衆議院-安全保障委員会 2020年(令和2年)11月27日
 (国会会議録検索システムより抜粋) ※この質疑の動画はこちら



○本多委員 立憲民主党の本多平直です。
 衆議院の規則が改まりまして質問中のタブレットの使用も許可をされましたので、理事会の許可を得て、少し、紙の資料と同時にタブレットも使いながら質問させていただきたいと思います。
 前回のちょっと追加なんですが、防衛省の天下りあっせん事案、ことし発生をいたしました、それについて追加で質問したいと思います。
 前回ちょっと数字がたくさんあったので、私からも言いましたが、せっかく調査をしていただいた衆議院の安全保障調査室、当委員会の依頼を受けて調査をしていただきましたので、改めて結果を御報告いただけますでしょうか。

○奥専門員 御指摘の予備的調査は、平成二十六年成立の自衛隊法改正法の施行後の自衛隊員の再就職事例のうち、改正前の自衛隊法において原則禁止されていたもの、すなわち、離職後二年間の、離職前五年間に契約関係などにより防衛省と密接な関係にある営利企業体への再就職に該当するものについて調査を実施するものでございました。
 調査の概要を述べさせていただきますと、平成二十七年十月一日から令和元年十二月三十一日までの間の自衛隊員の再就職事例のうち、調査対象となったのは九百三十六件。うち、営利企業体への再就職は六百三十三件。この六百三十三件のうち、防衛省との密接な関係に該当する営利企業体へのものが四百八十七件、再就職全体九百三十六件に占める割合は五二%。営利企業体への再就職六百三十三件のうち、防衛省との密接な関係に該当しない営利企業体へのものが百四十六件、再就職全体九百三十六件に占める割合は一五・六%。そして、営利企業体以外への再就職は三百三件、再就職全体九百三十六件に占める割合は三二・四%でございました。

○本多委員 大変、調査をありがとうございました。
 天下り規制が変わる前のルールでいえば違法であるような、密接な関係のある営利企業への天下りが、九百三十六のうち四百八十七。これは、天下り法が改悪、私から見ると改悪なんですが、されて、現在は合法とされた。
 しかし、前回処分を受けた天下り事案、今回処分を受けた天下り事案のうち、密接な関係のある企業に今回のこの調査に該当する件数は何件ありましたか、大臣。

○岸国務大臣 お答えいたします。
 陸上自衛隊の再就職等規制違反のあっせんを受けた将官二十五名のうち、予備的調査において、密接な関係にある企業に再就職した者は十四名となっています。

○本多委員 今回、あっせんを受けて、つまり、あっせんがないからオーケーだと言っていたわけなんですが、あっせんを受けて密接な関係の営利企業に天下っていた人が、二十五名のうち十四名もいた。これは本当に重要な事実なので、しっかりと反省をしてほしい。
 さらに、今回調査室さんに調査をしていただいて明らかになったのは、密接な営利企業に天下っているだけでも私は問題だと思うんですが、顧問という役職、これはどれぐらいいらっしゃいますか。

○奥専門員 防衛省と密接な関係にある営利企業体に再就職した事例四百八十七件のうち、再就職先における地位の記載欄に顧問の表記があるものは、技術顧問など他の文言があるものを含めまして二百五件、四二・一%でございました。
 ちなみに、調査対象となりました再就職件数九百三十六件全体で見ますと、再就職先での地位が顧問であるものは二百七十二件、二九・一%でございました。

○本多委員 大臣、再就職先からもとの職場に働きかけをしたら違法行為になる場合がたくさんあるんですね、法律で。場合によっては犯罪になります、不当な働きかけをしたら。きちんとした仕事があるんだったらまだしも、顧問というのがどういうことをしているのか。しっかり、これは働きかけが行われていないと言えますか。これだけ、五年間で数百人、顧問になっているんですよ、密接な関係のある会社に。もとの職場に働きかけをしていないと本当に言えますか、堂々と。

○岸国務大臣 各企業で、顧問という肩書で入った方でも、ちゃんとした仕事といいますか、それにふさわしい仕事をされている方はたくさんおられるというふうに思っております。これはそれぞれの企業の問題ですので一概に申し上げることは、言えぬと思うんですけれども、いずれにいたしましても、隊員が在職中に培った専門的な知識や経験などを生かして企業に再就職することは、これは隊員が誇りを持って職務に精励できるというようにするためにも重要である、こういうふうに考えています。企業側にとっても、隊員が在職中に培った専門的知識を生かしていく、このことは意義があるものと思っております。
 問題とされるのは、やはり、予算や権限を背景とした再就職のあっせんや要求、官民の癒着につながりかねない隊員のOBの口ききですね、いわゆる。等の不正な行為で、そのことが問題である、こういうふうに思っています。
 再就職等規制においては、公務の公正性を確保するために、一般職の国家公務員に適用される規制と同様に、他の隊員や隊員OBの再就職依頼、情報提供等に対する規制、そして在職中の利害関係企業等への求職の規制、そして再就職者による契約等に関する働きかけの規制、こういったことを行うこととして、加えて、内閣府再就職等監視委員会及び防衛人事審査会による厳格な監視を行うこととしておるところでございます。
 予備的調査の結果、防衛産業への再就職も確認されておりますけれども、全て現行の厳格な再就職等規制制度に基づいて行われた適切なものと承知をしているところでございます。防衛省から企業側への発注についても、全て法に基づいて行われた適切なものと承知をしているところでございますが、いずれにいたしましても、今後とも、自衛隊員の再就職等規制については、防衛省・自衛隊に対する国民の信頼を損ねることのないように、組織を挙げて徹底して取り組んでまいりたいと考えております。

○本多委員 私、今回、調査室さんに調査いただいて、天下りの数、営利企業への天下りの数もびっくりしたんですけれども、特に顧問の多さにやはり驚きました。今大臣るる答弁されましたけれども、働きかけなどの事案が起こらないようにしっかり監視するのは大臣の役目ですので、しっかりやっていただきたいということを申し上げておきます。これだけ多いと、いろいろ疑念を感じざるを得ないということを指摘させていただきます。
 さて、今話題になっているイージス・アショアの後継策について質問をします。
 私の立場をまず言っておきますと、私、イージス・アショアが頑張っているころから、イージス艦だけでいいと。ミサイル防衛、いろいろな問題点がある。これから北朝鮮のミサイルが進化していくと、なかなか全部は撃ち落とせない。しかし、今ある、イージス艦八隻で頑張っている程度のイージス、ミサイル防衛、阻止の能力はしっかり持つべきだということには反対をいたしておりませんし、逆に、弾数の問題など、積極的に応援をしてきたつもりです。あれで大体十分だからイージス・アショアまで要らないんじゃないかというのが私の立場でしたので、実は、皆さんの議論にのっかるつもりはなくて、後継策なんか要らないというのが私の立場です。
 今の八隻体制をしっかりと充実させることでミサイル防衛を維持していくというのが私の立場ですが、今回出てきている話がいろいろおかしいので、皆さんの土俵にのっかって少し質問をさせていただきたいと思います。
 今、中間報告、皆さん、ナンバースリーという紙を、筆頭ぐらいは見てください、ナンバースリーという紙を持ってきました。これで与党にも御説明をしたそうであります。一番右側にイージス・アショアの費用が載っていて、一番左側に、今与党ではこれになりそうだという話になっているプランA、「まや」型ベースでやる、二隻のイージス艦を新しくつくる、なぜかレーダーは変えないので、それに合わせて船を変えるという話らしいですが。
 私は、これ、年末までにこんな巨額の話を、この短い期間で、我々にも説明ないまま決められたら困るんですね。日本学術会議の話でさえ、十億使っているといって菅総理はあれだけぎゃあぎゃあ言っているのに、二千四百億円ということは、大臣、普通の今まで使っている「まや」は大体千七百億円ですよね。これ、大体七百億円も、今まで使っている「まや」型より金額がアップするということでよろしいですか。

○岸国務大臣 委員、まず与党への、自民党への説明でございますけれども、今の時点でどれかに決めたというものではなくて、先般の調査の結果についてまとめて、検討した結果について御報告をした、こういうところでございます。

○本多委員 プランAを採用した場合、今まで普通に使っている「まや」型よりは七百億円高くなるということでよろしいですか。
 ちょっと時計とめていただいていいですか。時間が短いのでお願いします、委員長。

○若宮委員長 ちょっと速記をとめてください。

    〔速記中止〕

○若宮委員長 速記を起こしてください。
 岸防衛大臣。

○岸国務大臣 失礼しました。
 ここに記されている「まや」型のケースであれば二千四百から二千五百ということですけれども、これはあくまでも、いわゆる導入コストに当たるものでございます。これまでも購入してきた、イージス・アショアのケースにおいて既に契約をしてきた、その部分を含めての数字ということでございます。

○本多委員 何だかわからないですけれども、お答えにならないので。今使っている「まや」型は千七百億円なんですよ、導入コスト。それが七百億円アップする。
 それだけじゃなくて、自民党の皆さんによく聞いてほしいんですけれども、皆さんの部会に出た紙には維持整備費は書いてないんですね。しかし、維持整備費が問題なんですよ。
 皆さん、ナンバーツーの紙を見てくださいよ。ぜひ、筆頭ぐらい見てくださいね。この資料は、まだイージス・アショアが生きていたころ、イージス・アショアの方がいいんだよ、イージス艦にすると高いんだよと言っていたころにはこういう数字がちゃんと出ていたんですね。もちろん、いいですか、七千億円、ライフサイクルコスト、三十年でかかるんですよ。
 いいですか。このぐらいの数字、もちろん変動するんですよ、どんな機種を入れるか、どういう設計にするかで。しかし、与党にこの数千億単位、十億の学術会議に十億使っているからとけちつけている時代に、次のナンバースリーのイージス・アショアのプランA型、米印二、これ、保険会社の何か見るに見えない約款みたいなふうにこんな巨大な費用を書かれたら困るんですよ。米の二、搭載装備品等が確定していないため、代替案に関して精緻な金額を試算することは困難であるため。これ、誰も一億単位で出せと言っていないんですよ。
 いいですか。旧来型の「まや」型の試算でさえ、ナンバーツーの紙では七千億かかるんですよ、三十年で。
 要するに、いいですか、大臣、この試算をもとにすると、この「まや」型、プランAというのを採用したら、船の導入コストがまず七百億円アップするんですから、二隻買ったら千四百億アップするんですよ。つまり、最低でも今の「まや」型のライフサイクルコストは七千億というのは前回の試算で出ているんですね。大体でいいんですよ。しかし、大体の数字も出さないで与党審査もへったくれもないですよ。
 いいですか。最低でも七千億かかるところに、船の値段、導入コストだけで、七百足す七百、千四百上がるんですよ。つまり、大臣いいですか、このプランA型と何げなく出されている案は、三十年間で最低でも八千四百億円かかる、そういうプランだということでよろしいですね。

○岸国務大臣 配備プロセスを停止する以前において、海上自衛隊の最新の「まや」型のイージス艦二隻の取得及び三十年間にわたる維持運用費などに要する経費は約七千億円、こういうことで見積もっている、こういうことで説明をしてまいりました。これは、イージス・アショアの代替としての「まや」型という意味ではなくて、いわゆる「まや」、「まや」型のイージス艦という意味でございます。
 他方、今般の中間報告を踏まえてお示ししたイージス・アショアの代替案の一基当たりの総経費につきましては、導入コストについては、あくまでも仮の要求性能を設定して試算することで経費の規模感をお示ししたところでございます。
 必ずしも今回お示しした四つのプランの中から選んで事業化するというわけではなくて、三十年間の維持経費、維持整備費等については、搭載する装備品の細部の仕様や運用の形態等、さまざまな要素を検討する必要がありました。このため、現時点で精緻な総経費をお示しすることは困難である、こういうふうにもお話ししたわけです。
 そのため、「まや」型イージス艦の二隻のライフサイクルコストと今回お示ししたイージス・アショアの代替案の総経費を比較するということは困難である、こういうことでございます。
 いずれにいたしましても、厳しい財政事情も踏まえつつ、運用構想や要求性能の細部の検討を通じて、イージス・アショア代替案の総経費を精査してまいりたいと考えております。

○本多委員 くどくど話しましたけれども、アショアをやりたくてイージス艦が高いというときには数字を出して、今度、イージス艦を導入したいというときは与党の会議にもあらあらの、これ、七千億より、バージョンアップするんだから高くなるでしょう。こんな数字も出さないで年末までに議論をするなんて、私は全く納得いきません。そもそも、異常にこの日程感がタイト過ぎますよ。これだけの金額のものを導入するのに、何で二、三カ月で結論を出さなきゃいけないんですか。
 それともう一つ。これ、勝手にレーダーはSPY7と決めているんですけれども、一応、防衛省の方から自信満々にSPY6よりSPY7の方がいいということを何度も何度も私におっしゃいますけれども、私も説明を聞くとそう思うんですよ。だけれども、参議院の外防に行くと、自衛隊出身の佐藤正久先生がおかしいと暴れていらっしゃるんですよね。与党の先生も説得しないわ、ここの横にいらっしゃる長島昭久先生もこの部屋で何度も、ちゃんと比べた方がいいと。
 せっかくやめたんだったら、海に出すんだから、もしかしたらSPY6の方がいいかもしれないじゃないですか。きちんと、この比較表に何だかわけのわからないプランB、C、Dとかと出すんじゃなくて、与党内でも疑念のあるSPY6との比較、もう一回やられた方がいいんじゃないんですか、これだけ巨額のものをやるときに。それで、自信を持って提案してもらえませんか。

○岸国務大臣 先ほどの総経費の件についてですけれども、中間報告等を踏まえますと、導入を予定していたイージス・アショアの一基当たりの総経費については、導入コストは、これまで説明してきた本体取得経費の約一千二百六十億円に、船舶やリグといった比較対象を踏まえて、特定の配備地を前提としない形で試算した施設整備費や警備関連装備品、通信機材等の取得に要する経費を合算した約二千億円を試算してお示しをしたところです。
 合計、現時点で判明している三十年間の維持経費、維持整備費等を……(本多委員「ちょっと、違う紙ですね」と呼ぶ)いやいや、先ほどのことについてです。どっちが高いかというようなお話のところですね。ただ、これらについても、現時点で判明している経費等に基づく試算であります。必ずしも精密な総経費とはならないことを御理解いただきたいというふうに思います。
 イージス・アショアの代替品を本年末までに決めるのは拙速ではないか、このようなお話もございました。
 我が国を取り巻く安全保障環境を考えますと、非常に厳しいものがある。一方で、軍事技術の進展に伴う多様な経空脅威が顕在化をしています。そうした状況の中で、イージス・アショアの代替案と抑止力の強化については、菅総理が所信表明の演説で述べられたとおり、九月十一日の内閣総理大臣の談話を踏まえてしっかりと議論をして、あるべき方策を取りまとめていきたい、このように考えておるところでございます。今、引き続き、あるべき方策を示せるように、鋭意検討を進めているところでございます。(本多委員「SPY7は。SPY6は」と呼ぶ)
 SPY6、SPY7につきましては、既に精緻な検討を行っているところでございます。その上で、SPY7の方がさまざまな点においてすぐれている、こういう結論を出したところでございますので、その上でSPY7を選定をしたということでございます。

○本多委員 与党の先生を納得させてから、しっかり国民に説明してほしいと思います。
 七月八日、この部屋で河野大臣は、私の、こうやってどんどんイージス・アショアとかイージス艦をふやす前に、今あるイージス艦にしっかり弾を積むべきだという議論に関して、誘導弾の数が重要なのは全くそのとおり、麻生財務大臣にもそうした議論をしている、来年度の概算要求をしっかりやってまいりたいと。野党に対してよくここまでいい答弁してくれたなと私は感謝をしたんですが、七月八日。今回の概算要求、ミサイルの弾、ふやす話はどうなっていますか。

○岸国務大臣 まず、ミサイルの弾については、必要な数をしっかり計上しているということでございます。(本多委員「しているんですか」と呼ぶ)はい、しております。

○本多委員 幾らですか。
 とめてもらっていいですか。

○若宮委員長 速記をとめていただけますか。

    〔速記中止〕

○若宮委員長 速記を起こしてください。
 岸防衛大臣。

○岸国務大臣 今お問合せの件でございますけれども、SM3ブロック2Aということであれば、令和三年度の概算要求においては、イージス・アショアの代替案の検討を踏まえつつ、SM3ブロック2Aの取得時期等についてもさらなる検討が必要であること、米国の調達スケジュールとの整合性を含めて、より効果的な取得のあり方についてさらなる検討が必要であることなどの状況を踏まえつつ、概算要求における精査の過程で、厳しい財政事情も踏まえて、SM3ブロック2Aの取得に係る経費を令和三年度概算要求に計上することは見送ったところでございます。
 ただ、過去において、例えば、二十九年には約百四十七億円、三十年は四百四十億円、〇一年度約三百三億円、〇二年度が約三百一億円、こういう形で既に計上しているということでございます。

○本多委員 既にイージス・アショアをやめることがわかった後に河野大臣はこういう答弁しているんですから、私の質問に対する答弁は全く裏切られたということを残念に思います。
 最後に一問。前回のこの安全保障委員会の篠原議員との質疑の中で、敵基地攻撃論の議論の中で、岸さんはこの七十年来積み重ねてきた政府答弁をひっくり返すようなことをおっしゃったんですけれども、撤回しておいていただいた方が今後の議論のためにいいと思うので、提起をしたいと思います。
 いかなる場合にほかに手段がない、つまり、敵基地攻撃というのは、ほかに手段がない場合というのが七十年間積み重ねた議論です。ほかに手段がない場合、私も、合憲な場合はあると思います。この、ほかに手段がない場合ってすごく大事なのに、こういう、七十年来どの大臣も言っていないことをおっしゃいました。例えば、米軍等の他国の支援の有無といった限られた要件のみを判断、できるものではない。こんな、七十年間、岸大臣のおじい様が総理のときに答弁されたこととも全く違う。日米安保がある限り、こういうことは想定できないとずっとおっしゃってきたのに、何を突然言い出しているんですか、これ。
 もしこういう解釈に変えるんだったら、敵基地攻撃論というのは違憲だということになると私は思いますよ。議論できなくなるんですけれども、どういうつもりでこれをおっしゃったか。間違って言ったんだったら、撤回していただいた方がいいと思うんですけれども。

○岸国務大臣 従来から政府は、昭和三十一年の統一見解を踏まえて、このときは、誘導弾等による攻撃が行われた場合に、そのような攻撃を防ぐのに万やむを得ない必要最小限度の措置をとること、例えば誘導弾等による攻撃を防御するのに、ほかに手段がないと認められる限り、誘導弾等の基地をたたくことは、法理的には自衛の範囲に含まれ、可能であると解してきており、現在もこの統一見解を維持している、これは私の立場でも変わっておりません。
 その上で、私、御指摘の件でございますが、この統一見解のもとで、いかなる場合に他に手段がないと認められるかを含めて、我が国としていかなる状況において講ずるいかなる措置が自衛の範囲に含まれるかということについては、実際に発生した武力攻撃の規模、態様等に即して個別具体的に判断されるものであって、例えば、米軍等の他国の支援の有無といった限られた与件、要件じゃなくて与件と申し上げたんですけれども……(本多委員「議事録は要件になっていますよ」と呼ぶ)はい。与件のみをもって判断できるものではないということを述べたものであって、従来の見解を変更するものではございません。

○本多委員 従来の見解を変更しているんですよ。
 従来は、いいですか、米軍の支援の有無どころじゃないんですよ。過去の大臣、僕はきょう時間があったら読み上げようと思いましたけれども、日米安保がある限りと言っている大臣もいるんですよ。これ、変更するんですか。
 米軍の支援の有無じゃないんですよ。岸さんのおじい様は、どういう場合かといったら、日米安保はあるけれども、アメリカの飛行機が一機もなくなった場合というのはおっしゃっていますよ。しかし、この、米軍の支援の有無といった限られた要件って、米軍の支援があってもほかに手段がない場合って、どんな場合なんですか。

○岸国務大臣 過去、米軍の活動がある場合、米軍の支援がある場合というケースでの答弁については、質疑のやりとりの中で、当時はまだ、朝鮮の動乱からの問題だったんですけれども、朝鮮で再び動乱が発生し、米軍が日本の基地から朝鮮に爆撃を行い、それに対して朝鮮が日本の国内に報復爆撃を行ったという個別の事例について認識を述べたもの、こういうふうに考えておるところでございます。
 そういうことで、さまざまな与件があるわけですけれども、今回私が申し上げたような米軍の支援の有無だけをもって判断することはできない、こういうことで申し上げたつもりでございます。

○本多委員 七十年間積み重ねてきた答弁をある日突然こんなふうに変えるんだったら、今後の議論、僕は違憲論でやりますよ。
 少なくとも、他に手段がない場合という話はのって議論しようと思ったけれども、そんなふうに突然、ある日突然、これはちゃんと法制局にも相談してください。与党とも相談してください。こういうふうな解釈を突然、七十年間の積み上げで、日米安保がある限りという答弁をしていた大臣がたくさんいるんですよ。それを、有無にかかわらずと答弁をするなら、私は今後もうこの敵基地攻撃論の議論なんか全くできない。違憲だということを、勝手に憲法の解釈を、一大臣の、積み重ねでやってきた答弁を変えているとしか言いようがないので、私は今後議論できない、そういうことを申し上げて、質問を終わります。
 以上です。