衆議院-安全保障委員会 2020年(令和2年)11月13日
 (国会会議録検索システムより抜粋) ※この質疑の動画はこちら



○本多委員 立憲民主党の本多平直です。
 岸大臣には、御就任おめでとうございます。委員長時代、ここの場でもお世話になりましたし、視察のときには、大臣の御地元である岩国の視察などでもお世話になりました。これからもいい議論をさせていただきたいと思います。
 私、大臣に、ちょっと順番を変えますけれども、お願いがあります。敵基地攻撃ですとか宇宙ですとか、大きな話をする前に、きちんと自衛隊員を見て、自衛隊の中をきちんとまず統率をしていただきたいなと。そのことがひいては防衛力にもかかわりますし、今自衛隊の大きな悩みの一つである人員不足の解消にもつながっていくと思いますので、ぜひ、そうした観点で、きょうちょっと、身近な、人に関することから質問をしたいと思います。
 まず、防衛大学校の問題です。
 資料をお配りしていると思うので、ぜひごらんになってください。週刊誌報道でいろいろ出ていたので防衛省に調べていただきました。週刊誌報道はいろいろ、ちょっと過剰に書いたりすることもないわけではないので、数字で調べてみましたが、やはりこの半年、大丈夫かなという事態が起こっているのではないでしょうか。
 まず、自殺者、自殺未遂者ですね。自殺未遂というのは定義が不十分なので、自傷行為者というのが出ていますが、一とかゼロでずっと来ているのが、去年ちょっと多いんですが、ことし、まだ十二月ではないので、九月までで、九月三十までで五名の方が自殺未遂のような行為をされています。二千人いる学校ですから、いろいろなことが起こるんですが、他の年度と比べて明らかに異常な事態が起こっています。
 もう一つ数字を見ていただきたいと思います。中退者です。過去五年のデータを出していただきました。一年生の中退者、大抵これぐらい出るんですが、これも明らかに多い数字になっています。
 もとになる週刊誌の報道などによりますと、大変コロナで、狭い八人部屋に、普通の大学とは違うわけですよね、そこで授業がないのに、一月、二月、閉じ込めていたと。この対応が適切だったのかどうかという議論がここにあるんです。
 私、直接これ、因果関係をなかなか証明するのは難しいんですが、ここまで数字に出ていますと、指摘をして、判断をして、善処をしていただきたいと思うんですが、大臣、今、この防衛大学校のコロナ以降の状況をどう捉えていらっしゃいますか。

○岸国務大臣 まず、本多委員には、私がこの安保委員会の委員長を務めておりましたとき、野党筆頭を務めていただいて、本当にいろいろな委員会の進行に御尽力をいただいた覚えがあります。本当に感謝をしておるところでございます。
 その上で、この今御指摘の課題ですね、防衛大学校の、特に自殺、自殺未遂という問題ですけれども、大変高い志を持って防衛大学校に入ってきた学生諸君が、理由はいろいろあると思うんですけれども、自殺あるいは自傷行為に行かざるを得なかった、こういう状況は本当に悲しむべきことである、こういうふうに思っております。
 防衛省の、私、前、政務官を十二年前に務めておりました。そのときも、その直前がかなり、これは、大学校ということではなくて、全体の数が百人を超えたりしていた時期が何年も続いて、そのときも、しっかりメンタルヘルスをサポートしていこう、こういうことで取り組んだことを今でもよく覚えているんですけれども、自衛隊において、この自殺者というもの、本当は当然ながらゼロを目指さなきゃいけないんですが、なかなか数字が落ちてきていない、そういう実態はあると思います。
 これはやはり、おっしゃられましたように、自衛隊員の士気にもかかわることでございますので、事態をしっかり改善させていかなければいけない、こういうふうには思っておるわけでございます。
 防衛大学校においてさまざまな事案が起こっている、こういうことだと思いますけれども、学生による自傷行為、あるいは正式な手続を得ないで外出をしたり、校内での火災といったことは承知をしているわけですけれども、まず、こういったことについて、大変遺憾であって、防衛大学校の適切な管理運営に努めてまいりたい、こういうふうに思っています。

○本多委員 防衛大学校については、実は、以前も質問通告して、時間がなくてできなかったんですが、非常にいじめでメンタルをやられて、そして退学をすることになって、訴訟されている方などもいらっしゃいます。再発防止、再発防止と言うんですが、なかなかカルチャーとして、こうしたカルチャーが残っているというのも私は前から問題点を指摘したかったんです。
 ことし、やはりコロナ対応が、もちろんコロナ対応、いろいろ初めての事態ですから、試行錯誤はあったかもしれないんですが、特に特殊性のある防衛大学校において、これだけ人の命にかかわる事態になっているわけです。そして、脱走だ、放火事件だ、賭博が起こりという、閉じ込められた空間でいろいろなことが起こっているというふうに今大臣もおっしゃっていただきましたので、この際、大臣、なったばかりで、まず足元を固めるという意味でも、きちんと検証していただけないですか。この四月の対応は適切だったのか、今後は、同じようなことがあってもこういうことがないようにと。一つ一つの事案をきちんと検証していただけないでしょうか。

○岸国務大臣 今委員の御指摘のところ、例えば四月の時点で学生諸君が閉じ込められた、こういうような事態ですけれども、当時の判断としては、県をまたぐこと自体がよくないんじゃないか、こういう判断もあったんだと思います。その中で、集団生活を送っている中で、地元にそこから帰していくのがいいかどうか、そういう判断もあったんだと思います。何しろ最初のことですので、本当にベストだったかどうかという判断はなかなか難しいところだというふうに思います。
 御指摘のかけマージャンの件なんかもございました。これについては、自衛隊の警務隊が今捜査をしているところであります。捜査に支障を及ぼすということもありますので、捜査状況についてはお答えを差し控えたいと思いますけれども、できるだけ早く対応していきたい、事案の公表ということも含めてしっかり適切に検討してまいりたいというふうに思います。
 これは本当に、先ほども申しました、士気にもかかわる問題ですので、しっかり取り組んでまいりたいと思います。

○本多委員 ぜひやってほしいんですが、実は大臣の見えないところで、防衛省という組織は、こういうことが起こると、犯人捜し、誰が週刊誌に情報を流しているんだということの方が一生懸命されているんですよ。それで、疑いがかかった全然関係ない教授、私も、その教授がちょっと変わった人だったら困るので実際に防衛大学校の先生にもお聞きをしましたら、またその人を捜さないでほしいんですけれども、立派な先生だということを確証を得たので聞きますが、何か監察隊が来て、週刊誌におまえが漏らしたんじゃないかみたいなことを調査しているそうなんですよ。
 防衛の秘密を外国に漏らしたら犯罪だと思いますけれども、学校内、省内のガバナンスに関して、言う場所がなくて仕方なくこういうことをしている場合もあると思うんですよね。そういうことを、問題の解決以前に、いつもそうなんですよ、不祥事のときに必ず、誰が野党に流したんだ、誰が週刊誌に言ったんだという、そっちばかり一生懸命やるんですけれども、この教授は勇気があって、お怒りになられて、大臣に申立て書を出しているんですよね。
 これはきちんと対応した方がいいんじゃないですか。こういう真面目にやっている教授を疑って、今の状況、大学の状況はおかしいということを言っていらっしゃる教授がいらっしゃるんですけれども、申立て書を受け取っていますよね。きちんと対応していただけますか。

○岸国務大臣 まず、防衛省に対しましてはさまざまな文書が送付されております。この種のいわゆる申立て書も複数来ているところでございますが、この点については逐一お答えすることは差し控えたいと思いますけれども、いずれにいたしましても、防衛省として、防衛大学校の適切な管理運営に努めてまいりたい、こういうふうに思います。

○本多委員 適切に対応していただきたいと思います、ちゃんと読んで。そして、無駄な犯人捜しの前に状況の改善をしっかりやれということを言ってもらえないですか。

○岸国務大臣 状況の改善は当然必要なことだと思います。しっかりやってまいりたいと思います。

○本多委員 大臣の野党時代の質問なんかも読ませていただいたら、東日本大震災の後、非常にたくさんの御遺体を扱ってメンタルをやられている隊員なんかにしっかり対応しろというようないい質問をされていましたので、ぜひ、大臣になって、本当に何度も言いますけれども、敵基地攻撃とか宇宙とかの前に、身近で、志を持って入ってきた学生がいじめに遭ったり、こんな対応をされて自殺未遂に追い込まれたり、そしてそういう状況をやむにやまれず外部に伝えようとした人を、全然無実の教授に監察が行ったりとか、こういう状況をきちんと大臣としてグリップをしていただきたいということを強くお願いをしておきたいと思います。
 次に、もう一つ、まず防衛省の中からしっかりしてほしいという課題で、天下りの問題を質問させていただきたいと思います。
 実は、この問題は、ことし初めに報道がありまして、この委員会でも私、河野前大臣にしっかり調査しろと。河野大臣は、自分が大臣になる前は、調査の仕方が、別な事件のときにですね、甘いと、与党なのに厳しい質問をされていたので、ちゃんとやるんでしょうねということを私もさんざん言いましたけれども、私がやるから大丈夫ですと言って、そのまま大臣をやめて、国会も開かれないまま、やっと報告書が出てきたんですが、何だかよくわからないんですよね、この報告書が。
 今、天下りは原則自由だけれども、あっせんはしちゃだめだということになっていますよね。でも、あっせんをした課の担当者、長年、慣行として陸自の中で将官の天下りのあっせんをしていたということで処分者が出ました。
 しかし、肝心のこの報告書を見ても、一体何人が天下っていたのかというのが書いてないんですよね、この紙に。とんでもない紙だと思うんですけれども、大臣、何人なんですか。教えていただけますか。

○岸国務大臣 将官の天下りについてということですね。(本多委員「はい、将官の方ですね。天下った人は何人いるんだと、このあっせんで」と呼ぶ)はい。
 自衛隊法六十五条の二の第一項に基づき、再就職等規制違反と認定された企業等への情報提供行為は二十六件ありました。将官の数で二十五人分の情報となっております。このうちほとんどの者が情報提供を行った企業等に再就職をしております。
 なお、二十五人、将官本人については、再就職等規制違反は確認されませんでした。
 御指摘の、天下りの意味するところ、ちょっと不明なところもありますけれども、将官を採用することによる企業側からの見返りの提示、あるいは将官をあっせんしたことによる募集・援護課長又は募集・援護課員による見返りの要求といったものは、事実としてはございませんでした。

○本多委員 河野前大臣に本当に言いたいんですけれども、行革担当になられているので、別な委員会でやれたらやりたいですけれども。
 今の二十五人という数字も、この私たちがもらった概要には書いてないんですね。結局、たくさん処分されましたけれども、あっせんした、真面目に働いている人は処分をされて、違法行為をしているんだからしようがないですけれどもね。した人たちは人数も出ていない。
 では、報告書の本体、私、きょう気づいたんですね、質問の準備をしていて。こんな、概要に人数も書いてないものを出させて、出て、俺も忙しくて見ていなかったんだと思ったんですけれども、本体を出せと言ったら、これから黒塗りするのですぐ出せないと言うんですよ。
 結局、何カ月も待たせて、済みませんね、河野大臣に言いたいことを言わせていただきますけれども、私がやるから任せてくれと言って、とっととどっかへ行っちゃって、出された報告書は、きょう委員会の質問で使うから見せろと言ったら、これから黒塗りするので、黒塗りしてから持っていきますということなんです。コロナで大きな話題にならなくて、防衛省の皆さん、助かった方もいらっしゃるかもしれませんけれども、何か緩んでいませんか。本当に、文科省よりは悪質じゃないんですよ、確かに。だけど、文科省のときは事務次官だってやめているような話なんですよ。
 これは、何かこんなぴらぴら紙で、人数も書かないようなのを出してきて、本当の報告書はまだ出せません、これから黒塗りですと。もう報告書が出てから何カ月もたっているんですよね。この対応、どうですか。

○岸国務大臣 しっかり対応していくようにいたします。

○本多委員 何度も言いますけれども、敵基地攻撃とか宇宙の前に、こういうことをしっかりやらせないと、何代か前に、隠蔽で、全然大臣まで情報が上がってこなかった大臣がいたじゃないですか。ああなりますからね。
 だから、きちんと、こういう具体的な防衛大学校の問題とか、この天下りの問題、何で報告書の黒塗りがまだ済んでいないんだ、このぴら紙だけで済まそうとしていたんだというようなことを、しっかり省内を、大臣になられたんだから、グリップした方が、何代か前にいて、たくさん隠蔽をされて、情報が上がってこなかった大臣がいましたよね。ああいうふうにならないように頑張っていただきたいと思います。
 それで、実は私たち、今回はあっせんをした人だけが悪いということになっていますけれども、本当に今の天下り規制がいいのかという観点から、野党で合同して、各党協力をして、調査局さんにも大変な御尽力をいただいて、予備的調査というのをやったんですね。
 結局、今、あっせんがなきゃ違法じゃないけれども、防衛省をめぐる天下りの状況はどうなっているのか。自分で見つけて自分で行ったんだったらいいよということにしちゃったんですよ、自民党は、天下り規制を。
 しかし、その結果はどうなっているのかというのを、ちょっと資料で出しているので見ていただきたいと思います、大臣も。
 毎年、この五年間、平成二十七年は、これは、少ないのは途中からなので、大体二百人ぐらい再就職をされています。そのうち、防衛省と密接な関係のある営利企業に、合計でいうと、九百三十六人のうち、半数以上、四百八十七人が営利企業、防衛省と密接な関係のある営利企業に再就職しているんですね。
 もう自分からちょっと言っちゃいますけれども、これは、例えば、人数、企業別に言いますと、一位が日本電気、二位が川崎重工、三位は保険会社ですけれども、四位がIHI、五位は三菱電機、東芝インフラシステムズ、十二人ですね、七位、富士通と三菱重工が十一人。これはどれも、防衛省から、一千億、三千億、数百億、こういう受注を受けている企業なんですね。
 こういうところにこの五年間で四百八十七人も再就職をして、今違法じゃなくされちゃったんですけれども、自民党の天下り規制で。これは、国民から見て、本当に何か買わされている兵器は適切に受注されているのかと疑いが生じるんですよね、これだけ多いと。
 大臣、どう思われますか、この現状。

○岸国務大臣 平成二十七年の十月以降、ルールが変わった、こういうことであります。
 新しい規則として、利害関係企業等への問題としては、在職中の求職の規制というものがかかっておるところでございますけれども、こういったルールを含めて、我々としては厳格に今運用しているところでございます。
 以前は、密接な関係にある営利企業への再就職は、原則二年間禁止をする、こういうルールだったわけですね。それぞれの時期でルールが違う、それに沿った形での再就職ということになっているわけですけれども、結果的に、そこに数が多くなっているということですよね。そのことがさまざまな疑念を抱く、こういう御指摘は真摯に受けとめたいというふうに思います。

○本多委員 疑念のついでにもう一つ言っておくと、大臣、ちゃんと聞いてくださいね。
 役職も調べたんですよね。そうすると、四百八十七人のうち、約一割の四十三人は顧問なんですよね、顧問。疑わしいでしょう。何とか部長だったら仕事するんだと思うんですけれども、何しに行っているんだと。要は、防衛省の後輩に、何となく情報をとったり圧力をかけたりとやはり思っちゃうんですよ。
 それも、ここの省は、大臣、当然御承知のように、菅総理は、日本学術会議に十億、十億、十億、十億と、十億使っているからけしからぬからチェックするとおっしゃっているんですが、さっき言ったんですけれども、皆さんのところは一社で何百億、会社によっては三千億、千億ですよ。こういう会社に、お一人いらっしゃいますね、つい最近まで統幕長をやっていた方も。夜はテレビに出ながら、どこかの大企業の顧問をされていますけれども、大丈夫なのかなと私は思っちゃうんですよね。
 ぜひ、今回、野党で予備的調査をかけてこういう事実が明らかになりましたから、こういう状況を把握して、私は天下り規制のやり方をもう一回考えていきたいと思うんですよね。
 もう一点、ちょっと防衛大臣に言っておきたいのは、防衛省やばいですよということを言っておきたいんですよ。
 それは、今回、ちょっと話が予備的調査からさっきの本件に戻りますけれども、発覚をしたときまでは、まあ、長年、慣行で続いちゃった、たまたま運が悪かったみたいなことなのかなと思ったんですよ。ところが、私、やはり許せないのは、二〇一七年、文部科学省の大規模天下りあっせん事件があって、次官までやめると大騒ぎになったんですよね。そのときに、安倍総理が、これはけしからぬ、文科省みたいなことがほかの省庁であったら大変だ、だから全省庁に調査をかけるということで、安倍前総理のかけ声で内閣人事局が全省調査しているんですよね。そのときに、この今やっていた天下りについて、どう防衛省は答えていたんですか。

○岸国務大臣 今、委員御指摘の点、内閣人事局主導の件ということですけれども、ちょっと今手元にその資料がないので、どういう発言があったかということは後ほどまた御連絡させていただきたいと思います。

○本多委員 通告しているんですが、私から答えを言うと、問題なしと答えているんですよ、そのような事案は発見できなかったと。
 つまり、総理が文科省事件でけしからぬと思って全省庁調査をかけて、ぽつぽつ出て、発見された省庁もあるんですよ。ところが防衛省は、そのような事案は発見できなかったという答えを上げて、つまり、最高指揮官である総理大臣の命令を、気づいているに決まっているじゃないですか、こんなの、文科省のあの大ニュースを見ていたら。
 だから、長年だらだらやっちゃったというところじゃなくて、あの事件を見て、これはやばいなというのは、この二年間、だらだらでなく、全省庁調査を欺いてきたということなんですよ。
 ここは、僕はすごく重く感じていただきたいと思うんですけれども、大臣、いかがですか。

○岸国務大臣 委員御指摘の件、多々、防衛省にも大きな諸課題がございます。しっかり正面から取り組んでまいりたいというふうに思います。

○本多委員 今、私は、一つ二つ、例なんですけれども、何度も言いますけれども、敵基地攻撃とか宇宙とかの前に、きちんと身近なところのガバナンスをしっかり、本当にちゃんと総理大臣の言うこと聞いているのか、総理大臣がわざわざかけた命令に従っているのか、そういうことをぜひ大臣としてグリップをしていただきたいということを切にお願いをします。
 さて、安全保障政策の話をしたいと思うんですが、法制局長官来ていらっしゃいますか。大変お待たせして済みません、順番を変えまして。
 敵基地攻撃論の話は、ことしじゅうというのが消えて非常によかったなと思っているんですね。でも、なぜ消えたんですか。

○岸国務大臣 これは御存じのとおり、もともと、九月十一日の総理大臣の談話、この中で、あるべき方策を取りまとめていくと述べられておりまして、菅総理も、この総理の談話を踏まえて検討を進めていく、こういうふうに述べられておるところでございます。

○本多委員 それは予算委員会でも私聞いていまして、知っています。
 ことし末までにとわざわざ安倍前総理が言われたわけですよ。政治家が仕事をするときに、大事なんですよね、期限を切るということは。期限を切らないとだらだら検討が続く。だから安倍総理は、私はことし末までにやらなくていいと思っているんですけれども、でも、前総理がやめる間際にわざわざ談話で出して言ったのが、なぜそこだけ消えたんですか。

○岸国務大臣 これは、菅総理の御発言ですから、政府として、引き続き談話を踏まえて議論を進め、あるべき方策を取りまとめていく、この考えに変わりはない、こういうことであります。

○本多委員 菅総理はことし末というのを外したんですけれども、それと違うということなんですか。

○岸国務大臣 政府として、引き続きこの総理の談話を踏まえて議論を進めていく、こういうことです。

○本多委員 どこかの政党に気を使っているとか、報道はあるんです。選挙の前だからやらないとか。私は、そもそも安倍総理の談話はおかしいと思っていますよ。こんな大きな転換をするのに、幾ら政府内とはいえ、ことし末というのは短過ぎると思います。我々も本当は絡みたい、国会も。しかし、そういう思惑で時期をずらしていくというのも、それはそれでまたいかがなものかと私は思っています。
 ちゃんと通告していないので、わからなかったら事務方からメモを入れていただいて構わないんですが、イージスの代替策、先ほど重徳委員と議論していた件ですけれども、あれはことしじゅうに結論を出すということでいいんですか。どういう、洋上の、こんな感じで出るというのは、検討中で言えないというのはさっきずっと言っていたんですが、あれはことしじゅうに出るんですか。

○岸国務大臣 イージスの代替策、これについても、内閣総理大臣の談話の中にはございます。総理はそれを踏まえて、大臣の談話を踏まえてあるべき方策をやっていく、取りまとめていく、こういうことだと思います。

○本多委員 わかりました。
 敵基地攻撃とかは先送りになっているというのでいいんですけれども、イージスの代替策もことし末までに結論が出ないということでいいんですか。ことし末という縛りはないということでいいんですか。時期の話です。

○岸国務大臣 ミサイル阻止能力について、先送りしたということではなくて、両方とも、総理の談話を踏まえてあるべき方策を取りまとめていくということです。

○本多委員 では、あわせて出てくるということでよろしいんですかね。

○岸国務大臣 イージスの代替とミサイル阻止の方策は、中身としては別物であります。

○本多委員 中身は別ということは、別々に出るということですか。そういうことなんですね。わかりました。
 きょうは、ほかのことをやっちゃったので、この問題はもっともっと議論したいことがあるんですけれども、内閣法制局長官に来てもらったのに質問しないと大変悪いので。非常に嫌みとして来てもらったんですけれどもね。
 なぜかというと、今こちらの皆さんが敵基地攻撃論をやれるのは、一九五六年、鳩山総理が言った答弁をもとに、しかし、皆さん、適当な、都合のいい、前半だけ読むんですけれども、私は、他に手段がない場合に限りというところの方が大事だと思って、そのことをしっかり今後とも議論をしていこうと思っているんですが。
 その大前提として、長官、日本学術会議の問題では、何か、あの大総理であられた中曽根総理の発言さえ、皆さんは変えていないと言うんですけれども、きょうはその議論をするつもりはないですけれども、上書きをされるようなものが二年前にこっそりと内閣府と皆さんの間で合意文書ができていたんですよね。
 この議論はそれ以上に大きな問題なので、あの鳩山答弁、一九五六年の鳩山答弁にかかわる打合せを勝手にされて変な文書ができたら困るんですよ。
 きょうのこの日までに、内閣官房、内閣府、防衛省、国家安全保障局、こういうところから法制局に、この解釈はどういうことなんだという打合せの依頼とか、万が一文書をまとめたりしていないですよね。

○近藤政府特別補佐人 私ども、意見事務をやる際には、きちっと必要な資料を残しつつ、きちっとやっておりますので、こっそりとかいうことではなくて、今回も資料をお出ししましたし、いろいろなときも必ず資料をお出しするような形でやっておりますので、そういう意味で、資料が、私どもはきちっとあるという理解を、私どもの仕事のやり方としては思っておりますが。
 お尋ねがきょうあるということで、きのう、私ども一部の方で意見事務関係についてのファイルというのが過去ずっとございます。それにつきまして、この敵基地攻撃能力に絡んで、何か変更だ、何かその具体化だとか、それに絡むような、ファイルというんでしょうか、というものがないかというのを確認をさせました。私自身が、もう一部長以来、十年ぐらいたちますけれども、その間には少なくとも経験はありませんが、古い文書ですね、それも含めて探させましたが、一切ヒットするものはございませんでしたので、現時点でも、何か相談をするということは起こっておりませんし、何もないというふうに思っております。

○本多委員 相談が来たら、私が問い合わせたら答えてもらえますか。最近来ていますかというのを時々電話しようと思うんですけれども。

○近藤政府特別補佐人 私ども、守秘義務がありまして、相手省庁との関係で、これは相談自身を外にはまだ言えないという議論がありますので、全て出せるような状況であれば、情報開示でいつも出してまいりますから、そういう状況がございますので、オンタイムでということではならないと思いますけれども、一定の形で固まれば、そういう形で出せるものは出していけるというふうに思います。

○本多委員 ぜひ、勝手に解釈を上書きしたり変更するような文書とか口頭了解をしないでいただきたいということを強く申し上げて、私の質問を終わります。
 以上です。