衆議院-東日本大震災復興特別委員会 2020年(令和2年)05月21日
 (国会会議録検索システムより抜粋) ※この質疑の動画はこちら




○本多委員 立憲民主党の本多平直です。きょうは、ふだん所属している会派の皆さんに配慮をいただきまして、時間をいただきまして、ありがとうございます。

 冒頭、田中大臣、質問しませんけれども、一つお願いです。  私、大臣が就任直後も、今、山崎さんがずっと取り組まれているいわゆる自主避難者の問題、住宅の問題など、大変困難を抱えている問題について、予算委員会の場でも質問をさせていただきました。どうしても、福島の皆さんは復興で戻ってきてほしい、福島県庁はそういう考えですから、福島県庁と自主避難している皆さんの間で意見が違うことが出てきています。そこをきちんと、所管して取り持つのは復興庁の復興大臣ですから、そのことをしっかり認識して仕事に当たっていただきたいということを私からもお願いをしておきます。

 さて、きょう、法案の話に移りますが、復興庁を十年延ばす大事な復興庁設置法、それから特別区域法、特別措置法、復興に向けて我々も応援する大事な法案の陰に、こっそりと特別会計法、いわゆる我々から見ると悪い意味での束ね法案、いかがわしいから束ねているんじゃないか、そういうふうに疑わざるを得ないものがこっそりと入っています。この四枚紙の説明紙にもたった二行しか入っていません。この問題、おかしいんじゃないかということを、財務省と経産省の副大臣と議論をしたいと思います。

 福島の土の中間貯蔵施設に使うということになっている、これは我々の電気料にかかわっている税金、この勘定、電源開発促進勘定、これが、お金が足りなくなりそうだから、隣にたまたまあっただけの勘定、普通はしっかりと区分けをしなきゃいけないエネルギー需給勘定からお金を借り入れるという法律がここに入っています。

 しかし、こっちは、電気料金から払って、あの原発を建てるときに地域に使いましょうと。それは、我々今、原発に反対の立場ですけれども、これまでのスキームとしてはそうでしょう。しかし、こっちのエネルギー需給勘定というのは、発電と全く関係のない石油の会社、ガスの会社が納めている石油石炭税を、エネルギーをいろいろしっかり確保しましょうということに使っている勘定です。何でこんなことを、お金を借り入れるんですか。おかしいじゃないですか。

○松本副大臣 東京電力は、福島への責任を果たすために存続を許された企業であり、大胆な経営改革を行うことにより賠償や廃炉のための資金を捻出し、その責任を貫徹していくことが最大の責務であると考えております。

 国は、二〇一六年に、福島事故への対応のために確保すべき資金の見通しといたしまして約二十一・五兆円という数字を示しておりますけれども、同年十二月の閣議決定の中で定められた国と東京電力の役割分担に基づき、約十六兆円について、東京電力みずからが経営改革を進める中で最終的に負担をしていくこととしているところであります。

 その中で、この中間貯蔵の部分につきまして、我々といたしましては、今回、特別会計を改正をすることによりまして、エネルギー対策特別会計の電源開発促進勘定にエネルギー需給勘定から繰り入れることを可能として、資金の安定的供給を確保するということで、今回お願いをさせていただいているところであります。

 ちなみに、今般の措置は、福島の復興再生のために行っている施策の安定的な財源の確保に万全を期すためでありまして、将来、電促勘定に一時的な財政需要が生じた場合に備えまして、福島の復興再生に関する費用に限定してエネルギー特会のエネルギー需給勘定から電源開発促進勘定に繰入れを可能とするものでありますし、また、当該繰入金につきましては、法律上繰り戻さなければならないということを明記をさせていただいているところでありまして、今回の繰入れ規定の創設によって、福島の復興再生に影響を与えないよう安定的に財源を確保することが可能となると考えております。

○本多委員 長々と経緯を話していただきました。そもそも東電がやらなきゃいけない事業を、与党がこれまでじわじわと、東電だけに任せていたら福島の復興が遅くなる、そういうことで国費も少しずつ入れてくる、ここまでは百歩譲って理解はできるんですよ。

 ただ、今回あなたたちがやろうとしていることは、国費をやるけれども、その別な勘定、ましてやガスと石油会社、何にも関係ないですよ、この福島の事故に、処理に。場合によってはライバルで、競っているんですよ、今、電力会社と。ガスの会社も所管していますよね、経産省さん。何でここが一生懸命払っている石油石炭税を使うのかということを聞いているんですよ。筋がおかしくないですか。私がガス会社の人間だったら、おかしいと思いますよ。そのことを聞いているんですよ。あなたは両方所管しているんですよ、電力会社もガス会社も。電力会社にとってはいいでしょう、これは。でも、ガスの会社から見たら変じゃないですか、これは。

○松本副大臣 先ほども申し上げましたけれども、特別会計は、もちろん特定の目的のためにいただいているものによって賄われている、そういう会計であります。だからこそ、今回、エネルギー需給勘定から電源開発促進勘定に繰入れを可能とするものの、当該繰入金に関しては、法律上繰り戻さなければならないということを明記をさせていただいているわけでありまして、そうしたことによって、そうした皆様方からの御懸念を払拭できると考えております。

○本多委員 懸念じゃなくて筋がおかしいと言っているんですよ、私は。  それで、本来は、こんな変な筋悪の法案を出す前に検討することが三つぐらいあると思うんですよ、経産副大臣。電源開発促進税を素直に増税をお願いするか。いや、どうしてもそれは難しいというんだったら、一般会計に助けてもらうか。それか、あなたが持っているこの電源開発促進税の中を見直して、福島に今必要なものとかを削る必要はないですよ、しかし、そのほかに無駄がないのか。  この三つの見直しをじりじりやってから、こんなわけのわからない法律を出しているんですか。

○松本副大臣 これからこの勘定を使いまして、実際に中間貯蔵というものをしっかりと整備をし、そして、福島の復興を着実に進めていかなければならないわけでありますけれども、将来、需要がどのように増加をするのかということが不透明になり、また、現在の電源開発促進勘定の方が予算的には大分逼迫をしてきているという中において、今回、こうした需給勘定からの繰入れを可能としているところでありまして、これに関しましては、適当な、そうした手段だというふうに理解をしております。

○本多委員 いや、全く理解できないんですよ。  更に今回私が不思議なのは、こういう筋悪なことというのは過去あるんですよ。本当は民間企業がやらなきゃいけないものを国が負担しますとか、おかしいなということがありましたよ。だけれども、それは実際に事が起こって、どうしても足りないから国会を通してくださいといって、このお金が足りないからとやるんですよ。

 今回、不思議なのは、まだ足りなくなっていません、何に足りなくなるかわかりません、だけれどもスキームだけつくらせてください。こんなことを言われたら、何が発生するんだろうって相当勘ぐっちゃうんですけれども、これは、何が二、三年後に起こるから、こんな隣にある勘定からお金を借り入れるスキームを今、この法案の端に二行だけ書いてこっそり入れているんですか。

○松本副大臣 将来における電源開発促進勘定の財政状況などを見通すことは困難でありますから、現時点において具体的な歳出の増加要因を明確にすることは困難であります。

 他方で、電源開発促進勘定は逼迫した状況であります。平成二十七年度からは、福島第一原発事故という特殊事情を踏まえた福島県に対する特別の交付金を措置し、また、令和二年度からは、福島第二原発の廃炉決定に伴う交付金を新たに措置するなど、福島の復興再生に関する費用が増額をしているところであります。

 福島の復興再生に関する費用などが今後も増加する可能性も否定できないことから、福島の復興再生に関する施策の財源の確保に万全を期すため、今回の規定を創設をさせていただいたものであります。

○本多委員 いや、全然わからないんですね。  中間貯蔵施設の費用はしっかり出しているんですよ、毎年。四百七十億でしたか、出していますよね。それから、もともとこの電源開発促進税というのは、原発立地地に体育館を建てたり、それ自体いろいろな批判もありましたけれども、これまで迷惑施設である原発を受け入れていただいた町村にそういうことをやろう、これは当然私たちだって今、このスキームは認めざるを得ないわけです。

 ところが、副大臣、今ふえている部分、一番ふえている、この電源開発促進税制で、そういう過去にやってきたところじゃないんですよ、最近できて新しくふえているお金。去年六十三億だったのが、ことし八十三億になっている。二十億もふえている、この御時世に。原子力発電施設等立地地域基盤整備支援事業、これは何ですか。

○松本副大臣 原子力発電施設等立地地域基盤整備支援事業というものが一体何なのかという御質問にお答えをしたいと思います。  これまで、原発立地地域の御協力なくして日本の原子力エネルギー政策は成り立たなかったこと、そして、立地地域が日本の電力供給を支えてきたことを政府としてしっかりと肝に銘じつつ、政府としては、エネルギー基本計画にもありますとおり、地域経済の持続的な発展につながる地域資源の開発などの地域振興策や、長期停止、廃炉などによる地域経済への影響の緩和など、立地地域の課題に真摯に向き合い、その課題解決を図ることとさせていただいております。

 御指摘の事業は、こうした観点から、専門家派遣を通じた地域産品の開発、販路開拓、観光誘致の取組に対する支援を行っているものであります。

○本多委員 大事なところをすっ飛ばして説明しないでくださいよ。  私たちは、これまで原発を立地して御協力いただいてきた自治体に七百六十二億出している、この枠組みに文句を言っているわけじゃありません。この最近できた八十三億は、廃炉とか、ここまではまだいいんですよ、廃炉する、特別に交付が要るだろうと。再稼働をする、つまり、一回とめた原発をもう一回動かすというだけで、これまでの原発のいろいろな交付金に上乗せして出しているんじゃないですか。

 こんな、いや、いいんですよ、皆さんの方針は再稼働を認めるんだから、私と違うんだけれども、人から金を借りてくると言っているわけですよ、隣のガス会社の。ガス会社が払っている税金の勘定から金を借りると言っているところが、再稼働の自治体に上乗せで再稼働頼みますみたいな、こんな筋の悪いことに予算をふやす。おまけに、その予算について書いた一枚紙の事業の例は、地域ぐるみの御当地グルメ開発。

 こんな金、イベント会社に何億払っているのか知りませんけれども、こんなことをやっている勘定が、横にある真面目な石油会社や石炭会社が払った税金を何で借り入れるんですか。こういうことをしっかり見直してから借りたらどうですか。

○松本副大臣 個別に一つ一つの事業の内容に関してのコメントというものは差し控えたいと思いますけれども、その地元地域におきましては、電力に依存した地域経済ではなくて、さまざまな町おこしのために大変要望の強い、そうした予算項目ということもあって、こうした予算というものも計上をさせていただいているところであります。

 その予算執行の適正性につきましては、我々としてしっかりと確認をしてまいりたいと思います。

○本多委員 コメントをしないって、所管なんですよ、副大臣。  私は、別に、ねちねちねちねち、普通に、こうやって隣の勘定からお金を借りるとか言わないんだったら、こうやって一つの事業を見つけてきて、おかしいとかなんとか言う気は余りないですよ。それは、いろいろ、趣旨もあるんでしょう、努力している方もいるんでしょう、役に立つこともあるんでしょう。

 だけれども、副大臣、いいですか、この事業がどうこう言っているんじゃないですよ。あなたは、隣の、こっちの勘定は、石油の備蓄という大事な仕事があります、もう一つ、我々にとってすごく大事な、日本にとってすごく大事な再エネを、いろいろなプロジェクトをやって、どの再エネがうまくいくかな、大事な予算なんですよ。ここから借りると言っているのに、こんなことをやっていていいんですかということなんですよ。この比較の問題なんですよ。

○松本副大臣 今回の特別会計、勘定上のその繰入れに関しましては、先ほども申し上げましたように、法律として繰戻しというものが明記をされているということであります。

 今委員からお話がありましたように、そのもととなります勘定は、当然、石油の備蓄でありますとか、また再エネ等々にも使われているわけでありますけれども、現在は、実際には一般会計への繰入れというものもされている状況というものもあります。

 そうした中で、我々といたしましては、今回こうしたものをやったわけでありますけれども、委員が御指摘のとおり、備蓄でありますとか再エネというものには影響が出ないように、しっかりやってまいりたいと考えております。

○本多委員 せっかく遠山財務副大臣にお越しいただいているので、この話を聞いていてどう思いますか。これはもう、特別会計で勘定を分けている意味はあるんですか、こんなのに。

○遠山副大臣 本多委員にお答えをいたします。  いつもどおりの大変鋭い御指摘、まず、ありがとうございます。  その上で、今先生の問題意識は、これは、エネルギー特会という特別会計の中に二つ勘定がある、電源開発促進勘定と、先ほど来御指摘のあるこの石油石炭税を税源とするエネルギー需給勘定と、二つあるわけですね。

 今回の法改正については、財務省も経産省といろいろと協議をした上で、最終的にお認めをいたしました。その内容は、もう既に、繰り返しになりますので、つまびらかに申し上げる必要はないと思いますけれども、要するに、この電源開発促進勘定で福島の復興再生のために財源を出してやってきたんですが、こちらの勘定が逼迫してきたわけですね。その逼迫してきた一つの要因は、周辺地域整備資金、これはもともと新たに原発をつくるために積み立ててきた資金でございますが、これはもともと千二百億円積んであったわけであります。しかし、東日本大震災の後に、会計検査院からの指摘もありまして、もうここに積み立てるのはやめますと。これを崩して、こっちに入れてやってきたんですが、これが、先生御承知のとおり、令和二年度の一億円で残高ゼロになる。財政が逼迫している中で、石油石炭税のこっちのエネルギー需給勘定の方はそこまで逼迫していないので、福島の復興再生に限定して繰入れを可能にする法改正を今回お願いをしていると。

 ただ、先生、大事なポイントは、幾ら将来繰り入れるかということは、今の時点で決まっておりません。ですから、繰り入れるということが必要だということの議論は国会でも将来していただきますし、その繰り入れたお金は、法律上、必ず繰り戻す、返さなきゃいけないということも法律に明記しておりますので、国会及び国民の皆様に御理解をいただける形で運用することが可能だろうということで、まずは繰入れを可能にする法改正を今回するという趣旨でございますので、財務省としてもこれを認めたということでございます。

○本多委員 最後に一言だけ。  そういう議論をするのにも、この大事な復興庁の法案と、すごい金額になるかもしれないわけですよ、束ねで出してきて、議論できない、なかなか。  こういう状況で、私、もっと疑問点、たくさんありますが、とりあえず、時間が来ましたので、この復興庁の本体は非常に大事な法案なのに、こうやってこっそり、全然私は理解できません。こういうものがくっついているということを指摘して、終わります。