいと思うんですが、いかがですか。

○河野国務大臣 先般の委員会での御指摘もございましたので、部外の調査班を入れるように、また、事務局に部外の者を加えるように既に指示をしております。検討するまでもございません。

 また、調査班の弁護士さんたちと話をいたしまして、スピードアップするためにはやはり人員をふやさなければならぬということでございますので、人員を可能な限りふやす。恐らく、コロナのこういう状況がございますから、多少裁判が延期されるというようなことで、弁護士さんの中でも加わってくれる方がいるのではないかと思いますので、人員をふやすように指示をしたところでございます。

 詳細につきましては、人が確定した段階で御報告申し上げたいと思います。

○本多委員 非常に安心をいたしました。外部を入れ、増員をして、スピードアップを図って、この天下りの解明をしていただきたいと思います。

 私たちはその間に準備を進めまして、これは合法の天下りであっても、前回も言いました、前のルールでいったら違反だった、五年間に関連したところを二年間行っている方はどれぐらいいるのかということは予備的調査も検討しつつ調べておきますので、突合しながら、皆さんのまずあっせんの調査をしっかりとしていただいて、我々は、合法でも怪しいけれども、あっせんだったら余計だめなんですが、防衛省の予算やそういうものに影響していないか、そっちが本筋にもなってきますので、そのさらなるところ、ここが大事になるので、まずは皆さんにあっせんのことをしっかり調べていただいて、私たちもそのことを審議できるように準備をしておきたいと思います。

 次のテーマに移らせていただきます。

 五番目ですが、イージス艦、我が国は八隻持つ努力を今しておりまして、七隻目の「まや」が完成をいたしました。

 この「まや」、これまでのイージス艦とは違う機能を持っております。CEC、共同交戦能力という能力であります。自分のレーダーでは見つけられないものであっても、他の船が見つけたものをそのまま自分のデータとして見て攻撃ができる、また逆もできるんでしょうかね。「まや」が捉えたデータをほかの船に提供をして、その船から自動的に、もうこれはタイムラグがほとんどなく。

 これまでもデータリンクはあったわけですよね。いろいろなデータリンクはあったけれども、タイムラグとかがあって、そのままの攻撃には使えなかった。しかし、今度の自衛艦、これまでのイージス艦との「まや」の明らかな違いは、ほぼもうリアルタイムでそれが攻撃に使えるという共同交戦能力、CECを持つに至った。  事実関係はこれでよろしいですか、大臣。

○河野国務大臣 情報がよりリアルタイムで共有されるということは、そのとおりでございます。

○本多委員 何でもかんでもけちをつけたいわけじゃなくて、このCECが、もう一隻のイージス艦も今度はCECを持つわけですから、日本の自衛艦同士でCECを使う、それも、日本が武力攻撃をされたときに使う、全然いいことだと私は思います。この能力をもって、しっかり専守防衛のために生かしていただきたいと思います。しっかりとこの能力を活用していただきたいと思います。

 もう一点、日本が武力攻撃されたときに、当然、CEC、米軍の船が持っていることが多いと思います、米軍の飛行機などが。米軍とこのCECを使って、しっかりと敵を把握して対処をする、このことも私は評価をしたい。しっかりとこの能力を使って対応していただきたい。

 日本が武力攻撃をされた場合、専守防衛のために日本の自衛艦や日本の飛行機やアメリカの船やアメリカの飛行機とCECを使うことは、積極的に評価したいと思います。このことについて何かございますか。

○河野国務大臣 御評価いただいて、ありがとうございます。

○本多委員 ところがなんですよ。他国であるとこれで話は終わるんですが、日本は、日本が攻撃されていないときに他国の軍隊の行動に協力をした場合、つまり、平時において、日本においては武力攻撃事態が発生していたり、それから、皆さんが安保法制で通した、ああいう事態になった場合のことはちょっとややこしいのでおいておきまして、普通に、日本が武力攻撃も受けていない事態でこのCECが使われることは、実は一体化の議論に抵触をしてくるということが既にかなり前から言われております。

 私は、そのことを大変危惧をしています。なぜかというと、事実上、このCEC、日本の船はたくさんこれを備えているわけじゃありませんから、これが連動できるのはアメリカの軍艦であります。

 実は、この議論は、既にもう十八年前、参議院の外交防衛委員会で、今財務副大臣ですかね、公明党の遠山議員と、その当時の石破長官の間で議論をしています。

 このときの議論は、イージス艦、こういう使い方をすると集団的自衛権にさえ当たることがあり得るんじゃないかという遠山議員の質問なんです。このときに石破長官はどう答えているかというと、今のぐらいのデータリンク、つまり、この「まや」以前の、今のぐらいのデータリンクでそんな心配は要りませんよ、遠山議員、とおっしゃっているんです。ところが、CECという技術が開発をされて導入をされた場合には、集団自衛権の行使に当たる当たらないという話も一つあると防衛庁長官は答弁をされているんです。

 つまり、「まや」ができる前は、データを多少リンクしても、それが直ちに、少しずれがありますから、それを米軍が攻撃に使ったからといって、皆さんの理屈で言うと普通の情報交換だという話になるんですが、今回就航したこの「まや」のCECに関しては、米軍がそのリンクしているデータを使って攻撃をしかけた場合には、集団的自衛権に、まさに武力行使の一体化に当たるんじゃないか、このことを十八年前に石破長官は答弁をされているんですね。

 これはそういう理解でよろしいですね。常にケース・バイ・ケースになりますが、使い方によっては当たってしまうということでよろしいですか。

○河野国務大臣 CECは、データリンクと同様に、探知した目標に関する位置情報を共有するシステムです。データリンクに比べて共有するデータの更新頻度が高くなることから、従来のデータリンクによる情報共有システムとは質的な差という概念が生ずるとの石破防衛庁長官の答弁があったと認識をしているところでございます。

 情報の提供と憲法との関係について申し上げれば、政府としては、従来より、ある目標に方位何度何分、角度何度で撃てというような行為は、情報の提供にとどまらない軍事作戦上の指揮命令の範疇に入るものであり、憲法上問題を生ずる可能性があると答弁をしております。

 このCECは、射撃指揮に使用可能な情報をリアルタイムで共有するシステムであって、CECに基づいて自動的に攻撃が行われるわけではなく、CECの情報に基づいて、攻撃の方法の決定や攻撃実施の対応は米国が独自に行うこととなります。CECとは、あくまでも探知・追尾情報を共有するシステムであって、CECを介する米軍への情報提供は、方位何度何分、角度何度で撃てというような行為とは全く異なるものであります。

 情報共有と他国の武力の行使の一体化との関係については、従来から、自衛隊がその所掌事務を遂行するため主体的に収集した情報を米軍に対して提供したとしても、それが一般的な情報交換の一環としての情報提供である限り、米軍による武力の行使との関係で問題を生じるおそれはなく、憲法上の問題は生じないものと考えており、ただいま御説明した点を踏まえれば、CECを介した米軍の情報共有についても同様と考えております。

○本多委員 ということは、この二〇〇二年十一月二十一日参議院外防委員会での石破長官の、「このCECというものが入ってまいりましたときには、また議論は当然違ってくるのだろうと思っておりますが、」今は大丈夫だよということなんですね。遠山議員を安心させた発言。

 その後、石破さんは続けています。「CECになりますと、そこに質的な差という概念が生ずるのだろうと思います」、この答弁を今回変えられるということでよろしいんでしょうか。

○河野国務大臣 先ほど申し上げましたように、CECは、データリンクと同様に、探知した目標に関する位置情報共有システムであって、データリンクに比べて共有するデータの更新頻度が高くなることから、より精度の高い探知・追尾情報を共有することが可能であります。

 石破長官の答弁は、従来のデータリンクによる情報共有システムとはそういった点で質的な差という概念が生ずると指摘したものであると認識しております。

○本多委員 いや、私、遠山さんにも今度聞いてみたいと思いますが、十八年前に心配をして、CECが入っていないから今は大丈夫ですよと公明党の議員を説得しておいて、十八年後にCECができたら、ちょっと性能がアップしただけだから関係ない、そういう答弁ですよね。かつ、石破さんの答弁もひっくり返していない。こんな矛盾したことで説明はつかないと思うんですよ。

 大臣、そういう開き直った答弁をするんじゃなくて、私が言いたいことはこういうことですよ。CECを使って何か米軍がしたとしても、常に一体化であるとか集団的自衛権になるとは限らないと思いますよ、私は、使い方によっては。ただ、これだけ、石破長官が十何年前に発言しているぐらい質的な差が出たんだから、それは相当、このリンクを張って行動することには常に危険が、集団的自衛権に該当してしまったり武力行使の一体化に該当する危険が高まってはいるんじゃないんですか、これまでのデータリンク以上に。これは御答弁いただけないですか。

 だから、注意をして、そこに抵触しないような使い方をよりきちんとしなきゃいけないんじゃないんですか。どんな場合も当たらないみたいな、そんなことを言われると、それはこの発言とは違うと思うんですけれども、いかがですか。

○河野国務大臣 繰り返して恐縮でございますが、情報共有と他国の武力の行使との一体化との関係につきましては、従来から、自衛隊がその所掌事務を遂行するため主体的に収集した情報を米軍に対して提供したとしても、それが一般的な情報交換の一環としての情報提供である限り、米軍による武力の行使との関係で問題を生じるおそれはなく、憲法上の問題は生じないものと考えており、ただいま御説明した点を踏まえれば、CECを介した米軍との情報共有についても同様と考えております。

○本多委員 きょうはすれ違いで、私は全く納得をしておりません。  つまり、石破防衛庁長官の発言からいうと、それはCECというものをしっかり理解をされた上で十八年前に答弁をしているわけですから、今それは関係ないと言われても、この答弁とのそごは明らかですので、私は、今後もこの問題、そういう使い方はすべきじゃない、残念ながら、能力としてはあっても、そういう使い方をすると憲法上の疑義が生じるということは私は指摘をしておきたいと思います。

 時間が少なくなりましたが、法案に関連のサイバーの話を少ししたいと思うんです。  大臣、一問だけ、サイバーのことをちょっと伺います。  体制強化、この法案自体は私は評価をしたいと思います。しっかり頑張ってください。

 ただ、実は、私はこの二年来この委員会にいて、防衛大臣がサイバー、サイバーと、宇宙、サイバー、宇宙、サイバーと防衛大綱のときから言われて、私は完全に、きょう、余りそこに関心が強くなかったので、余り勉強していなかったので、私、自分の不明を恥じるんですが、サイバー、サイバーと言われているから、何か頑張っていただけるのかなと期待を少ししていたら、今回よく調べてみたら、防衛省が言っているサイバーというのは、防衛省や自衛隊をサイバー攻撃から守るためのサイバーセキュリティーなんだなということを残念ながら改めて認識したわけです。

 それ自体、別に、非常に大事で、防衛省や自衛隊がサイバー攻撃を受けて、そんなやすやすと何かをされたら大変なことになりますので、そこは、今回のサイバー防衛隊をしっかりと増強するということでやってください。

 ただ、私が、済みません、安全保障委員会にいる人間として若干不明を恥じながら言いますと、私はやはり、サイバー、サイバーとあれだけ防衛大綱で何度も言葉が出てきて、当然、日本にとって重要な原子力発電所を変な動かし方を外国からされたり、日本にとって非常に大事な金融機関のコンピューターに何かをされたり、こういうことにしっかりと何らかのことを防衛省として、国としてもやれることになっているんじゃないかと思っていました。

 今回、これを見ると、防衛省は、いやいや本多先生、事務方の説明によると、まずは防衛省の中をしっかりやるということがこの話なんですと。ああ、そうだったんだと。じゃ、原子力発電所とか巨大な銀行のコンピューターは誰がやっているんだと。それはNISC、内閣サイバーセキュリティセンターだというので、NISCを呼びました。そうすると、NISCの皆さんとの議論をしましたが、要は、銀行は金融庁がやっているんです、原子力発電所は経産省がやっているんです、我々は調整しているだけですという言い方なんです。

 防衛大綱には、きちんと、こういう国家にとって大事なインフラを守ると書いているんだけれども、どこがやっているんだというと、防衛省でもない、そして鳴り物入りでつくって、二百人いますけれども、内閣サイバーセキュリティセンターも、しょせん、よくあるパターンの内閣官房の調整役にすぎないということがわかりました、私は。経産省にしっかり原発のことはやってもらっています。金融機関のことは金融庁にやってもらっています。

 河野大臣には、きょうは防衛大臣という立場じゃなくて、国務大臣。総理も目指されているんだと思いますから、我が国のサイバーセキュリティーの体制というのは、本当にこんな内閣官房のあれとで、こう言葉だけ、あっちこっち躍らせていて本当にいいのかということなんです。防衛省でやれというのも、それもまた違うし。

 いや、はっきり言って、まずは電力会社や銀行が頑張らなきゃいけないんですよ。ただ、余りにも国家としての体制が弱いということを私は今回感じたので、この認識、共通していただけて、問題意識を持っていただけるかどうか、このことを質問したいと思います。

○河野国務大臣 何か、きょうは気持ち悪いぐらい、本多委員と認識を共通してしまうんですけれども。  今の政府の第四次計画は、システムを熟知している事業者がまずサイバー防護を行うということが一義的になっております。今、自衛隊としてサイバー、サイバーと言っておりますけれども、予算にしろ人員にしろ、他国と比べるとまだまだひよっこというのが現実でございます。中には非常にすぐれた技術を持っている者もおりますが、数からいえば圧倒的に少ないというのが現実でございますので、防衛省としても、このサイバー部隊をきちんと増強しながら、必要に応じてやはりさまざまな国の危機に対応できる、そういう部隊を最終的にはつくっていかなければならないというふうに思っております。

 今回のこの法案で定数をいろいろとさわらせていただいておりますのは、それに向けてのその途中のステップであるというふうに考えているところでございます。

○本多委員 最後にちょっと一つだけ、資料を持ってきたので見ていただいていいですか。最後の資料なんですが。  今回、自衛官の方は一歩増強していただいたと今の答弁にもありました。しかし、内局でこのサイバーを担当している体制がどうなっているのか。私も今回レクを受けたときにちょっとびっくりしたんですけれども、戦略企画課というところでやっているんですが、宇宙・海洋政策室とサイバー政策班、八名、六名。これでも何だか、あれだけ鳴り物入りでやっていてこれはちょっとどうなのかと思ったら、これ、ほとんど兼ねているんですよ。班長と室長も同じ名刺に、宇宙・海洋の室長とサイバー政策班の班長を兼ねているんですよ。ここの人数も、八と六、十四名いるわけじゃないんですよ、兼ねてやっているんです。

 つまり、鳴り物入りの政策の、まあ、サイバー防衛隊の自衛隊の方も大事ですけれども、内局もこんな体制で鳴り物入りの政策をやっているんです。ここも問題意識を持っていただけませんか。きょう、指摘をしたいんですが。

○河野国務大臣 平成二十七年度と比べても、このサイバーあるいは電磁波の分野は十八名増員というのが、これは平成二十七年度からでございますので、これはもうそれぞれの陸海空だけでなく、このサイバーを強化するためには、やはり予算、人員、ほかの国と比べてもまだまだ追いついていないというのが現実でございます。その中で、防衛予算にも、そんなに無尽蔵に伸ばせるというわけではございませんので、中をしっかりと見ながら、必要なところに手厚く資源の配賦ができるように、努力してまいりたいと考えております。

○本多委員 終わります。